桜井健二氏の本を初めて読みましたが、何冊か読んだマーラー本の中でもかなり面白いほうですね!写真が多いし、あまり知られていないようなマニアックなことも書いてあります。
これらの本に何回か驚かされた中で、うわーって思ったのがアルマ・マーラー(Alma Maria Mahler-Werfel, 1879-1964)の写真についてです。
この有名な写真は1896年、アルマ・シントラー17歳のときに撮影されたものです。この写真で「アルマ・ファン」になられた方も多いのでは?
ところが桜井さんの『マーラー万華鏡』の143ページ「剥がされるミューズの仮面/アルマ・マーラーの虚と実」ではこの写真にはかなりの修正が施されていることが書いてあります。
左が修正前の写真で、右は上とほぼ同じ写真です。修正前でも十分美しいですが、それでもあら~って感じ。誰がどんな経緯で修正したんでしょうか?
修正前の写真はアルマの死後、フランスのマーラー研究家のグランジュ【Henri-Louis de La Grange(1924年生まれ)】の本で初めて公開されたものだということです。見栄っ張りのアルマが生きている間は怖くて出せなかった??
桜井氏はさらに、アルマの相次ぐ不倫や、交響曲第10番をマーラーの願いを裏切ってファクシミリ版を出版したことなどをあげ、「はたして、アルマは本当にマーラーを愛していたのだろうか?」と疑問を呈しています。
。。。アルマって本当に魅力的かつ謎すぎる女性ですね。10番の出版に関しては、むしろクラシック・ファンはアルマに感謝すべきだと思います~