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Nicomachusの園 Ⅱ

2006年度総合倫理演習の問題とコメント 

第十三回 ケツメイシ「トモダチ」について

2006-10-13 13:21:13 | Weblog
日本のラップグループ「ケツメイシ」の曲「トモダチ」を取り上げてみたい。(歌詞は、こちら)実は、テレビを何気なく見ていて、この曲のPVがたまたま放送されていたのだが、その時のナレーションで、高校の「現代社会」の教科書にも掲載された曲である、という紹介があった。いろいろと調べてみると、正確には「教科書」ではなくて、副教材の「資料集」のようだ。手元にこの「資料集」がないので何とも言えないのだが、「第2章 自分らしい生き方をめざして」の中、「自立を目指して」の項で歌詞の一節が取り上げられている、という情報があった。「現代社会」の授業でこの曲がどのように使われるのか、よくはわからないが、日本のラップ音楽が学校の授業にも登場するというのは、たしかに画期的なことかもしれない。

さて、「トモダチ」という曲であるが、故郷の町から離れ離れになっていた友人と再会し、ともに語り合った昔を思い起こしながら、いまの自分の気持ちや心象風景をストーリーにしたものである。

「ゆっくりと流れた時間 気づかぬうちに
過ごした未完成の期間 ジタ バタ しながらも 
見たままの物を信じた そして笑った
あの頃のダチ 街から離れても変わらず
同じ気持ちで変わらずこの街で
また出会ったならその足で
更に変わった街 見つめながら
語り明かそう あの頃の気持ちで」

こういう気持ちというか心情は、高校生のみなさんでも共感できるものがあると思う。また、いつの時代でも、いくつになってもこういう利害も駆け引きもなく、友達と語り合った経験はこころに残っているものである。

「僕らは別々の道 進む 進めば 明日が俺らを創る
変わって行く中で 変わらないものもあるから
常に 胸に 君に 夢に」

こうした部分が「自立を目指して」というテーマに響く部分なのだろうか。とにかく「友達」を通して「人生」や自分の生き方というものを考えさせられる曲である。
わたしは、たとえばこういう部分の方が、「自立」という意味を表現しているように思う。

「離れても 与えて 生き様にやられて
友と共に 登り出して 本物の男に
なる日 わかる日までが 共に変わる日
なあ そうだろう? そうなろう また会おう 笑って」

この曲の歌詞そのものはけっして難解なわけではありませんが、意味をどう解釈するか、すこし難しいところもあります。そして、この曲のタイトルである「トモダチ」とは何か。考えて見ましょう。


(設問1)文中に引用した「僕らは別々の道 進む … 常に 胸に 君に 夢に」 という部分は、なぜ「自立」ということに関係しているのか。

(設問2)同じく「離れても 与えて 生き様にやられて …そうなろう また会おう 笑って」という部分は、どういうことを言っているのか。

(設問3)この曲で歌われている「トモダチ」とは何か、どういうものだと考えるか。