桜前線が津軽海峡を渡って北海道に上陸したというニュースを耳にした。
南関東の海辺の街でも数週間前に通り過ぎていき、今年はヤマザクラがことのほかきれいだった。
そして間もなく大型連休を迎える時期となり、何人かの方のブログに「フジが咲いた♪」との投稿を目にするようになった。
季節の移ろいの何と早いことか…
わが家の周辺でも野フジがあちこちで咲く。
その一つの、近所の池と森の公園に出かけて様子を見たが、まだ気配もなかった。
そういえば、このあたりのフジは大型連休のころ、こいのぼりと一緒に咲いているので、まだ少し早いのもうなずける。
森はサクラのころと違って旺盛な芽吹きの真っただ中にあり、森中が萌え出してまぶしいくらいである。
そんな新鮮な"饗宴"の中にあって、まったく芽吹きもしていない寝坊助がいた。
ヒメコウゾで、近づいてしげしげ観察してみると枝先に精気がないばかりか、芽も膨らんでいない。
不審に感じて枝先を指でつまみ、力を加えてみるとポキポキ乾いた音がして、簡単に折れてしまう。
同じ根っこから3方向に幹を伸ばしている株なのだが、3方向とも同じ状況で、つまり、枯れてしまっていた。
この時期、イガグリを小さくしたような、丸い球体から四方八方に細い糸のような花柱を伸ばした奇妙奇天烈な花を咲かせる。
その姿を見るのを毎年、楽しみにしてきたのだが、がっかりだ。
枯れた理由が知りたいが、新緑の森の中でただ1本、芽吹きのない姿はまるで仲間はずれに遭ったように悲しい。

ヤマザクラも散り、目に染みる新緑の季節になった

水面には名残りの花びらが固まって浮いている

木々の緑の色は一体何種類になるのか…

芽吹いたばかりの柔らかな葉が青空に映え、風にい吹かれて軽やかに揺れる

ウグイスはずいぶん鳴き声が上達している

芽吹きの森でヒメコウゾだけが仲間はずれに遭っている

去年撮影したヒメコウゾの雌花 四方八方に伸びるピンク色の花柱をまとった姿が特徴的

ピンク色の花柱のない球体だけのものが雄花(去年撮影)
これがサクラなどと同じように春になると咲く花であることを知ると、自然の奥深さに対する愛おしさは倍加する♪