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正面に大きな暖炉が見える。火は恐竜の舌みたいに怖いほどの勢いで燃え盛っている。
その火を見ながら昔の落ち葉焚きを思い出す。
僕はまだ子供だった(そうか。すでにあの時、僕はもうあの子より長く生きていた。あの子は何て短い一生だったんだろう・・・)。
冬は雪が何十センチも積もる村に僕の家族は住んでいた。分教場の校庭で、焚き火の中に芋を放り込んで僕らは炎を取り巻いた。それが冬の時々の憩いだった。炎にあぶられて僕らの顔は真っ赤に染め上げられた。額は熱くて痛いくらいなのに僕らは背中を返したり、また向き直ったりしながら火のそばから離れなかった。そうして焼き芋が焼きあがるのを待ったのだった。
額が火照ってくる。どんどん火照ってくる。僕は次第に息苦しさを覚えてくる。
壁のこちら側でも熱いのに、あそこで悠然と寝そべっている男は大丈夫なのか? だいたいそこにいる男は誰なのだ?
耳元で「大丈夫よ、しっかりしなさい」と女の声がする。聞いたことのあるようなないような妙にくすぐったい声だ。
僕はようやく気付いた。声とともに女の息も耳にかかっているからだ。
すぐにも逃げ出したいのに、暖炉の上方から冷たい風がおりてきて額にかかり始める。頭が冷やされて僕の気分はようやく落ち着きを取り戻す。
視界の中央に脚の短いガラステーブルがある。テーブルには木製のバスケットが置かれていてみかんとブドウがそこに盛られ、まるで食品サンプルみたいに艶々光っている。
何か飲食した後らしく、ケチャップやチーズのべっとりついた皿の横にはワイングラスが置かれ、赤ワインがグラスの底できらめいている。
最初、油絵のように見えた部屋は、高感度のカメラを通してシャープな立体感とカラフルさを伴って色彩を強め、角度を変えながらゆっくり動きだしている。
テーブルを挟んで一人がけのソファと長いソファが向かい合っている。
暖炉の近くで温められた空気は部屋の隅々に向かって流れている。じっとしている空気にアプローチをかけながら部屋全体に大きなうねりを引き起こしている。
それらの動きは黄砂を運ぶ風のようにくっきり見える。どうやら僕の目はエックス線のような浸透能力があるらしい(ここから現実の時間に戻ってみたい・・・そしたら、終わりかけの人生も少しは面白くなってきそうだ・・・どうせ、夢なんだろうからもう少し続いてほしい)。
空気は周囲に向かって複雑な形状を示しながら動き続けている。濃厚な層や薄い層、楕円になって崩れたりねじれたり、あるいはきりもみするようになりながら上昇下降を描きだしているのだ。僕の目はそれらのいっさいを見逃さなかった。
いったいどうなっているのだ?
それらを一切合財見逃すまいものと精一杯目を開き、神経を張り詰める。
それにしても・・・0,1にも達しないポンコツ裸眼がコンピューターグラフィックのように部屋の様子を精密にとらえているのが信じられない。
小学生の頃、僕はしばしばメガネを壊した。下に落として石ころで割ったり、ソフトボールのゲームなどで割ったりした。
その度、親はぶつぶつ言いながらメガネを買ってくれるのだが、買ってもらうまではいつもずいぶんと日にちがかかった。
しかし、分教場の石段で割ったのが三度目の時、怒った親はメガネを買ってくれなかった。気が付いたら僕は社会人になっていて、会社勤めの初任給でメガネを買ったのだった(そうだったか? そのため勉強できなくて馬鹿になり、学校の教室では黒板の文字を見るためいつも最前列に座らされていたってか? 何だか変だ。今の僕には嘘の自分史が頭にいっぱいインプットされている。この世界はひどくイカサマ臭いぞ。あれ? 窓の遠くには雪で真っ白に化粧した教会が見えてくる。間違いない。屋根の天辺では十字架が氷柱になって輝いているではないか! いや、そうではない! 僕は否定する。ここは妖精の国だ。あれは十字架ではない。単に雪と氷のいたずらが作り出したものだ)。
必死で否定を続けたら、雪の教会は暖炉の向こうで氷砂糖のように崩れ始めた。逃げ水となって遠くへ退いた。