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不定愁訴って本当は何?

2023-06-17 13:58:39 | 整形外科

普段お酒はあまり飲みませんが、好きではあります。日本酒は難しいですが美味しい日本酒は美味しいです。好みによって異なるのも面白いです。

 

さて本題です。不定愁訴と言う言葉を聞いたことがありますか?

 

本人は自覚症状があって症状を訴えますが、検査しても異常が見つからず、原因となる病気が見つからないことを言います。でも本人からすればなんとかしたいから症状を訴えているのですが、何もないとされるのですから、訴えてる方がおかしいとされてしまいがちです。本当に何もないのに症状が出るのか?という目線が必要です。

 

私も以前は苦手でした。解決する手段がない訳ですから何もないのであまり気にしないようにとか、試しに薬を飲んでみるとかしか手段がないのです。だから、訴えに耳を傾ける努力ができていなかったかもしれません。

 

骨格を意識して診察するようになって、詳細に話を聞くようになりました。全てが分かる訳ではありませんが、骨格の崩れを自覚症状として訴えてると感じられると解決方向へ導くことができる場合があります。

 

今回は約2年前から左の半身が何かがいるような感じがするという訴えの50代の男性の方です。あちこちの病院で診てもらっていましたが、良くならず諦めていました。この方の奥様が私を受診して、教えてもらう体操をしているだけで良くなってきたと信頼していただいて受診したのが初めてでした。初診時に脊椎MRI検査、胸郭から骨盤にかけてのCT検査を順にしていき、全脊椎アライメントのX線も検査しました。MRI検査、CT検査では神経圧迫所見や腫瘍等の異常はなく一般的には不定愁訴とされてしまいます。ここで歩いていただき動作確認をします。顔が前に出ていて前にぶら下がった上肢帯を振っている印象です。全脊椎X線でも鎖骨が前方に下がり、胸郭が上から押しつぶされ、上肢帯が下がり、お腹がたるんでいる印象です。あまりに上肢帯が下がっているので左右差が分かりにくいですが、左上肢がまったく後ろに引けていない動き方です。正面からは下位胸椎が若干右に突出しています。

画像はイメージです。正直この症状がなぜ生じるのかまでは分かりませんでした。まず上肢帯のストレッチから入り、上肢しびれ感は軽減。あくまで動きを改善することを目標にその都度症状の変化も聞きながら診療してきました。だいぶ軽さを実感してきましたが相変わらず左の肩甲骨の内側の背骨の左側に芯が残っている感じが下まで続いていると言っていました。しかし、先日の診察でようやく芯が抜けてきているが左肩甲骨の上部内側に違和感が強くなったと。これは下から繋げてきた運動連鎖が上に押し上げようとしている症状のサインだと思いますので上肢と繋げる課題を出しました。教えた時点できついですが軽くなり、そもそも左にこだわっていた所から逃げたい一心でしたが逆にもっと左半身を意識した方がうまくいくと思えるところでした。

 

実は本人の意識とは逆の所に答えがある場合があります。不定愁訴と言われる人ほど自分の感覚に集中があります。そこから逃れたい一心で意識、無意識で動いてしまっています。運動連鎖から見ると逆に動く感覚が必要なことがあります。

 



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