
「とある飛空士への追憶」公式サイト
ひそかに楽しみにしていたこの作品。
さっそく鑑賞いたしました。
え~、もう最初に結論言っちゃうね。
100点満点で75点です。悪くはないけど、突出して素晴らしいというわけでもない。
いやいや、むしろ「ある意味、ザンネンな作品」だと思います。
とはいえ、私情だだ漏れな感想を述べさせていただきますと、実はワタクシ、これものすごく好きです。最後はもう涙ボロボロボロですヮ。
ええ、そうなんです。このテのですね、「究極の寸止め状態」とでもいいますか、こういうのが超絶ツボなんすよ~。
・・・え?「こういうのって、どういうヤツ?」ですと。
うむ。説明いたそう。
が、その前に。
この作品のあらすじっちうか、基本設定みたいなもんをささりと。
物語の舞台は、地球みたいだけど地球ではありません。パラレルワールド別地球?
ので、この世界の科学は、我々とはまったく別方面に進化したようです。水から水素エネルギー抽出ですと。おお!そりゃ「世界侵略ロサンゼルス決戦」のエイリアンと同じじゃないですかぁ。(あっ、ネタバレ?)
ま、とにかく別世界つーか、別の星が舞台です。
この星には、どうやら二つの大陸・二つの国しかないらしい。それが神聖レヴァーム皇国と帝政天ツ上(あまつかみ)。
二つしかない国が、派手派手に戦争をやってます。
戦争ってやつは、背後に複雑な要因が絡まって起きるものです。しかしこの二つの国は、何を巡って戦っているのか、まったくわかりません。否、全然描写がありません。
劇場パンフの解説を読むと、資源がらみでしょうか。実は天ツ上の領土の一部・サンマルティリア領を、レヴァームが奪い取って植民地支配しているんですと。え~?そんな描写or説明あっただろうか・・・いや、ない

サン・マルティリアの支配者が大貴族様のデル・モラル公爵で、その一人娘がヒロインのファナです。
ファナは、チャラい若造のカルロ皇子(次期皇帝)のもとに輿入れが決まってます。でも、戦争(中央海戦争、というらしい)が激化したため、なかなか結婚式ができません。
そんなこんなをやってるうちに、いよいよ天ツ上がサン・マルティリアを急襲。公爵が死亡、ファナ姫(公爵の娘なんだから、姫と呼ぶべきでしょう)も危うい状況に。
皇帝の息子の婚約者がやられちゃったら、こりゃもう皇国の沽券にかかわりますわな。で、へなちょこ皇子が姫救出のために艦隊を出動させますが、天ツ上にボコられてしまいます。
やばい。これマジでヤバいっす~(涙)・・・ならば姫を本国へ無事に送り届けるまでですヮ。
そこで選ばれたのが、航空隊一の腕前を持つ若手パイロット、狩乃シャルル。実はシャルル、父はレヴァーム人ですが、母は天ツ人(ぶっちゃけレヴァーム=コーカソイド、天ツ上=日本人です。天ツ上軍は、まんま旧日本軍をモチーフにしています)
レヴァーム人は、天ツ人をあからさまに差別しているので、シャルルは子供の頃からイジメられまくり。ものすごく可哀想な主人公っスよ

天ツ上を欺くため、ファナを乗せたシャルルの機は、たった一機で海を渡ることになります。
目指すレヴァームまでは12,000km。さあどうなる?
さて、ここでツッコミね。
ひそかに姫を護送する作戦ですが、ヘタレ皇子の間抜けな行動により、どうやら天ツ上に全部バレバレ。
そのことに気づいたシャルルが「なんちうことしてくれるんだよ!」みたいに悲憤慷慨しますけど。あのう。
出撃前夜に、サン・マルティリアの兵士全員が酒場で決起集会と言う名の宴会をやってますが、大声で「姫さんを無事に送り届けるぞー!」とか叫んでますけど。
サン・マルティリアってねえ、天ツ上大陸(ていうのか?)の一部ですから、もともと天ツ人がいっぱいいたわけですよ。ので、シャルルの母が天ツ人なんですよ。酒場で騒いでいたら、絶対密告者がいますぜ?極秘作戦もク○もねーよ!
だいたい、そんなに重要な作戦なら、ほんの一部にしか真実は明かしませんって。一般の兵士には「重要物品を運ぶ任務」と言うはずです。
それからね~、天ツ軍よ。姫さん狙って屋敷を爆撃なんて、あまりにもなさけねーよ。奇襲かけるんなら、サン・マルティリアの軍基地、特に滑走路をぶっ壊さないと。それで「サムライ」なんて、あまりにチンケな

いや、いいんです。そういう所を味わう作品じゃないんです、これは。
だいたい、中央海のど真ん中に、ナイアガラの滝みたいな大瀑布がありますが。こういう地形が成り立つ自然条件ってどんなの?ちょっと想像できない。絵的に「いける、これ!」みたいなノリだってことがミエミエですヮ。
・・・いや、だからね。そういうことはどうでもいいんですよ、この作品では。
では、この作品の何がいいのか。
そりゃもう眉目秀麗な若い男女が、死線を乗り越える─となれば、ロマンスですわな。も、ぜってーロマンス誕生。
でも、決して二人は結ばれない。結ばれてはいけない。お姫様と下賎な混血の兵士、身分違いの恋なのね

はい、こういうのね、私はローマの休日モノと呼んでおります。
心の奥深く、互いを求めつつもすれ違う。究極の寸止め恋愛。
いいじゃないですかぁ。だってヒーローに女はいらん!のだよ。
ヒーローは孤独であるべし。
ベタベタな恋愛ものとしてみれば、もう終始一貫してお約束のてんこ盛り。
最終盤のシャルルの行動は、「あ、やっぱりね。ぜってーそれやるだろうと思ってたよ(笑)」です。
いい。じつにいいです。何のてらいもなく、偉大なるワン・パターン路線を突き進む潔さ。
佳作です。ホントです。
さて、ここで最初に述べました「ザンネンな作品」の意味を明かしましょう。
あのなあ。ジブリの真似すんなよ

ようするに「声優としてはド素人の一般タレントを使うなよ!」
はっきり書いちゃうよ。ファナ役のアイドルタレントさん、史上最悪です。ホントにオーディションで選ばれたんですか?冗談キツいっス。
ファナは、実は活発おきゃん娘なんですよ。成長するにつれて本来の自分を押し殺し、お人形のように皇妃への道まっしぐら。でも、冒険の旅の果て、シャルルへの思いと共に本来の自分が甦る─という設定のはずなんです。それが、1割も演じきれていない惨状。
ですから、物語の前半と後半で、ファナが別人みたいで違和感バリバリ。はあ(嘆息)
もひとつ、声優としてはそれなりの実績がある神木隆之介(シャルル役)も、今回はミスキャスト。
「サマーウォーズ」のような、リアル自分(18歳になったばかり)と等身大な年齢の役柄ですと、じつにいい味を出せるんですが。
生い立ちに影があり、心の中にたくさんの葛藤を抱えた20歳のエースパイロットを演じるには、まだまだ人間としての深みが足りなかったですね。
ザンネン。じつに、ザンネン。
3DCGは実に綺麗で迫力あり。雰囲気は、まんま「レッドバロン」。
なにかと比較される「スカイ・クロラ」よりも、私は断然こっちですね。
余談
原作ファンで、アニメ化を楽しみにしていた人たちは、おおむね「・・・(汗)」状態のようですな

ところで、ブログにこんなことを書いている人を見つけました。
─自分のイメージしていた声優は、シャルル=檜山修之、ファナ=島本須美である。
ほおおおお~

いや、それ・・・、
ドンピシャ!
・・・まず声が合わなかったですねえ。そこで、私のオススメは、狩野シャルル→冨永みーな(磯野カツオ)、ファナ→山本圭子(花沢花子)、千々石→若本則夫(花沢金太郎/穴子さん)のサザエさんトリオですね~これなら三回は絶対に観たいですね(笑)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・真面目な話、狩野シャルルは(仮に少年として)入野自由(『星を追う子ども』のシュン/シン)が良かったかも・・・ファナは誰が良いかわかりません。千々石は案外合ってたかも。
(続く)
あとキャラの年齢と心理も難が。
狩野シャルルが少年兵なら淡い恋でも良いのですが、百戦錬磨のエースパイロットなら、幾多の戦友の死を越えて「男」として成長しているハズなので、「箱入り娘」同然だったファナとは釣り合わない・・・
また、彼らは幼少時に一度出会ってますが、「思い出」であって「初恋の記憶」で無かったのが二人を結び付けるのにやや弱い・・・
また、シャルルがやさぐれずに優しさを失わなかった要因が、母の子守歌とファナとの思い出では何か物足りないです(原作にない要因を脚本で用意しても良かったのでは)。
『八日目の蝉』では丹念に「女性」を描いた脚本家ですが、今作特に「男性」については上手く描けて無かったように思われて残念です(千々石中尉のキャラも掘り下げても良かったと思われます)。
・・・散々書き散らしてしまいましたが、それでも私は観て良かったと思ってます(空戦とラストが本当に良かったですから)。原作も読んでみたいです♪
追伸
『カイジ2』は今年の邦画で間違いなく一番です!
>狩野シャルル→冨永みーな(磯野カツオ)、ファナ→山本圭子(花沢花子)、千々石→若本則夫(花沢金太郎/穴子さん)
いや・・・それは・・・特に千々石がその方ですと、ブルッちゃいますがな
まあ全体的に、ダイジェストっぽかったですよね。全10話くらいのTVシリーズ向けな題材、という感じがしますな。それなら丹念に描けるでしょう。
いや、私もね。これホントに気に入った作品なんで、なおさらザンネンなんですよ。
しつこいですが、最後はマジで涙ボロボロでしたから
ところで声優さんの話に戻りますが、千々石役の人も、声優さんじゃなくてタレントさん(お笑いの人?)ですね。でも、こっちはなかなか良かった。
ほかならぬ主役二人だけがトホホで、あとはノープロブレムってのは、やっぱり大問題じゃないだろうか
でした(汗)
・・・ついでに言ってしまいますと、主題歌か子守歌なのが、本当に残念でした。『星を追う子ども』の『ハローグッバイ』や『八日目の蝉』の『Dear』みたく時々口ずさめるような印象に残る曲に個人的にはして欲しかったです(-_-#)
ワタクシ、全然気づきませんでした。規則の則じゃなくて、規さんでしたね
ん?てことは、「規則」とは「ノリノリ」という、・・・やめます。
>主題歌か子守歌なのが、本当に残念でした
あのう・・・そもそも歌ってる人が下手(強制終了)