がれきの山の楽器たち よみがえれ希望の音色
2011.4.14 10:41
水で楽器の中の砂を洗い出す。パーツを外し、こびりついた泥をふき取る。サクソホン、トロンボーン、チューバにクラリネット…。「がれきに埋まっていた楽器たちを、何とかよみがえらせたい」。盛岡市の楽器店主、安倍一洋さん(52)が懸命に修理している。(SANKEI EXPRESS)
「お金は二の次」
いずれも、岩手県陸前高田市の県立高田高校吹奏楽部の楽器たちだ。
「音程はなんとも。長く使えるかも分からないけど、とにかく音が出るようにしてあげたい」。チューバはがれきに押しつぶされて、パーツが外れてしまった。取り換えればなんとかなりそうだ。塗料と地金の隙間に海水が染み込んでできたシミのような黒い跡。これだけは消えない。楽器に刻まれた津波の傷痕だ。
あの日。7月の地区大会の曲決めをしていた。津波がきた。部員は高台に逃げたが、3階建て校舎の3階まで波が来て、約60のほとんどの楽器が海水を吸った。
部室に残っていたケース入りの楽器を3月28日、顧問教諭らが普段から修理を頼んでいた安倍さんに持ち込んだ。全部で27あった。「お金は二の次。とにかく直そう」と請け負った。
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