goo blog サービス終了のお知らせ 

ほんのキビスガエシ

徒然なんなりと。

東野圭吾『マスカレード・ホテル』感想

2014-08-16 01:11:43 | 日記
ホテルマンのプロフェッショナルとはこういうものなのかな、ふむふむ。という感想。
(東野圭吾『マスカレード・ホテル』)

正直あまり面白くなかった。
まあ、ガリレオシリーズも初めは大して面白くなかった。
そのあと、『容疑者Xの献身』などの傑作が出てきたのだから、新シリーズ初期としてはこんなものかもしれない。

凡庸な作品、といった印象。今後に期待。
本筋と関係ない寄り道が多かったし、伏線とかも雑な気がした。
(原稿に追われているのかな??)

東野圭吾の作品が読むたびに評価が下がってきているのは気になる。
がんばってほしいな。せめて、『秘密』ぐらいの出来栄えを常に維持してほしいな。
(『秘密』は、後半の出来がとてもよかったと思う。)


周囲すべての気遣いが、私を静かに窒息させている<harmony/>Project Itoh

2014-06-29 21:07:02 | 日記
「わたしもこの学校で居心地悪く、なるべく多くの時間家にこもってひとりで過ごそうとしたものの、一応なにがしかの友だちグループには入っていた。それがわたしのなかに残された最後の社会性だったように思う。存在感をなるべく消して、サークルのなかで自分に話題が振られないように毎日祈りながら、わたしは友だちの優しさに疲れ果てていた。
<declaretion>
<優しさは、対価としての優しさを要求する>
</declaretion>
教師の、親の、周囲すべての気遣いが、私を静かに窒息させている」

『ハーモニー』伊藤計劃(いとうけいかく)

ブックオフでたまたま手に取ったのが当作品との出会い。
作者、伊藤計劃は本作執筆後、34歳にて病死。(2009年3月)

氏の病死は、モッタイナイ。本著でいう「リソース意識」からして非常にモッタイナイ。
この未来感と描写形態は、年配の方には少々読むのがしんどいかな。(引用するのも全角に変えるなど気遣いが要る。<>はバグじゃないです)でも、年少だと理解できない切れ味するどいフレーズもある。(例えば「同じだよ、信仰も帝国主義も」云々のくだり)

傑作。

(ネタバレ)乾くるみ『スリープ』

2014-06-24 00:29:46 | 日記
乾くるみ『スリープ』

面白いなぁ、この作品。
ネタバレ注意。

















アリサと亜里沙の使い分け、はこの作者の得意な使い分けですな。
そのような使い分けに気付きながら、冷凍睡眠とそこからの蘇生がメインテーマなのだと誤導させてくる。
途中、まさかの夢オチか?とも思わせながら、後半に冷凍睡眠に引っ張られて読む、という誤った読み方をしていることに気づく。

だけど、そのひっくり返し方が緩やかというか、スパっとした「やられた!」感ではなく、
徐々に「ああ、そういうことか」とわかってくるので、どんでん返しにしてはやや切れ味が悪いようにも思う。
そして、「ああ、『行き過ぎた科学』への警鐘とか、科学と倫理の在り方とか、そんなメッセージ性もあるのかな…」ぐらいに読める。
もしこの作品に最後の3行(5行?)がなければ、それだけのことだった。いや、まあ、それでも十分面白いんだけど。

最後の数行をどう読むか?
こう書かれている。
「この物語が『行き過ぎた科学』への警鐘となってくれることが、私の第二の望みである」。
「第二の」望み。

「第一の望みは――アリサの鎮魂であった」・・・「ああ、私の可愛いアリサよ」。。
非常に謎めいた終わり方で、読者の読後感を揺らしてくる。

どう読めばよいのだろう?
わからない。
そして、伏線めいていて結局伏線になっていない(なっていないよな??)、「1番」の人物は誰だったのだろう?
(昭和天皇・・・ということでよいのかな?)
「何かまだとんでもない読み違えをしているのではないか?」と考えずにいられない。




乾くるみ、しゃべくり007評価いかに

2014-05-06 21:24:29 | 日記
作家・乾くるみについて。

しゃべくり007にてクリームシチュー有田さんが乾くるみ『イニシエーション・ラブ』を絶賛していた。
それから書店等で『イニシエーション・ラブ』が平積みにされているのをよく見かけるようになった。
“芸能人の一言”がすごいのか、“芸能人にその一言を言わせる宣伝システム”が巧妙なのかはわからないが、その番組での宣伝効果で、私自身が乾くるみの小説を読みたくなっていた。

はじめに『イニシエーション・ラブ』を読んだのは7年ほど前かな?なんだこの文体は??との疑問を持ちながら読み進めた。妙に不自然な点が多く、なにか“仕掛け”があるんだろうな、と感じさせる点は、作者の戦略かあるいは未熟さ故か。。途中から大体ネタもわかってしまったんだけど、「2度読み必須」と帯に書いてあったとおり2度読みしました。

常にライトな感じで楽しませてくれる“仕掛け”を持つ作品を安定的に放つ小説家は現代において必要な存在だ。いまどき、トルストイ『アンナ・カレーニナ』とかドストエフスキー『罪と罰』のような重厚で濃密で読み手のレベルを測ってくるような作品を手に取る意欲はなかなか湧かない。「歴史に残る有名な作品だけど、これって面白かったのかな?」という読後感さえ残る。

さて、GWの帰省の新幹線の中で読む小説として、手ごろで外れ無しの作品を探していた私。
往路は東野圭吾の『美しき凶器』をチョイス・・・これは外れた。東野圭吾はテッパンだ(外れはない)と思っていたが、これは失敗。詳細は書かない。

復路では乾くるみの『イニシエーション・ラブ』の隣に積んであった『セカンド・ラブ』をチョイス。
乾くるみの作品は『イニシエーション・ラブ』『リピート』『嫉妬事件』に次いで4作品目。どの作品もどこか安っぽい文体で稚拙さも感じるんだけど、「どうやって読者をダマしてくれるのかな?」という期待感を持てる作家。しっかり“ダマす”筋道を考えてくれているので安心できます。まさに移動中の2~3時間で読むには最適な作家だ。(褒め言葉です。『嫉妬事件』は、なんであんな“汚点”になるような小説書いたの?と思うけど)

(以下、ネタバレ注意)

本作『セカンド・ラブ』。「どうやって読者をダマしてくれるのかな?」との意識を持って読むからか、いきなり序章での違和感。主語の抜けた文章。新婦にばかりスポットの当たった記述。新郎の特定不可能さ。
その違和感を引きずりながら読み進め、ヒロインに霊感がある云々のくだりで大体結末は予想がつく。

それにしても、乾氏の作品は“男が女の怖さを知る”とか“男の知らない女の本性”みたいなのに触れるテーマが多い。氏の作品の底流にあるものを社会科学者もどきの私が一言でいえば、“「女」とは妄想なり”(男も同様)である。男性が多少の策略家であってもゾッとはしないが、女性が同程度の策略家であるとゾッとする。そういう人間心理を突いているのだ。

それにしても、氏の作品に出てきて餌食になる男性は皆古風で純情なことこの上ないw

無神論者の取り違え

2014-04-24 22:01:57 | 日記
信仰を持たず生きてきた筆者。
だが、信仰を持たずに生きるには人生は過酷すぎる。いいかげん気づいてきた。
なんでもいい、支えが必要だと感じた。
(その支えが配偶者や子に見出せるならそれは幸せだ)

そしてある宗教に入信した。
胡散臭いことも、すんなり受け入れられないことも、多々ある。
それでも入信した。

そのあたりの人間の心理側面は面白いのでいずれ題材にしたいが、
私は、無神論・無宗教の立場から一転、信仰者へとなった。