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【電通の仕事を初めて知る国民】汚れた東京五輪「疑惑の構図」と捜査の可能性

2016年05月22日 07時48分32秒 | 感想&独り言!!
汚れた東京五輪「疑惑の構図」と捜査の可能性
 
 
2016年05月19日(木) 伊藤 博敏
 
 
 

疑惑の背景

2020年東京オリンピック誘致の際、

日本の招致委員会が国際オリンピック委員会(IOC)委員の関連する会社に約2億3000万円を支払ったという疑惑。

焦点は、次のように絞られてきた。

 

支払い先のイアン・タン氏は、それだけの支払いに見合う働きをしたコンサルタントなのか、

それとも指摘されるIOC委員、ラミン・ディアク国際陸上競技連盟(IAAF)前会長の単なるダミーで、

実態はディアク氏に対する贈賄資金だったのか――。

 

疑惑の背景を探ってみたい。

オリンピックだけではなく、ワールドカップや世界陸上など、大きなスポーツイベントでは、

開催地の決定権を持つ理事や委員などに、様々な形で「取り込み工作」が行われるのが常識だった。

 

背後には、スポーツイベントのビッグビジネス化がある。

ソ連のアフガン侵攻を理由に、西側諸国が1980年のモスクワオリンピックをボイコット。

その代替として、83年に第一回の世界陸上競技選手権大会がヘルシンキで開かれ、

84年に「オリンピックを変えた最初の商業五輪」であるロサンゼルスオリンピックが開催された。



放映権料は跳ね上がり、スポーツメーカーなどがスポンサー権を求めて競い、

ロゴやグッズ類までビジネス化された。

そこにいち早く目を付け、スポーツ・マーケティング会社を立ち上げたのが、

スポーツ用品メーカー大手「アディダス」創業家のホルスト・ダスラー氏と日本の電通だった。

両者は、82年、折半出資でインターナショナル・スポーツ&レジャー(ISL)を設立する。



このISLが、ダスラー氏の急逝と、モータースポーツやプロテニスなど多面展開の失敗もあって、

01年、6億スイスフランもの欠損を出して倒産する。

スイス史上二番目の大型倒産で、それもあって債権者と検察当局の厳しい追及が始まり、

ISLの経営陣は08年に起訴され、公判を迎える。

 

この時までに、経営方針の違いもあって、電通はISL株を売却、10%にまで落としており、それが幸いして、

事件に巻き込まれることはなかった。

だが、公判で明かされたのは、FIFAやIOCに群がるスポーツマフィアたちの凄まじいまでの金銭欲であり、

それに応えなければ開催権を得られないというワールドカップやオリンピックの現実だった。

 

 

裏ガネを欲しがるドンたち

このISLで明らかになった構図が、東京オリンピック招致の贈賄疑惑につながるので、もう少し続けたい。

ISL倒産までの10年間にスポーツ界のドンたちに支払われたのは1億5800万スイスフラン

(現在のレートで約175億円)にものぼる。

そこまで賄賂を渡せば経営が苦しくなるのは当然だろう。

 

「なぜそれほど長期に渡し続けたのか」と、判事が被告に尋ねたところ、「みんなが欲しがるからだ。

賄賂を渡さなければ契約してもらえない」と、被告はドンたちの貪欲を訴えている。

 

公判には「裏ガネ送金リスト」も提出され、そこには個人名ではなく何十もの企業名、ファンド名が記されていたが、そのオーナーを探ると、FIFAのアベランジェ前会長や、その女婿で南米サッカー界に君臨するテイセイラ執行委員などが浮かんできた。

経営から手を引いていた電通は、こうした工作には関与していない。

ただ、後に、担当だった高橋治之元専務が『電通とFIFA』(田崎健太著)で明かしたところによれば、

電通はISL株売却の際、売却益のなかから8億円をISLに渡している。

目的は「02年ワールドカップ日本招致のための活動費」だったという。

 

同書では、高橋氏から「ロビー活動費の提供」という報告を聞いた小暮剛平会長(当時)の次の言葉を紹介している。

「高橋君、そのお金をどう使うか、すべてISLに任せた方がいい。

日本では問題になるので、一切触らないように」

 

これが電通の危機管理だった。

ただ、スイスの法廷では、裏ガネを渡したISL経営陣も受け取ったスポーツ界のドンたちも

罪に問われることはなかった。民間人に収賄罪は適用されなかったからである。

 

ISLが経営破綻しても、スポーツイベントのコンサルタントという職種がなくなるわけではない。

貪欲にカネを欲しがるドンたちは健在である以上、ワールドカップやオリンピック招致における

「ロビー活動」も必要だ。

 

そのため、ISLの置かれていたスイスのルツェルンに設立されたのが、

アスレチック・マネジメント&サービス(AMS)だ。ここにはISLの幹部やスタッフや横滑りで就職した。

そして、同社の名が登場するのが、

今年1月、世界反ドーピング機関(WADA)が発表した独立調査委員会報告書だった。

 

電通との関係は?

ここで発覚したドーピング問題利用の金銭授受は、裏ガネを遥かに超えた犯罪で、実際、

それに関わっていた国際陸上競技連盟(IAAF)のラミン・ディアク前会長と、

カリルとパパマッサタの二人の息子は、仏司法当局によって、

汚職と資金洗浄容疑で逮捕(パパマッサタは逃亡中)されている。

 

この時、女子マラソンのリリア・ショブホワ選手に対し、

「ドーピングを見逃す見返り」としてディアク父子が利用した先が、

シンガポールのコンサルタント会社「ブラック・タイディングス」の口座で、同社の代表がイアン・タン氏だった。

 

この口座を調べていた仏司法当局は、ここに日本の招致委員会が、

東京オリンピック招致の決定前後に約2億3000万円を振り込んだことを発見。

タン氏がパパマッサタ・ディアク氏と親しいことから、「招致活動における贈賄」を疑ったのである。

 

WADAの報告書によれば、タン氏は「AMSに雇われたコンサルタント」であり、

「AMSは電通が国際陸連から与えられた商業的配分を行う会社として設立された」とある。


ここで、日本の招致委員会と電通が疑惑に巻き込まれる形となる。

招致委員会の竹田恒和理事長(日本オリンピック委員会委員長)は、

タン氏のことは電通に実態を確認、間違いないと確信して契約したという。



報告書に依るなら、電通はISLの流れを引く会社を設立のうえ、

そこのコンサルに東京オリンピック招致のロビー活動を委ねたわけで、

タン氏の工作の実態が、ラミン・ディアク氏に対する贈賄だったことになれば、

タン氏を信頼した電通、委ねた招致委員会とも厳しい立場に追い込まれる。

 

私は電通に「AMSは電通の子会社か」と質問、

電通は「関係会社ではないし出資もしていない」と回答した。

そこで続けて「かつて出資していたか、設立に関与したのではないか」と再確認したが、

「弊社グループが出資した会社ではないし、立ち上げた会社でもない」と、繰り返した。

 

仏司法当局の捜査は続き、やがて日本の検察に捜査協力が寄せられ、検察による事情聴取が始まるだろう。

世界のスポーツ界を席巻した電通と、東京オリンピック招致を成し遂げた東京都に襲いかかるピンチ。

米司法当局が昨年、FIFAの幹部を14名起訴したように、プロスポーツ界のカネまみれ体質の一掃は、

世界的なテーマとなっている。

「しょせんフランスの話で、日本にまで捜査権限は及ばない」と、舐めてかからない方がいい。



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