“建築確認取り消し”から10日経った昨日、NHKが正午から、その後の展開を伝えた。
『「施設の強度不足」賠償請求へ』のニュースである。
当初の報道によると、『強度不足は屋上を支える梁に入れた鉄筋の本数が不足したために生じた』とのことだった。
だから、『市は、建設会社に不備のある部分を速やかに改善するように指導した』、とあった。
事件の概要は、原因の推測も交えて前回の“建築確認取り消し”で書いた。
ところが、昨日は、『施主の医療法人が、当該施設の設計、検査、施工に携わった3社に対して、約20億円の損害賠償を求める訴えを起こすことを決めた』と報道していた。
20億円と言えば、新たに建て直す金額であろう。
現施設の解体費用、開業延期による営業補償等も含まれているはずである。
強度不足に該当する部分は、全体から見れば比較的軽微であると思われた。市も不備のある部分の補修を指導したくらいだった。
それが、建て直しである。
施主の医療法人が、“高齢者の入居施設であるのにイメージを損なわれた”、と考えたことも大きく作用したに違いない。
それに、『市が設計や工事に関する書類を調べた際に、不明瞭な点が多数見付かったこともわかっています』という報道もあることから、嫌気が差してのことかも知れない。
どの程度の“不明瞭な点”が判明したのかは分からないが、補修で済むものならば、裁判所も『建て直せ』とは言わないはずだ。受忍出来るならば、無駄を最小限に抑える判決になるだろう。
建築基準法とその関連法規は、複雑怪奇と言って良い。
設計する立場からは、「法規を全てクリアする設計図の作成は、至難の業である」と言いたくもなるし、検査機関に下駄を預けたくもなる。
しかし、設計図の修正忘れは初歩的ミスだ。
検査機関が、構造計算書と図面の照合を怠ったということは、普段の審査がおざなりであったということだ。耐震偽装事件の教訓が生かされていない。
ただ、構造設計図は、ある意味、機械的に描かれる(実際にパソコンを使う)図面だから、間違いなどあるはずがないと決めて掛かることもあるだろう。これが落とし穴になった。
私は検査機関の立場で審査したことがあったが、面倒ではあっても、計算書と図面の照合はきちんとやった。
施工会社にとっては、設計図通りに建物を完成させることが重要である。
図面を鉄筋屋さんに預け、鉄筋の本数は任せてしまうのが普通だ。
設計、検査、施工の3社の担当者が、現場に集い、組み立てられた鉄筋の本数を設計図の本数と照合して ОK となる。たとえ、計算書の本数と違っていても・・・
責任の所在は3社3様にあるはずだが、裁判所の判断は果たしてどうなるのだろう。
訴えた医療法人は、「開業に向けて1日も早く施設を建て直すためにも、裁判を通じて業者の責任を問いたい」とのこと。
話し合いが不調に終わった末の提訴だろうが、期待するほどに早くは決着しないと思うのだが・・・
『「施設の強度不足」賠償請求へ』のニュースである。
当初の報道によると、『強度不足は屋上を支える梁に入れた鉄筋の本数が不足したために生じた』とのことだった。
だから、『市は、建設会社に不備のある部分を速やかに改善するように指導した』、とあった。
事件の概要は、原因の推測も交えて前回の“建築確認取り消し”で書いた。
ところが、昨日は、『施主の医療法人が、当該施設の設計、検査、施工に携わった3社に対して、約20億円の損害賠償を求める訴えを起こすことを決めた』と報道していた。
20億円と言えば、新たに建て直す金額であろう。
現施設の解体費用、開業延期による営業補償等も含まれているはずである。
強度不足に該当する部分は、全体から見れば比較的軽微であると思われた。市も不備のある部分の補修を指導したくらいだった。
それが、建て直しである。
施主の医療法人が、“高齢者の入居施設であるのにイメージを損なわれた”、と考えたことも大きく作用したに違いない。
それに、『市が設計や工事に関する書類を調べた際に、不明瞭な点が多数見付かったこともわかっています』という報道もあることから、嫌気が差してのことかも知れない。
どの程度の“不明瞭な点”が判明したのかは分からないが、補修で済むものならば、裁判所も『建て直せ』とは言わないはずだ。受忍出来るならば、無駄を最小限に抑える判決になるだろう。
建築基準法とその関連法規は、複雑怪奇と言って良い。
設計する立場からは、「法規を全てクリアする設計図の作成は、至難の業である」と言いたくもなるし、検査機関に下駄を預けたくもなる。
しかし、設計図の修正忘れは初歩的ミスだ。
検査機関が、構造計算書と図面の照合を怠ったということは、普段の審査がおざなりであったということだ。耐震偽装事件の教訓が生かされていない。
ただ、構造設計図は、ある意味、機械的に描かれる(実際にパソコンを使う)図面だから、間違いなどあるはずがないと決めて掛かることもあるだろう。これが落とし穴になった。
私は検査機関の立場で審査したことがあったが、面倒ではあっても、計算書と図面の照合はきちんとやった。
施工会社にとっては、設計図通りに建物を完成させることが重要である。
図面を鉄筋屋さんに預け、鉄筋の本数は任せてしまうのが普通だ。
設計、検査、施工の3社の担当者が、現場に集い、組み立てられた鉄筋の本数を設計図の本数と照合して ОK となる。たとえ、計算書の本数と違っていても・・・
責任の所在は3社3様にあるはずだが、裁判所の判断は果たしてどうなるのだろう。
訴えた医療法人は、「開業に向けて1日も早く施設を建て直すためにも、裁判を通じて業者の責任を問いたい」とのこと。
話し合いが不調に終わった末の提訴だろうが、期待するほどに早くは決着しないと思うのだが・・・