前回の釣行日前後は、山田ダムに限らず各地の釣り場から好釣果の便りが届いた。しかし同時に、良い思いの出来たヘラ師達の脳裏を、『次回釣行時は一服状態か?』との不安が横切ったのも確かな筈だ。
私も、その例外ではなかった。それでも僅かながらの可能性を求めて、直前の情報収集に努めた。山田ダムには、紀ノ国・野田原・奥広田のバックウォーターがあるが、そのハタキや食いの立つ時期に、若干のタイムラグがあると思っている。魚が入って行くのは、奥広田が一番早く次に野田原では?と…
相談に乗ってくれた数人のヘラ師さん達も、どちらかと言えば野田原の方に勝機があるのでは?という事だった。だが、いかんせん過去に野田原で竿を出した事がなく、ポイントが分からない。ここは無難に、奥広田にする事にした。“大御所”の爆釣情報にも大きく心を揺さぶられて…。さて、その顛末やいかに!
だって最初に手持ちの写真出てへんやんか、そんなんどうなったか位すぐ分かるわ!この後は、もう読まんでもえーで!
うるさい、久し振り出てきやがったなコイツ!
『あーら、車1台も泊まってへんわ!やっぱりねぇー、釣れてへんて事やわ…。』と心の中でつぶやくと、とりあえずお目当ての場所に釣り台を据え、ひとまず仮眠する事にした。
『ずいぶんと、明るくなるのも早くなったもんだ。』夜明けと共に準備開始。『ふっー、ちょっと寒いなぁー!』これは防寒をしっかりとしとかないと、このほぼ一日中日陰のポイントでは釣りにならんぞ!
下は、パッチはもちろんの事、ジーンズの上にダウンのパンツとさらにその上からオーバーパンツ。上はハイネックの長袖の上に厚手の長袖シャツ、そしてフリースとダウンさらにダウンの重ね着。
:×2ダイドーコーヒー×2やな
えっ、なんて?
だからー、『コロンコロンのポッカポッカ』
しょうもなー!
竿は10尺を“大御所”爆釣方向にセット。準備中にウキの立つちょうどその位置に、大きな泡付け。
『おっ!今日はいただきかー!』
そうはならんかったんよね!
気合入れての第1投。が、着水と同時に泡付けが消えた。
ほらね
『魚はおる!チャンスはある!』と自分に言い聞かせて、エサを打ち続ける。
でも、尺半釣れたらどうしよう。デジカメにSDカード入れて来るの忘れたー!
大丈夫、大丈夫、安心しなさい。釣れへんから…。
まあ万一釣れたら、携帯のカメラでスマホ。
結局、一日頑張ってチャンちゃんベラ1枚。午後になってから、ウキの前を巨ゴイがイルカもじりして、あの大きな泡付けの正体が判明した。
作り話とちゃうからな!
そなムキにならんでもよろしいがな。
竿を置く頃には、朝から比べると5cm程増水したのが、釣り台の足の水の浸かり具合で分かる。それと夕刻近くになって、竿を出している方向とは反対の橋がある石垣近くで、いいモジリが数回みられた。1回めのハタキが終わり、増水がさらに進み、一時的な冷え込みがあり…“大御所”の爆釣の時とは、明らかに環境が変わり、魚の動きも変わっている。
週に1回行けるかどうかの釣り人にとっては、情報収集は欠かせない重要な事だ。だが情報に支配されてはならない。そこに現場での観察力と、分析力、そして臨機応変な行動力が必要だ。と、自分に言い聞かせて反省する。
しかし、巨ベラ釣りは釣れない事がほとんどなのだ。2007年夏に、巨ベラ釣りを始める様になってからの、これまでの釣行日数は、5年9ヶ月の内260日。その内、ボウズになった日が83日で、尺半に巡り合えたのは僅かに20日間だ。
ボウズになっても、納得した1日を送る為には、全力で釣りに取り組む事だと思っている。言いかえるなら、全力で遊ぶ。そして、とても小さな事や、釣りをしている事それ自体に喜びを見出す事だ。
上手く振り込めた瞬間、竿を竿受けに置いた時のコンという音、釣り台をセットしたり仕舞う時の音、思い描いたウキのナジミ・エサ溶け、鳥や虫や風等の自然界の音・匂い…etc
自分が自然の中に溶け込んで、自然の一部と感じられた時、こんなすばらしい事はない。
そして、自分の釣行を記録に残す事だ。公開するかどうかは別問題。将来の釣行の為のデータにもなるし、読み返す事で何度でも楽しむ事が出来る。
あと、人との出会いでしょうか。へら釣りを通して沢山の人と知り合いになり、共感し合う。なんてすばらしい事でしょう。
1日の釣りを終えて、夕食の準備。ダムサイトに比べると奥広田は灯りが少なく、夜空の星がいっそう美しく見える。
巨ベラ釣りを愛する皆さんが、釣りを通して、豊かな人生を送れます様に!
あなたのフィールド・オブ・ドリームスは何処にありますか?
また来たらえーやん!
ホームページまもなく10万アクセス達成です。
皆様のご支援のおかげです。ありがとうございます。