chaos in hollow

雑多なものの感想

Follow My Tracks/やなぎなぎ

2016-05-14 23:05:52 | 
やなぎなぎさんというとsupercell時代(歌い手時代は知らない)を除くとどうしても、不思議系・メルヘン系の楽曲が中心であった。
個人的にはそういう楽曲よりも、「君の知らない物語」或いは「ユキトキ」のような楽曲が好きであった。彼女の綺麗で透明感がある歌声をメルヘン系の楽曲で活かしきることは出来ないと思っていた。

今作もメルヘン系の楽曲中心なのかな、と思いきや、今作は楽曲の多様さに富み、それに合わせて、彼女も優しく切なく歌い上げ、非常に魅力的な一枚となっている。
彼女の透明感のある歌声は、基本的にはストリングスラインと非常に相性が良く、本作もそれが多い。
だが、オーケストレーションという訳でもなくバンドサウンドに加えるのが中心となっている。
多分、その形であっている。

個別の曲でいえば、変則的な「オラリオン」も良いが、シンプルな「ワンルームトラベル」、「未来ペンシル」が好きだ。こういう曲の方が、無駄に凝ってメルヘン系な楽曲に仕上げる方がいい。
supercell時代みたいなエモーショナルさを単に望んでいる訳ではない。更なる表現力の向上を期待出来る。

世界はiに満ちている/CHiCO with HoneyWorks

2016-05-11 11:26:51 | CD
元はニコ動出身のクリエイターユニットであるHoneyWorksがヴォーカルCHiCOと組んで出したアルバム。

どうでもいいんだけど、初めにはっきり言っておく必要がある。私はこういう特定の青春のイメージを喚起させ、それに憧憬を覚えさせるよう仕向けてくる、あらゆる媒体の表現物が嫌いだ。いや、憎んでいると言っても過言ではない。
それは、世代全体に同調圧力をかけ、イメージからの逸脱者に劣等感と恥辱を覚えさせるからだ。
口汚く言ってしまえば、このアルバムのタイトル自体、頭の中がお花畑としか思えないし、ハニワが制作に携わった映画のタイトルからして恋愛脳乙、といった感じだ。

なので、そもそもこのアルバムを聴く予定はなかったのだ。でも、曲としては嫌いじゃない曲が多かったので、魔が差した。
まあ、端的に言えば失敗だった。
覚えている限り、このアルバムで「ヤキモチの答え」のようなストリングスラインがある曲はなかったし、全体的にはポップ(ロック)にまとまっているが、キラーチューンが無い。
ボーカルは何かのグランプリ受賞しているし、上手いと思うが、突き抜けた魅力を感じない。
声質的には、アルバム内である程度使い分けられてはいるが、例えばやなぎなぎさんみたいな圧倒的透明感はない。
(何故、やなぎなぎさんかというと、初期のsupercellも青春を喚起する曲が多かったし、出自的に似通っている部分があるから。)
それならば、「ハニワ曲歌ってみた」シリーズで採用している歌い手でも良かったのでないか。96猫とか。

総評としては、他にない固有の魅力を見出すことの出来ない1枚で、上記の通り、沸いている歌詞をひっくり返すだけのものはなかった。

ガソリン生活/伊坂幸太郎

2016-05-01 21:26:35 | 
評価:C+
連載小説で書かれたものだと事後的に知ったのだが、その形態のおかげで区切りがはっきりしており、非常に読みやすかった。色々と伏線張っていたし、先が気になる展開であった
。ただし、伏線回収は若干強引なところもある。
読後感も爽やかで個性豊かな車が沢山登場し車視点で描写されるというのも斬新ではある。ただ、車種などに全く詳しくない私が読んでも、その面白さは半減しているだろうし、宮城県の地名や描写が多いので、宮城県を全く知らない人にとっては評価が下がると思われる。
(個人的に宮城県は縁がある土地なので面白かったが。)

まあ、小洒落てはいるもののやはり軽い。