藤沢周平著<三屋清左衛門残日録>を読み終えた。
時代小説にはあまり興味が無かった活火山だが、先日図書館に行ったときに手にした一冊だ。
かれこれ8年ほど前に、お世話になっていたN弁護士に勧められた<藤沢周平>であったが、当時は静かなブームになった頃で、作品が映画化されたりTV化されたりしていた所為か、逆に本を開こうとする意欲がなかった作家であった。
数ヶ月前から、NHK深夜便で<三屋清左衛門残日録>の朗読番組で何度か聴いていたこともあって、急に読む気になった一冊だが、図書館ではお気に入りの<ジェフリー・アーチャー>の最近の翻訳本を借りるついでに手にした一冊だった。
読んでみると、すっかり引き入れられる。
文中、読み方が難解な、武士社会の用語、言い回しに出くわすこと数知れず、精読しようと思うとこれがバリヤーになってなかなかページが進まず、文庫本なのに数日かかってしまった。
淡々とした表現と筋立ての進行、侘び、寂、平凡な日常性の中に社会の本音と建て前が交差する人間模様が実にあじあい深い印象で、時代小説ながら、現代のサラリーマン社会に焼き直しができる様で、老境?に向かいつつある活火山にとって<藤沢周平>は、しばらく読書のターゲットになる作家になるようだ。