チュエボーなチューボーのクラシック中ブログ

人生の半分を過去に生きることがクラシック音楽好きのサダメなんでしょうか?

マーラー交響曲第6番~打楽器の風刺画(1907年)

2015-09-21 23:22:38 | 楽器

マーラーの交響曲第6番のウィーン初演は1907年1月5日(エッセンでの初演は1906年5月27日)だそうですが、その2週間後の1月19日には早くも週刊誌「ムスケーテ」の表紙においてこの曲の打楽器の多さがからかわれています。

フリッツ・シェーンプルーク(Fritz Schönpflug, 1873-1951) による有名なカリカチュア。「チクショー、警笛を忘れた!もうひとつ交響曲が書ける」

↑ ひどいお顔

この絵で、ティンパニに乗っているのがハンマーだってことくらいはわかるのですが、他がイマイチ何の楽器なんだか自信がありません。。

↑ (参考)第4楽章の打楽器より

 

絵の左からいきます。

↑ これはカウベルですよね。

 

↑ このホウキみたいなのは何?(追記: これが「ルーテ」という楽器らしいです。では下のは何?)

 

↑ これはルーテと呼ばれる「むち」なんでしょうか?ルーテというのはトルコの軍楽楽器だそうです。

 

↑ Holzklapper(木製のむち)?Wikipediaの写真とかなり違います。

 

↑ マーラーの足もとの杖みたいなのは楽器?

 

↑ ヘルメット?

 

 

。。。間違いを直していきます。


コントラバスの弓(フランス式とドイツ式)

2015-09-11 22:28:06 | 楽器

近衛秀麿著『オーケストラをきく人へ』(婦人画報社刊、1950年)を読みました。

何しろ65年前の古い本なので、どうせみんなが知っているような基本的なことしか書かれてないんだろうなー的な、なめくさった態度でいたんですが、とんでもなかったです。
近衛さんのレクチャーを直接受けているような気分にさせられる本です。



コントラバスの章を見てみます。

「コントラバスは、その絃が長いことから、きわめて多様のフラジオレット音をだし得ることが理論的に、昔から着眼されていましたが、それを存分に使いこなした作曲家はあまり多くありません。ただラヴェルが主として小編成の場合、例えば組曲『ラ・メール・ロワ』などで示した妙技はまったく驚くべきものです」

なるほど!それと、コントラバスの弓とその持ち方にはフランス式とドイツ式があるってことを恥ずかしながら初めて知りました。

この持ち方、たしかにどっちも見たことがあります。



「コントラバスを演奏の際、弓の持ち方には図で示すようにドイツ式とフランス式の二様があります。双方の特色は一長一短ありますが、チェロと同じ持ち方のフランス式は、優雅な旋律や複雑な楽句に対して、弓さばきが自由で優れていますが、ドイツやロシア音楽独特の、低音の鋭いアクセントを強調するには不向きのようです。
 この構造まで違う二様の弓の分布は、ヨーロッパでいうと、ライン河以北のドイツ系と北欧、バルカンの諸国が全部ドイツ式で、フランス、スペイン及びベルギーの7割、イタリア、スイス、オランダの五割ぐらいがフランス式と思って間違いないでしょう。アメリカでは都市によって多少の差異はありますが、だいたいこの両式が相半ばしています。日本では、ようやくフランス式がふえ始めました。」

。。。持ち方だけでなく弓自体の構造も両方式で違うらしいのですが、卓球でいうとシェイクとペンみたいなもん?

このフランス式とドイツ式はいままで全然気にしていませんでしたが、これからは、テレビなどでオーケストラを見るときチェックしようと思います。

ポイントとしては
・現在、どちらが主流なのか?
・一つのオーケストラで両式が混在することがあるのか?(混在したら音色がボヤけやしないか)
・一人のコントラバス奏者がふたつの方式を臨機応変に切り替えることができるのか?
・イタリア式など、ほかの持ち方はないのか?

自分が知らないだけで、クラシック愛好家のあいだでは常識的なことばかりなのかも。。


デカいコントラバス

2015-05-10 23:51:11 | 楽器

コントラバスの歴史本の表紙にやたら大きいコントラバスの絵が。


冗談かと思ったら本当にある楽器なんですね。「オクトバス」。

でも弦はどうやって押さえるんだろう?左手が届かなそう。

↓ 手が届くところに鍵盤のような装置が付いていました。

↓ でもこれはその装置が付いていなくてフレットレス。高さ2メートル47センチ。

↓こっちはもっと大きくて高さ4メートル50センチだそうです。もはや実際に演奏することを想定していない?

(情報を追加していきます)


プリマ楽器の広告から村松孝一、柳澤孝信、北爪利世(1956年)

2015-03-09 22:23:04 | 楽器

『音楽之友』1956年12月号から、プリマ楽器の木管楽器の広告です。

何気ない広告に見えますが、ここに登場する人物をWikipediaで調べると日本の音楽界に貢献した人たちばかりでした。


まず、「株式会社大橋次郎商店」は、1948年に設立され、日本製の楽器を世に広めることに貢献し、1955年頃倒産したけど1957年に設立された別会社プリマ楽器有限会社が業務を引き継いだということです。

東京の日本橋村松町17って、今の中央区東日本橋1-1-8なんですね。確かに今もこの会社がここにあります!



次に、ピッコロ・フルート製作者の村松孝一氏(1898-1960)はムラマツフルートの創始者で、日本のフルート製作の歴史に多大な貢献をされました。



さらにサックスの製作者柳澤孝信氏は1951年に楽器作りを志し「柳澤管楽器株式会社」を設立し、「ヤナギサワ」ブランドのサクソフォーンで世界的にその名を知られているそうです。梅宮辰夫ファミリーとも関係が深いんですね。



最後に写真の東京交響楽団の北爪利世(きたづめりせい、1916-2004)氏は、日本音楽界の草分け的クラリネット奏者で日本クラリネット協会名誉会長(初代会長)という、これまたすごい人。

↑ 出荷前のクラリネットを検査中の北爪氏。



。。。これだから昔の雑誌の広告は侮れません~(クラリネット製作者の小竹末広さんについては調査します)


電子楽器「テルミン」(昭和初期)

2014-11-29 23:33:19 | 楽器

近衛秀麿・菅原明朗著『楽器図鑑』(清教社、昭和12年)には様々な楽器の説明と図解が満載で、これが77年も前の本だとは思えないくらいです。

この本の最初のほうに、いきなり「電波楽器」の項があり、従来の楽器の制限・限度を全て解決することができるが、「テレミン、マルティノの二種と、半ば電気を利用したヴィブラフォーンがあるきりである。」との記述があります。

「マルティノ」はトゥーランガリラ交響曲等で活躍するオンド・マルトノのことでしょうね。

もう一つの「テレミン」はWikipediaによると日本では「テルミン」と呼ばれ、手を近づけたり遠ざけたりすることによって音の高さと音量を変える楽器だということです。

この写真では晴れ着の女性が笑顔で演奏していますが、どこの会場でしょうか。観客もいるように見えます。戦前の日本って想像以上にススんでました。