私には気の置けない仲間がおります。
その仲間は住宅の考え方はまったく違うのですが、ひととして魅力的な方なのでたまに酒を呑み、語らい合う仲です。
家づくりについて、お互いが正しいと思うことはまったく違うのですが、たまに会って意見交換します。
私が正しいと思う家づくりは
・地震に強い家にすること。日本は地震国ですので。
・温熱環境に配慮した家にすること。
・化学物質や電磁波の影響のない家にすること。
・もちろんお客様のご要望を建築のプロフェッショナルとして形にすることは言うまでもありません。
友人が正しいと思う家づくりは
・地震に強い家にすること
・温熱環境に配慮した家にすること
・価格をできるだけ安くすること
・お客様のご要望を叶えることは言うまでもありません。
この中で『地震に強い家にすること』と『温熱環境に配慮した家にすること』は同じ考えなのですが、
その実、内容はまったく異なります。
私は地震に強い家にしますが、人工的な化学物質でつくられた合板などは一切使わずに、バランスがとれた家にするとともに地震の揺れを半減させる制震ダンパーを標準としております。
しかし友人の地震に強い家にするとは、合板で床、壁、天井を固めることにより、サイコロのように立体としての強度を確保することを標準としております。
温熱環境についても夏の暑さや冬の寒さを家に取り込まない考え方は一緒ですが、その素材は大きく異なります。
そして何よりも一番大きな視点としてはお家に使われている人工的な化学物質や電磁波の影響への考え方です。
友人曰く、お家に使われている人工的な化学物質の影響は科学的な根拠はまだなく、化学物質過敏症も全員が発症するものではない、という考え方です。
であれば、現在、国が認めて一応安全とされているF☆☆☆☆(えふフォースター)を使ってなるべく費用のかからない家づくりが良いのではないか?そしてお客さまの手に触れる部分だけ自然素材を使えばよいのではないか?という家づくりです。
一方私は化学物質過敏症の方や電磁波過敏症の方と実際にお会いし話を聞き、家づくりの相談を受けているために、化学物質過敏症の方がよくないといっていることはまだ発症していないひとにとってもよいものではないのではないか?という予防原則に則り、極力、人工的な化学物質を使わない家づくりをしていきたいと考えております。
しかしどちらにしましてもお客さまが何を求めているのか?その視点が一番大切です。
残念ながら私の家づくり「お家に使われている人工的な化学物質」や「電磁波」の影響のない家づくりは、
家づくりを考えている方にとりましてはあまり関心がない、興味がない、あるいは知らない、という状況です。また友人が言うように科学的な根拠はまだまだ少ない状況です。
おもしろいことにこれだけ違った考え方の家づくりをしているにもかかわらず、お互いが相手を批判しないという考え方をしているためでしょうか、喧嘩にもならず言い争いにもならず、お互いが言うことにいちいちなるほど、と考えさせられるときを過ごします。
そしてしばらく会わないでいるとどちらともなく連絡を取り合い、会ったりします。
友人が言っていることも「お客さまが何を求めているか?」「お客様の笑顔のために」考えた末の家づくりですし、もちろん私の家づくりも「お客様の笑顔のための家づくり」です。
お互いが視点が違うだけで最終的な目的は一緒なのです。その手段が違うだけなのですね。
私は、地震に強く、温熱環境にも優れ、かつお家に使われている人工的な化学物質や電磁波の影響のない家づくりが、お客様の、お客様ご家族みなさまの幸せにつながると考えております。
ですのでこちらから人工的な化学物質や電磁波の影響などの情報を押し付けるのではなく、自然に人工的な化学物質や電磁波の影響のない家づくりとなるようにお話しをさせていただくことが多いです。
正しいと思うことVS正しいと思うこと
中にはお金儲けや自分のための家づくりをしている建築士や工務店さんもいるかもしれませんが、多くの建築士や工務店さんはお客様の笑顔のために日々努力しております。
ただその手段が違います。
ですのでみなさまにとりましてなにが一番大切なのか?一生にそう何度もあることではない家づくりの際に考えてみてはいかがでしょう?
SEKAI NO OWARI ♬Dragon Night[HD]
ひと・すまい・くらし一級建築士事務所