【2015年3月24日の記事にコンサートの客の入りについて情報を追加しました。】
1970年(昭和45年)と言えば万博(日本万国博覧会)!
その公式ガイドの「フェスティバルホールの催し物」を見たら、すごく豪華な出演者なんでビックリしてしまいました。
音楽ファンとしては万博見学してる場合じゃね~ぞって感じだったことでしょうね。
以下、その出演者と曲目です。
(1970年2月15日現在の「予定」なので本番は変更がいろいろあったと思いますので情報追加・訂正していきます)
3月15日
開幕演奏会
NHK交響楽団
岩城宏之指揮
ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」
黛敏郎「BUGAKU(舞楽)」
三善晃「祝典序曲」
3月16日~22日
ベルリン・ドイツ・オペラ
ロリン・マゼール、ブルーノ・マデルナ指揮
ワーグナー「ローエングリン」
シェーンベルク「モーゼとアロン」
ブラームス「ドイツ・レクイエム」
4月14日~20日
パリ管弦楽団
ジョルジュ・プレートル、セルジュ・ボド指揮
ピアノ:アレクシス・ワイセンベルク
マーラー 交響曲第1番「巨人」
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 ほか
4月18日
ワイセンベルク ピアノ・リサイタル
ラヴェル「クープランの墓」
ラフマニノフ 前奏曲
シューマン「交響的練習曲」より5曲
4月24日、25日
スイスの夕べ
読売日本交響楽団
シャルル・デュトワ指揮
ソプラノ:リーザ・デラ・カーザ
フルート:オーレル・ニコレ
オネゲル 交響曲第3番「典礼風」
オトマール・シェック 歌曲集【なかなかマニアックですな】
フランク・マルタン 「フルートと弦のためのバラード」
4月27日、29日
二期会によるワーグナー「ラインの黄金」
二期会(大橋国一、栗林義信、中沢桂ほか)
読売日本交響楽団
若杉弘指揮
5月8日~14日
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ベートーヴェン交響曲ツィクルス
5月15日~18日
クリーヴランド管弦楽団
ジョージ・セル、ピエール・ブーレーズ指揮
ヴァイオリン:ダニエル・マジェスケ
ピアノ:ゲイリー・グラフマン
モーツァルト 交響曲第40番
バルトーク ヴァイオリン協奏曲
シベリウス 交響曲第2番 ほか
5月24日~29日
カナダ国立バレエ団
大阪フィルハーモニー管弦楽団
プロコフィエフ 「ロメオとジュリエット」
ヒンデミット 「四つの気質」ほか現代バレエ3曲
6月4日
読売日本交響楽団
若杉弘指揮
6月6日、7日
パイヤール室内管弦楽団
ジャン=フランソワ・パイヤール指揮
6月12日
日本フィルハーモニー交響楽団
小澤征爾指揮
6月19日、21日
ローマ室内歌劇団
ローマ合奏団
レナード・ファザーノ指揮
ロッシーニ「結婚手形」
ジョヴァンニ・パイジエッロ「セヴィリアの理髪師」【なかなか!】
チマローザ「宮廷学士長」
6月22日
ローマ室内合奏団
レナード・ファザーノ指揮
6月24日
NHK交響楽団
岩城宏之指揮
ヴァイオリン:海野義雄
武満徹「テクスチュアズ」
チャイコフスキー 交響曲第5番
モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番
6月25日~27日
モントリオール交響楽団
フランツ=パウル・デッカー指揮
アルト:モーリン・フォレスター
ピアノ:フィリップ・アントルモン
モーツァルト 交響曲第41番「ジュピター」
ワーグナー「ヴェーゼンドンクの5つの歌」
6月29日、30日
團伊玖磨 歌劇「夕鶴」
大阪フィルハーモニー交響楽団
團伊玖磨指揮
伊藤京子、栗林義信、宮本正ほか
7月1日~5日
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
エフゲニー・ムラヴィンスキー(※1)、アルヴィド・ヤンソンス指揮
7月8日
大栗裕 歌劇「地獄変」
大阪フィルハーモニー交響楽団
朝比奈隆指揮
桐絃社社中、関西歌劇団、樋本栄ほか
7月14日
京都市交響楽団
7月20日
大阪フィルハーモニー交響楽団
朝比奈隆指揮
ヴァイオリン:辻久子
ハチャトゥリアン ヴァイオリン協奏曲ほか
8月6日~11日
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
サー・ジョン・バルビローリ(来日直前に亡くなったためジョン・プリッチャードが来日)、エドワード・ダウンズ指揮
アルト:ジャネット・ベイカー
ピアノ:ジョン・オグドン
アラン・ロースソーン「ストリート・コーナー」
ラヴェル ピアノ協奏曲 ほか
8月16日~26日
ボリショイ・オペラ
ムソルグスキー「ボリス・ゴドゥノフ」
ロジェストヴェンスキー、ハイキン指揮
チャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」
ロストロポーヴィチ、ハイキン指揮
ボロディン「イーゴリ公」
シモノフ、エルムレル指揮
主な出演者:ペトロフ、オグニフツェフ、ヴィシネフスカヤ
8月29日~9月1日
ニューヨーク・フィルハーモニック
レナード・バーンスタイン、小澤征爾指揮
武満徹「ノヴェンバー・ステップス」
マーラー 交響曲第9番
ベートーヴェン 交響曲第4番、運命ほか
9月3日、5日
スヴャトスラフ・リヒテル演奏会(※1)
9月7日、8日
イギリス室内管弦楽団
レイモンド・レッパード指揮
テノール:ロバート・ティアー
ハイドン 交響曲第34番
バッハ ブランデンブルク協奏曲第3番 ほか
9月12日
閉幕演奏会
NHK交響楽団
朝比奈隆指揮
ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱つき」
※1 Wikipediaによるとムラヴィンスキーにはこのとき何故か出国許可が下りず、代役でリヒテルが初来日したということです。
(追記:1970年2月15日の予定にそう書いてあるのだから代役のワケないですよね。バルビローリの件とともに沼辺様、ご指摘ありがとうございました。)
(追記)『コンフィデンス年鑑1971年』(オリジナル コンフィデンス発行)に大阪万博関係のクラシック・コンサートの客数の情報が掲載されていました。
万博協会主催のコンサートについて1回あたりの平均客数が多い順から並べてみます。(単位:人 / 回)
カラヤン指揮ベルリン・フィル 3,400
リヒテル・リサイタル 3,000
朝比奈隆指揮N響(フェアウェル・コンサート) 3,000
レニングラード・フィル 2,575
岩城宏之指揮N響 2,500
岩城宏之指揮N響(オープニング・コンサート) 2,200
プレートル、ボド指揮パリ管弦楽団 2,050
セル、ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団 1,875
ベルリン・ドイツ・オペラ 1,650
ニュー・フィルハーモニア管 1,600
モントリオール交響楽団 1,433
パイヤール室内管弦楽団 1,400
小澤征爾指揮日本フィル 1,300
バーンスタイン、小澤征爾指揮ニューヨーク・フィル 700
・カラヤン/ベルリン・フィルがダントツで3,400人。旧フェスティバルホールは2,700席だということなので、臨時で座席を追加したということでしょうか。
・リヒテルも人気が高かったんですね。
・レニングラード・フィルはムラヴィンスキーが来れなかったのに健闘しています。
・クリーヴランド管弦楽団はセル、ブーレーズだからもうちょっと客が入ってもよかったのでは?
・ニューヨーク・フィルがドベ。700人!?バーンスタインって当時はあまり知名度が高くなかったんでしょうか?(そんなワケないですね。きっと集計ミスか何かでしょう。)
上の一覧リストのうちで大きな変更は、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団の指揮者でしょう。来日直前にバルビローリが急逝し(日本公演のリハーサル中に発作で斃れた)、代わりにジョン・プリッチャードが来日したのでした。あとは大体このとおり実現したと記憶します(ボリショイ・オペラの指揮者に少し異同がありました)。
もうひとつ、ムラヴィンスキーが来なかったため、代役としてリヒテルが初来日したとありますが、実際にはムラヴィンスキーの件とは無関係に、リヒテルの来日はあらかじめ決まっていたと記憶します。だからこそ、この1970年2月現在の公式ガイドにもリヒテルの名が記載されているわけで。これはよくWikipediaにありがちな不注意な誤りですね。1973年にリヒテル来日が急に中止になり、その代わりにムラヴィンスキーが初来日した経緯と混同しているのだと思います。以上、老婆(老爺?)心ながら。
いつもありがとうございます。
> 来日直前にバルビローリが急逝し(日本公演のリハーサル中に発作で斃れた)、
代わりにジョン・プリッチャードが来日したのでした。
なんと!バルビローリが来日したなんてことは聞いたことがなかったので自分も不思議に思っていました。
> 実際にはムラヴィンスキーの件とは無関係に、リヒテルの来日はあらかじめ決まっていたと記憶します。
だからこそ、この1970年2月現在の公式ガイドにもリヒテルの名が記載されているわけで。
たしかに。。寝ボケてました。
> 1973年にリヒテル来日が急に中止になり、その代わりにムラヴィンスキーが初来日した経緯と混同しているのだと思います。
なるほど。Wikipediaも鵜呑みにはできませんね。
ところで沼辺様は「語り継がれるべき」コンサートにかなりいらっしゃっているようで、羨ましいです。
今後も関連情報などありましたらよろしくお願い致します!(図々しいお願い?)