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平方録

夏期講座異聞

今年で85回目になる北鎌倉の臨済宗・円覚寺の「夏期講座」へのお誘いの案内状がまた届いた。
「また」というのは、3月の初めにも1度届いていて、去年コロナ禍で中止になったが、今年は人数に制限を加えながら開催するのでどうぞ、という内容だった。

ご丁寧に2度も案内が届くとは…と、少し驚いたが、2度目は予定していた講師の1人が体調を崩したので別の人に交代する、という変更案内を兼ねてのものだった。
今年はコロナの影を引きずっているため、いまだに定期的な坐禅会は毎朝早朝の暁天坐禅会のみで、人気の高い土曜坐禅会や日曜坐禅会は中止になったままの状態が1年以上続いている。
そんな中での開催は会場の大方丈に100~150の席を設けるほかは、オンライン聴講という新しい方法を取るそうだ。

5月29日から6月1日までの4日間の開催予定だが、オンライン聴講が出来るならその方が何かと都合がいい。
かつては7月中旬に開かれていて、文字通り汗を拭き拭きセミの鳴き声を聞きながらの聴講は実にそれらしい雰囲気があって、それだけでも好ましく感じていた。
それが、一昨年かその前の年辺りから「諸般の事情」を理由に5月開催に前倒しされてからは「夏期講座」の雰囲気はそがれてしまった、とボクは思っている。
5月だって正真正銘の「初夏」だけど、ボクのイメージは「盛夏」でなくちゃいけない。

そういったあれやこれやを含めて、家で画面を見ながらの聴講ならどんな格好で聞こうが、はばかるものは何もないし、寺まで出かける手間が省けるのだから楽チンである。
そう思って、寺での聴講の権利を放棄し、オンライン申し込みはぎりぎりでいいやと思っていた。

多分そんな人が案外多いのかもしれない。
コロナ禍で初めて用意される100~150席はたぶん埋まっていないんじゃないかと思う。
第一、5月の下旬は第4波で、特に首都圏は大変なことになっているやもしれず、気がかりなことではある。
無事に開ければそれに越したことはないが、すんなりいくとも思えない。

まったく余計な心配をさせられるもので、この騒ぎが収まって日常が取り戻せるようになるのは一体いつのことになるのか…
それにしても日本人ってのは夏期講座に抱く特別な思いというのがあるんじゃないか。
「学ぶ」ということに生涯をかける民族とでもいうのか、円覚寺の夏期講座の盛況ぶりと言ったら老若男女を問わず、実に大勢の人が集まってきて冷房装置のない人いきれの大方丈に長時間かしこまって講師の話に耳を傾けるんだから…
あの光景が懐かしい。

かくして、やれやれな気持ちで2度目の案内状を眺めている。





以上、藤沢・辻堂海岸付近

土日や祝祭日ともなればこの湘南海岸自転車道は自転車を漕ぐ人やランニングする人、散歩する人々でにぎわい、スムーズに走れないためボクはいつも避けるのだが、どういう風の吹き回しか、昨日の土曜日はガラガラだった
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