んがーて言わないで！

　今年も色々なことがあったが、過ぎてみるとたちまちのうちで、今こうして家族一同つつがなく年の瀬を迎えている。天気も穏やかな日が続き、食欲は至って旺盛であり、日々私は遊び、歌い、食べては眠る満ち足りた日々を過ごしている。

　クリスマスには一日早い２３日、サンタさんからプレゼントが届いた。「ねえみのりくん、いいこ? サンタさん来る？」と直前まで何度も父殿母殿に尋ね、「うーん、半分くらいいい子かな？」「まあまあいい子だけど、ごはんの前におやつおやつって言ったり、歯みがくときにやだやだって言ったりしてたりしたら来ないかも」等その都度不安を抱かせるような回答を受けていたのが、これで一安堵、一転して大喜びになった。包みを開くと、かねてからおもちゃやさんに出かける度長い時間遊んで前を去りがたかったプラレールの新幹線キットで、早速組み立てていただき走らせ、飽かず楽しんだ。眠るときも布団に引き込んで寝た。

　翌２４日には母殿が大きなステーキを焼き、父殿がクリスマスケーキを買ってきて、シャンパンを音を立てて抜き、ローソクを私がふうっと吹き消して楽しいパーティーとなった。大好きなイチゴを父殿母殿の分まで奪ってたっぷりと食べ、オレンジジュースで乾杯して、いつもよりずっと遅くまで起きてクリスマスを堪能した。さらに２５日には保育園でクリスマス会で、この日のために自分たちで生地をこね型抜きをして作ったクッキーを食べ、ジングルベルを大きな声で歌って過ごした。大阪のばあばからも小包でご本と、一足早いお年玉を送っていただき、電話でお話しをしてお礼を述べた。

　夜寝るときは近頃たいてい父殿と一緒である。お歌のＣＤをかけてもらい、聞きながらゆっくり眠りに落ちていくのを良しとする。ところが、時折この私の楽しみに妨害が入るのである。それは一緒にお布団に入っている父殿であり、私より先に眠りに落ちるのはいいのだが、その際に甚だ大音響でいびきをかくのである。音楽鑑賞を妨げられまいと、私は父殿を揺さぶり、「んがーて言わないで！」と抗議する。父殿はっと目覚めて、「ごめんごめん」と体の向きを変えたりしてしばらく静かにしているが、少し立つとまた「んがー」である。私再び、猛然と「んがーて言わないで！」「ごめんごめん」とまた父殿、ひとしきり枕の位置を変えてみたり横向きになってみたり。こんなことが始終繰り返される。まあかく言う私自身も、眠りに落ちると決して父殿にも劣らない迫力でもっていびきをかくのが習癖であるから大きなことは言えないのであるが。

　来年はいかなる年になるか。目下の楽しみは、父殿母殿二人そろってバイクの免許取得後１年経過することにより二人乗りが容認され、それにともない私がバイクの後ろに乗せてもらえるようになるということである。父殿は既にカナダのバイク洋品店から、チャイルドライディングベルトと称する、私を背中にくくりつけるグッズを取り寄せている。このほかにバイク用のチャイルドシート、ヘルメットその他を別途買い求める予定であるが、タンデム走行が実現すれば、３人揃ってどこへでもベイクで出かけられることになり、行動半径は大きく広がることであろう。どんな冒険が待っているか、大いに楽しみである。
　
　また来年二月には、父殿の学生時代からのご友人で先日東京に見えられた際に婚約者の方を伴われ私もお目にかかったＩさんがご結婚式を挙げられることになっており、父殿、母殿とともに私も招きを受けている。挙式は広島で行われるそうで、久しぶりに新幹線で旅をすることになり、これも今からわくわくして楽しみにしている。結婚式というのはどういうものだか知らないが、華やかな席に多くのご馳走、ケーキの類が並ぶことは確かかと思われ、大いに私の人生経験を深めてくれそうに思われる。

　いい子にしてるから、どうぞいい年を迎えられますように！