「いつかはクラウン」というコピーでお馴染みの(と、どこのメディアも書くんだろうな...)トヨタ クラウンは、
 
初代が1955年発表と長い歴史を持つ日本の代表的高級車。
 
先代の発表から4年を経て行われた今回のモデルチェンジで登場した「S21」型は14代目にあたり、
 
「フォーマルな"ロイヤル"シリーズ」と「高級車に求められるスポーティさを追求した"アスリート"シリーズ」の2本立て、
 
という構成は以前と変わらないが、先代では独立したモデルとされていた「クラウンハイブリッド」が統合され、
 
ロイヤルとアスリートのどちらでも選べるようになった。

Related GalleryToyota Crown Royal

 
Related GalleryToyota Crown Athlete

 
注目すべきはそのハイブリッドに採用された新開発のパワートレイン。
 
先代の3.5リッターV型6気筒+電気モーターに代わって、エンジンを2.5リッター直列4気筒にダウンサイズ。
 
モーターは相変わらず1KM型交流同期電動機を採用するが、
 
その出力特性は以前の最高出力147kW(200ps)・最大トルク275Nm(28.0kgm)から、
 
105kW(143ps)・300Nm(30.6kgm)に変更。つまりトルク重視型になっている。
 
エンジンが小さくなったことにより、JC08モード燃費が14.0km/リッターから23.2km/リッターに大幅向上しただけでなく、
 
価格も100万円以上安くなった。しかもレギュラー・ガソリン仕様。ただしシステム全体の最高出力は、
 
254kW(345ps)から162kW(220ps)へ当然ダウンしている。
 
動力性能より環境性能(と経済性)を重視するようになったわけだ。バッテリーは相変わらずニッケル水素を採用する。
 
なお、このハイブリッド・モデルはやや遅れて、2013年1月下旬から生産が始まるそうだ。



ガソリン・エンジンのみを搭載する(つまり通常の)モデルは、
 
"ロイヤル"シリーズが2.5リッターV型6気筒に一本化。"アスリート"シリーズには3.5リッターV型6気筒も用意されている。
 
2.5リッターV6はこれまで同様「4GR-FSE」型(下の画像:左)だが、
 
こちらも先代の最高出力215ps/6,400rpmと最大トルク26.5kgm/3,800rpmから、
 
それぞれ203ps/6,400rpmと24.8kgm/4,800rpmに若干デチューン。
 
トランスミッションには6速AT「6 Super ECT」が組み合わされる。
 
アスリートのみ選択可能な3.5リッターV6も、引き続き「2GR-FSE」型を使用(下の画像:右)。
 
こちらは最高出力315ps/6,400rpm・最大トルク38.4kgm/4,800とも以前と変わりなし。
 
だがトランスミッションはグレードアップされ、パドルシフト付き8速AT「8 Super ECT」が採用された。



ボディのデザインは「一目で新型クラウンと分かる」スタイルにまとめられ、フロント・フェイスのモチーフは、
 
ずばり「王冠」だとか。ロイヤルとアスリートでは前後バンパーやボンネットの形状が大きく異なり、
 
アスリートにはサイドシルやリア・バンパー下部にスポイラーが付く。
 
丸形テールランプのアスリートに対して、ロイヤルは直線基調。もちろんタイヤとホイールも差別化され、
 
ロイヤルは全グレード215/60R16タイヤと16×7Jアルミホイールが標準。
 
対してアスリートは2.5リッター・モデルに215/55R17タイヤと17×7.5Jアルミホイールが標準となり、
 
3.5リッター・モデルは225/45R18タイヤと18×8Jアルミホイールを履く。
 
車体サイズは"ロイヤル"シリーズが全長4,895mm × 全幅1,800mm × 全高1,460mm(4WDは1,475mm)。
 
アスリートはそれより車高が10mm低い。先代に比べると25mm長く、5mm幅広く、10〜20mm低くなった。
 
車両重量は数十kg程度軽くなっているようだ。




プラットフォームは先代からキャリーオーバーだが、前後サスペンションのアーム剛性を最適化し、
 
新設計のフロント・タイロッドエンド、リア・サスペンションアーム、リア・トーコントロールアームを採用したことで、
 
「高い車両安定性としなやかな乗り心地を高次元で両立」したという。ボディにはスポット溶接打点を増加して剛性を高め、
 
「操舵時の車両応答性やグリップ感、乗り心地の質感を向上」させたとのこと。
 
さらに振動・騒音対策をこれまで以上に追求したそうだ。



インテリアは「日本の美意識を活かした造形や手工芸品の趣がある質感を表現」したといい、
 
一方で各種操作スイッチをタッチパネルに集約した「トヨタマルチオペレーションタッチ」を採用。
 
「その対比と調和によって、伝統と確信が融合したモダンな室内空間を表現」したそうだ。
 
高級車の印でもある木目調パネルには、"ロイヤル"シリーズでは金糸柄入り茶木目、
 
"アスリート"シリーズは幾何学柄入り黒木目という、今までにない新たな加飾意匠が採用されている。




価格は"ロイヤル"シリーズが、2.5リッター・モデルなら353万円〜482万円。4WDは380万円〜505万円。
 
ハイブリッドは410万円〜536万円。"アスリート"シリーズは同等グレード同士ならロイヤルと同価格か少し高めの設定で、
 
2.5リッター・モデルは357万円〜490万円。4WDは380〜513万円。ハイブリッドが410万円〜543万円。
 
さらに3.5リッターV6モデルが497万円〜575万円となっている(いずれも消費税込み)。




ハイブリッド以外はシャシー・パワートレインともほぼ先代から引き継ぎ改良。あとは内外装がお気に召すかどうか。
 
"変わった" ことにより、賛否巻き起こるような議論を呼ぶことはなさそうだ。ただし、1つ大胆な試みとして、
 
2013年末に鮮やかなピンク色のボディ・カラーが特別色として設定される、というニュースをお伝えしておこう。

今回のモデルチェンジでは「原点に立ち返り、クラウンの本質である優れた乗り心地や高い静粛性を磨き上げたうえに、
 
現代においてクラウンに求められる要件を積み上げていくことを念頭に置き開発した」という、
 
14代目新型クラウンについての詳しい情報は、以下のリンクから公式サイトをご覧いただきたい。

トヨタ クラウン アスリート
トヨタ クラウン ロイヤル