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FISH GARDEN

ブログの目的に反し、誰に見せるつもりもなくひとりごちてます。そんな日記を たまたま見てくれる人がいたらとても嬉しいです。

もういっちょ

2006-09-26 23:05:00 | よむ  (読書など)
読書の話。
ここ数年のフランス小説に興味があったので、図書館で気に
なったものを7冊ほど借りた。以下、その一部の感想。

 ●「おわりの雪」
  <ユベール・マンガレリ/田久保麻理訳>

 どこまでも静謐で、無駄のない文章。
 まるで頭によぎる風景を淡々と描写しているかよう。
 ドラマチックな展開は何もないのに、ずっと読んでいたい
 感覚に襲われる。
 誰かに伝えようとしても、自分の言葉が無意味で説明が難
 しい・・・と思っていたらアマゾンのレビューが!!
 みんな感想うますぎ。ただただ頷いてしまいました。
  http://www.amazon.co.jp/gp/product/4560047987

 ●「しずかに流れるみどりの川」
  <ユベール・マンガレリ/田久保麻理訳>

 ユベール・マンガレリ邦訳第二弾。こちらも何度も読み返
 したくなる本。装丁も良いです。
 白水社が特集組んだんだな。
  http://www.hakusuisha.co.jp/osusume/mingarelli.html

 ●「口ひげを剃る男」
  <エマニュエル・カレール/田中千春訳>

 長年たくわえていた口ひげを、ある日いたずら心で剃り落
 としたところから、何かが狂い始める。
 虚と実が交差して巧妙な世界を作り出していく。
 妻も仕事も失って、自己が破壊していく男の様を描いた異
 色作だが、病的なまでに狂っていくただの怪奇小説の類で
 はない。
 最後はかなりグロテスクな終わり方だけど、読んで後悔な
 し。読者を裏切らない作品。

 ●「彼女はいつもおなかをすかせている」
  <アンドレアス・スタイコス/伏見イワン訳>

 今度はまた全然違うテイストの本。
 一人の女(ナナ)を二人の男(ダモとディミー)が取り合うお話。
 って言っても全然深刻じゃなくて笑い満載!
 料理にうるさいナナの気を惹こうと、熾烈なお料理バトルが繰り
 広げられる。(各章ごとにレシピあり)
 騙し騙されを続けるライバルのはずがいつの間にか親友に。
 この上なくセクシーなナナに弄ばれっぱなしの超・ダメ男たち。
 ラストはちょっとしたどんでん返しがあるけど、相変わらず二人
 は懲りないおバカなので、暗くなることなく最後まで読めます◎


ってな感じでどれも面白くて、めったにハズレがない。
よく考えてみたら、フランス文学は評価されたものでないとなかな
か仏訳し出版には至らないのでは・・・。(英米その他外国文学はみ
んなそうなのかしら?)国内の作品よりは需要が少ないだろうし。

なにはともあれ、好みの本に巡りあえるというのは素敵なことです。

いしいしんじ

2006-09-26 23:04:05 | よむ  (読書など)
いしいしんじ著「トリツカレ男」「麦ふみクーツェ」の
二冊を読んだ。

“トリツカレ男”ジュゼッペの物語はその情熱に気圧されるように
短時間で一気に読んで幸せな気分になった。

“ねこ”と呼ばれる少年の悲喜劇「麦ふみ~」は1週間くらい
かけて、ゆっくりじっくり読んだ。

どちらも童話テイストなんだけど、子ども用ではなくて、むしろ大人が
楽しめる内容。
話はけっこう無理矢理ぐいぐい進むけど、章の中でも細かく分かれて
タイトルがついていて飽きさせないし、登場人物がすごく多いのに、
どの人も描写がしっかりしていて、読み甲斐があります。

おすすめぼん。

サン・ジャンの葬儀屋

2006-05-26 21:56:33 | よむ  (読書など)
久しぶりに面白い小説を読んだので、感想を。
ジョエル・エグロフ著/松本百合子=訳 「サン・ジャンの葬儀屋」。

図書館でなぜこの本を手に取ったかといえば、帯に面白そうなことが
書かれてたから。

  *「フランスのさびれた小さな田舎町、サン・ジャン。平穏きわまりない
    日々が続く町では、誰もが天寿をまっとうする。次に死ぬべき最高齢の
    老婆もまだピンピンしている。おかげで葬儀屋<エドモンド・ガングリオ
    ン&サン>の商売は、まさに瀕死の重症。
    ある日、とうとう死者がでた。久しぶりの葬儀がとりおこなわれ、従業
    員のジョルジュとモロは、霊柩車で墓地へと死体を運ぶ。ところが、行
    けども行けども墓地へはたどり着けない。遺族の車ともはぐれてしまい、
    海岸で夜を明かす二人。翌朝、疲労のため居眠り運転の霊柩車は、あや
    うく溝にはまりこみそうになり、棺から死体が投げだされる。その鼻か
    らは血が一筋……。」

早速読んでみると、楽しくて思わず笑ってしまう。
軽妙でテンポが良いから、帰りの電車であっという間に読めてしまった。
それから、訳者の人の表現もうまい。ちょっとした風景描写も。

  *「小川のせせらぎの音がしだいに暗闇を包み込んでいった。…その水が
    右の耳から左の耳へ頭の中を貫通して流れているのではないかと思える
    ほどになっていった。」
  *「三日月が、道路に沿って永遠につづく垣根にひっかかっていた。」

…とか。こうゆう表現ってそう簡単には訳せないと思う。なかなかいいなぁ。
登場人物も会話に性格が現われていて、しかもふざけてるくせにたまに心に
残るセリフを言うところがニクイ。

  *ジョルジュ「葬列というのはな、Uターンはしないんだ、絶対にな」

  *モロ「人は、生まれてない時間と、死んでる時間と、どっちにより
      多くの時間を費やすんですかね」

  *死者「墓地ほど死者の存在感が薄いところはない…死者というのは、
      空中や、ワインの中、石の中、様々なところに、とりわけ、我々の
      中にいるような気がしてきたのです」

で、終盤は予想もしなかった展開。そして実にブラックで、ユーモアセンス
抜群なエンディング!!さすがテレビのシナリオを書いていたライターだけ
のことはある。
ちなみに、2000年に出版された本なので新刊も出てるはず。期待できる作家。
本屋でチェックしてみるべし☆


クワイエットルームへようこそ

2006-02-06 10:44:22 | よむ  (読書など)
松尾スズキ著。奥井英朗の「イン・ザ・プール」を
思い出した。映画では松尾さんが主役やってたせいもあって
今作は似たような雰囲気で書いたのかな?
面白かった。そして笑った。

ああゆう絶望の淵にいるような人間から笑いを起こせる
ってすごいなぁ。自分(または他人)がもしあんな状況
だったら、深刻に書くことしかできない気がする。

正常と異常って紙一重のところにあると思う。
たとえ正常だとしても“狂気”は誰にでも潜んでいるし。
それが出ない人もいれば、たまに出る人もいれば、
ほとんど一生を費やしてしまう人もいる。
誰かの死とか離婚とか失恋とか…そういう弱くなってる時に
牙を剥く場合が多いから怖い。

何があっていて何が間違っているのかなんて、考える人によって
違うわけだし、そういう意味では、“精神病”って医者に言われても、
鵜呑みにするのはおかしい。薬漬けになって足りなくなって
オーバードーズなんて悲しすぎる。

しかし主人公のラストの立ち直りは、読んでいて気分がよかった。
うん、ラストがいい小説っていいわ。

死の壁・死にカタログ

2006-01-29 19:07:40 | よむ  (読書など)
最近「死」に関する2冊の本を読んでいる。
養老孟司の「死の壁」と寄藤文平の「死にカタログ」だ。

構成の仕方はまったく異なるが、読者に伝えたいテーマは
かなり似ているように思う。
要するに「人間の死亡率は100%なのだから、そこから目を
背けても仕方ない。だから、恐れずに考えてみようじゃないか」
という感じ。

養老氏の方は、医学的でややヘリクツに聞こえてしまうような
部分もあったが、自身の経験をもとに説得力のある内容だった。

寄藤氏(「R25」やJTの「大人たばこ養成講座」のイラストを
書いている)の方は、33歳という若さにも関わらず、なかなか
つっこんで調べていて面白い。

なんと言ってもイラストが素晴らしい。
「死」という題材にも関わらず、全体が黄色のトーンで描かれて
いるから暗い感じがせず、ユーモアもあって想像力をかきたてる
仕上がりになっている。

興味深いのは、30近く紹介されている「死のカタチ」。
日本では「地獄に堕ちる」なんてイメージが強いが、様々な国・宗教・
民間信仰によって、その数だけ死に対する理解の仕方があると言っても
過言ではない。

そんな「死後の世界」で私が気に入った考え方は、「近所の島に行く」
という、パプアニューギニア・トロブリアンド諸島の信仰。

「死ぬと、近所にある実在の島に行き、そこで普通に結婚したり、仕事した
りして、年老いると海で脱皮。胎児に戻ってヤシの葉に包まれて運ばれた後、
元の島で新しい命として生まれる」というもの。

こんな風に考えることが出来たら、大切な人の死も、少しだけ穏やかなもの
かもしれない。

肝心なのは、前向きに「生きる」ことだけど、前向きに自分の死を想像する
のも悪くない。
というか、養老さん風に言うと「自分の死=一人称の死」というのは
存在しないらしい。
・・・確かに。
自分の死は自分で認識できないものね。
我々が目にしているのは「身近な人の死=二人称の死」もしくは
「他人の死=三人称の死」なのだ。
・・・ふむふむ。
なんか当たり前のことだけど、気付いてなかったな。

砂時計の砂みたいに、すこーしずつ、すこーしずつ、死は近づいているのか?
それとも、ある日突然 ストン と幕を閉じるのか?

そんなことはわかんないけど、
生きつつ、考えつつ、
やっぱり生きてたいですな。







きょうの猫村さん

2006-01-19 01:05:12 | よむ  (読書など)
スーパー家政婦・猫村ねこ。
このマンガかなり面白い!!
もうけっこう前から連載されてたらしいんだけど、
まとまって本になったみたい。(てか、去年の7月に出てたのか)

表情とかセリフとか、人間味があってツボ。
エプロン縦結びとか・・・絶妙なんだなぁ。
まだ全部読んでないけど、あの脱力感にハマりそう。
買っちゃうかも♪

そういえば、もうすぐ春休み。
テストも課題も終わってないのに気が早いけど。
大嫌いな春だ。。。

・インフルエンザの注射するか。

・ケータイ落としすぎてちょっとおかしく
 なってきたから替えようか。

・ばっさりと髪でも切ろうか。

なんて、ふと思った。
いや、とりあえず、猫村さん買うか。