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66回NHK杯戦(畠山鎮七段VS藤森哲也四段)から

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 6月12日は畠山鎮七段(47歳)対藤森哲也四段(29歳)戦が放送された。
 畠山七段は兄の成幸七段とともに双子の棋士(12勝6敗の成績で同時プロ入り)で話題となった。現在はB級1組で活躍している。
 藤森哲也四段は母親が女流棋士の藤森奈津子さんである。何でも女流棋士を母親に持ったプロ棋士は今のところ藤森哲也四段だけらしい。
 解説は中村太地(なかむらたいち)六段。「両者攻めの棋風で攻め合いが見どころ」と中村六段。
 対局者も相手の棋風を知っていて、畠山七段は「斬りあいの戦い」を藤森四段もそれを承知で、先手番なら居飛車、後手番なら振り飛車で行く、と宣言していた。

 果たして先手番畠山七段の居飛車に対し、藤森四段は飛車を四間に振って対抗した。
 互いに相手の様子を見ながら穴熊の陣形を敷いていく。
 角道を止め、じっくり指そうとする先手に対し、後手は5四銀から飛車を6筋に振り、4筋の歩を伸ばし角道を開けて動いた。
 この攻めを承知と先手は右銀を5七から6八に引いて後手の仕掛けを待つ。
 後手6筋の歩を突いて仕掛ける。自然の6五同歩に7七角成りと角交換し、4六歩で同歩を誘い5七角と打つ。先手も2二に角を打つ。後手、4六角成りで馬をつくる。2八の飛車を直射である。後手2六飛と浮いて当たりを避ける。ここで後手は角の当たりを避けて1二香と一つ浮く。さらばと先手2四歩。馬が動けば飛車が走れる。
 このへんどっちのペースなのか? 角が成りかえって先手の飛車の動きを牽制してる分、後手陣の動きの方が伸び伸びして感じられる。だが、先手陣は玉の守備陣は7六の歩に加え、3×三の9枚、計10枚がぎっしり埋まった鉄壁の陣。一方、後手も同じ穴熊の堅陣だが、2二のスペースがひとつ空いて8枚。
 双方、帳尻が合って互いに不足はないか?
 後手、先手の2歩成りを承知で5六馬と寄る。
 先手馬を狙って3五歩の軽手。先手4六歩打つ。先手2三歩成る。後手、2五歩打つ。この辺、どっちの読みが勝っているのか? 
 対局後の検討では勝った畠山七段が首をかしげながら、このあたりでの差し手を振り返っていた。自分たちもこの辺の局面を持って指した記憶は多い、だが、今の若手はどんな風に指しているのか、との疑心暗鬼も頭をよぎったりしたようである。早指し将棋では手を読むより、どう打ったかの記憶から引っ張り出しても指す、というのが畠山七段の言葉から読み取れ、将棋の奥の深さを垣間見た気がした。
 後手の2五歩打ちに先手は2七飛と一つ引いた。4七歩成りからと金の擦り寄る手を受けた、と中村六段。
と金と金をすんなり交換されては先手たちまち劣勢となる。
 後手4五に馬を引いて2七の飛車を直射する。先手5七に飛車を展開するが、後手はすかさず6五銀と歩を掠め取る。飛車の動きを制圧されてきて先手やや苦しいか?
 しかしここで馬に狙いをつけた3七桂が後手の意表をついた。後手は3六馬と入ったが、局後の検討では、ここで7八馬と守り金を一枚食いちぎった方が攻めに弾みがついてよかったのではとの感想があった。
その手順も示されたが、次の4七歩成りに期待したとはいえ、本譜より流れは有力のようであった。
 後手が力をためる手で来られては先手も辛抱するほかない。4八歩打ちは後手の攻めを遅らせながら反撃の機会を窺う一手。後手強引に歩成りを敢行するが、
厄介者の状況の飛車と攻めの基点を担っている相手馬との交換は先手の望むところ、と中村六段の解説が入った。
 後手は馬と飛車を刺し違え、取った飛車を3九に打ちおろす。
 盤上から後手の馬が消えてみると後手陣は3九の飛車の睨みだけ警戒すればよい分かりやすい戦況となった。で、1二と金と攻め駒集めを開始する。後手も1九飛車成りと攻め駒の採集に入る。先手、桂馬を拾って2一と金。後手、6一の飛車を敵陣に直射させる5六銀。次は6七銀成りから銀金交換で飛車成りから、7八に香子を打つのが後手の狙い、と中村六段。先手ここで6二に歩を打つ。同飛に再度6三歩打つ。逃げるようでは攻めが遅くなる。同飛は止むを得ないが、次の7五桂打ちが強烈。銀と順序は逆だが、後手6七飛車成りと攻めて出る。先手同金と駒を補充。後手、5六の角打ちを警戒して6七銀成らずと入る。しかしそれでも同じ筋に打つ4五角打ちが敵玉の懐を狙って有効だった。
 後手、歩成りを狙って6八歩と打つが、局面が忙しい時に二手かかる手しかないのでは苦しい。先手悠然と2六香打ち。次の8三桂ならずから必死がかかる局面となった。後手は6八に打った歩を打っていくしかない。後手の6九歩成りに先手予定通り8三桂成らずと入り、同銀に同香成りと進む。後手、4五角の睨みを消す6三歩打ち。先手は6七角と後手の攻め駒の銀を一枚払う。後手7九と金と金を一枚はがす。先手同銀。後手同龍と進む。しかし6七の角が守りに利いて次の詰みはない。先手は7二銀と打つ。これで必死がふりほどけなくなった。
 後手の6八銀打ちは「どうぞお好きに」と首を差し出した形作りの手。先手は9ニ成り香から簡単に寄せきった。
 ハラハラドキドキの捻りあいというより、チャンバラ将棋のすっきり感が印象として残った。多少物足りない気もしたけど…。



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