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ICUROK!!

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私が死んでも代わりはフニフニ

2012年12月03日 01時50分42秒 | 映画

柄にも無いというか安直なタイトルとか言わんといてお父ちゃん。

007スカイフォール鑑賞。ネタバレ込みで感想とかメモる。

今作は前二作のボンド君成長記(カジノロワイヤル慰めの報酬)を経て007ジェームズ・ボンドの完成といった趣がある。これは三部作と捉えてよろしいか?って勝手に言うと次回作どうなるか分からないから、とりあえず素人はこれ以上黙っておくよ。

今回も映画はガンバレルから始まらない。ただし、例の「デデッ♪」で急に始まるところはとてもグッドでありますよ。
アバンタイトルのアクションは予告編でもお馴染みのボンドがバイク乗ったり列車をぶっ壊してすまし顔で乗り込むシーンなど見ごたえたっぷりで、「えーもうここで見せちゃうの」ってワクワクが止まらない。カーチェイスや列車の上での肉弾戦など、引きの画を挟みながらとてもよく撮れている。前作慰めの報酬の細かいカット割りとブレブレのアクションとは大違い。ここで引けよ!って思ったらきちんと空撮使ってくれるし、カーチェイスもじっくり見せてくれる。ボンドに追いかけられるヒットマンの無駄に細かい設定が007らしくて好き。使っている銃が、劣化ウラン弾仕込んだグロック18Cで、しかもドラムマガジンとか馬鹿じゃねえの(笑)

今回の歌のお姉さんはアデルさん。アデルってもリュック・ベッソンの桃色おっぱいと歌丸師匠が沢山出てくる映画のことじゃないからな。映像は水と血と女と銃と瞳のアップ、昔の007を彷彿させる。ただ、ダニエルボンドの各主題歌で比べると、やはりカジノロワイヤルのインパクトには敵わなかったかなという印象。

アバンタイトルで撃たれたボンドが復活、予告編でもお馴染みのMI6大爆破を知り、Mの家へ「007は二度死ぬの!」と帰還報告。敵の痕跡を追って上海~マカオと飛んで出会った敵はかつてMの元にいた一人の諜報員、今回のラスボスであります、シルヴァさん。シルヴァ役のハビエル・バルデム、見たことあるなーと思ったらノーカントリーの殺し屋だったか。今回の役のために髪も染めたそうな、全然イメージ違うわな。そして、シルヴァさん、金髪だけが取り柄じゃ無いのが007のラスボスだからこそ。中国に捕らえられた際、奥歯のシアン化水素で自殺を図るも失敗して口の中やお腹の中が大変になりましたって設定つきで、上の歯というか、顎の骨あたりまで入れ歯になってるという。MI6に捕らえられた後あれをはずすシーン、良くできてたよなあ。入れ歯はジョーズあたりのオマージュでもあるのかな。ちなみにシルヴァさんが本拠地としていた廃墟になった島が見事で、「まるで軍艦島だなあ」とか思っていたら、エンドロールに「長崎県 軍艦島」ってあってびっくりした。ロケしたんだね、知らんかったわ。
ところで、シルヴァさんはMの元にいたときに中国でやらかしてから「Ma'amの言うとおりに一生懸命やったのにさ、全然僕のこと見てくれないしさ、冷たいしさ、もういじけちゃうから」ってな具合で愛から憎悪へ転じ、Mに復讐をすべく殺意の変態マザコンモードに突入しているのだが、ここで戸田奈津子が「Ma'am」を「母親」とか訳すのを問題視している人が一部いるみたいだな。別に英語できる分けでもないけど、個人的には皮肉交じりに言っているような文脈からこれはアリだと思うのだが、いかがだろう。なっちアレルギーが過ぎると細かいところが気になり出すのは分からなくも無いがね……。

シルヴァが計画通りMI6に捕らえられてから脱出し、Mを襲撃するあたりの一連の流れはイギリスを舞台にした24のような展開に。現場で汗かきながら走り回るボンドをQたちがITを駆使して支援する様はジャック・バウアーと愉快な仲間たちそのものだ。ロンドンの街がここまで描かれる007はひょっとして初めてじゃないだろうか。地下鉄に乗ったかと思ったら、今度は地下鉄が落ちてくる。ああいうちょっとしたところで急に金かけてバカ展開やるから007は好きなんだ。そして議会で事情聴取を受けるMたちが襲われる銃撃戦の美しさったら。しっかりと引きの画で捉えて位置関係を明確にハンドガンでの応酬を繰り返すという、一見地味かもしれないが、特別なことはしなくてもアクションの迫力はこうやって見せるんだよという手本のような演出。

襲撃から逃れたボンドとMは、満を持して登場のアストンマーチンDB5に乗って駆け落ちへ…じゃなくて、敵をおびき出しつつ、ボンドの故郷スカイフォールの実家兼セーフハウスへ。いや、駆け落ちっつーのは満更でもなくて、道中車を降りて語り合うボンドとMが本当に恋人同士みたいなんだものな。このあたりから本作のM萌え度が急激に上昇してくる。ちなみにアストンマーチンは例のガジェットを備えるゴールドフィンガー仕様でファンをニヤッとさせてくれますな。
スカイフォールに到着すると、長年住みつきボンド一家のこともよく知るキンケイドおじさんが登場。水平二連銃が良くお似合いよ。しかしボンドのルーツをここまで掘り下げる作品って今まで無かったよな。そういう意味でも本作は重要。
追ってくるシルヴァを迎え撃つべく、実家の各所に罠を仕掛けるボンド、M、キンケイドおじさんの3人。うちのおばあちゃんはお裁縫より手作り爆弾作らせたらピカイチなんだぜっ!そして古いボンド家の家具の埃にむせそうなMという萌えポイント、いただきましたーっ。

日の暮れる頃、武装したシルヴァ一味御一行の到着。戦いの狼煙はどなたが上げるのかしらと固唾を呑んで見守っていたら、隠れていたボンドさんがアストンマーチン内臓の機銃を景気良くぶっ放す!ひゃああああ、祭りじゃ!祭りじゃ!んで、家の中に立てこもって応戦するMとキンケイドおじさん。キンケイドおじさんはソードオフにした水平二連銃をぶっ放す。一方、丹精こめて作り上げた手作り爆弾を起爆し、ハンドガンで応戦するMに萌えというか、もう惚れちゃったよ愛して愛して愛しちゃったのよ。
しかし敵もやられっぱなしでは無く、いよいよラスボスが。ヘリに乗ったシルヴァさん、ジョン・リー・フッカーの「Boom Boom」を大音量で鳴らしながらド派手に登場。ボンド家にナパームでもぶち込むのかと思ったが、機銃掃射というのは少々拍子抜けしたけど…。しかし、この一連の要塞警察的アクションがものすごく良く撮れてるんだ。だんだん外が暗くなってきてアクションが見えづらくなるという心配も無用のもの。暗ければそこを逆手にとって逆光によるシルエットや炎を上手く利用している。サム・メンデス監督、できる子や。
家中蜂の巣にされ、焼夷手榴弾をぶち込まれたボンドもいよいよブチ切れる。応戦の前に、まずはMとキンケイドおじさんを秘密の通路から逃がすのだが、Mが負傷してるじゃないの!すげぇ嫌な予感がするんですけど!!
で、ボンドは2人の退避を確認してから、愛想の尽きた実家をガスで思いっきり吹っ飛ばす。あらかたの敵は爆発に巻き込まれ、ヘリも破片と爆風により墜落というオマケつき。イギリスの片田舎でどんだけ景気の良い爆発させてんだと思わずゲラゲラ笑ってしまった(笑)

それでも、最後まで生き残りお付き合いいただくシルヴァさんと部下2名。こういう最後の最後まで敵さんがボンドと観客に丁寧に付き合ってくれるところも007だよなあ。部下1名はボンドの飛び蹴りであまりにもあっけない最期。もう1名はボンドともみ合って凍った池を円形に銃でぶち抜いて水中に落下というリビング・デイライツのオマージュ的展開から、総合格闘技的な技で首を絞められて御陀仏に。
一方、シルヴァさん、Mとキンケイドおじさんが逃げ込んだ古い教会に到着。ここでボンド家の墓とご対面ってのがニクイよね。いよいよMを追い詰めたシルヴァさん、Mに銃を持たせて、自分とMの頭をぴったり重ね合わせ打ち抜くように迫る。すっかりカーチャンと心中したがるマザコン変態男!!ってかMの負傷が深刻そうだが大丈夫か!?刹那、ボンドの投げたナイフが見事シルヴァさんの背中に命中。ラスト・ネズミ・スタンディング!西部劇的重厚さを持つ最後に惚れ惚れし安堵したのも束の間…うわあああああ!!Mが!!Mがあああ!!!
いや、今作でジュディ・デンチの出演が最後ってのを聞いたことあったから嫌な予感したんだけど、お亡くなりになるとはな……。このときに見せるダニエル・クレイグの物凄く人間臭いボンド、最高だよ……!!

スカイフォールのフィナーレはブロスナンボンドから続いたMとの悲しい別れ、そして、新しいMと、マネーペニーの登場という、007ジェームズ・ボンドの完成により締めくくられる。ガンバレルとJames Bond Will Rerurnを以って心の中で拍手。新しいMの就任というのが今回のこの駄文タイトルのポイントな。更に言えば、いずれは007も…という物悲しさは永遠のテーマであるからして。

そんなこんなで、冒頭に書いたように、本作はボンド君成長記の一つの完成といえるのではないか。前二作で私情を交えての戦いにケリを付けスパイ稼業の経験を積み、今回は子供の頃に死別した両親と住んだ家を炎の中で葬り去って、第二の母ともいえるMとの決別を果たしたわけだ。そして新M体制では初代ボンドを彷彿させるオマケつきという、まさに007シリーズ50周年にふさわしい仕上がりともいえようか。
まあ、あとはね、やっぱり今回はMなのよ!M!!M萌え映画だよねっ!!真のボンドガールはMなんだよ!!!おかげで他の若いねーちゃんの霞みっぷりが不憫で仕方ない(笑)
映画全体としては、改めて振り返ると重厚で、悪く言えば地味なんだけどね、多分音楽でよく「スルメ曲」っていう言葉あるけど、これもその類の言わば「スルメ映画」のようなものじゃないかなと感じた。なので、もう一回くらい観に行こうかなと思っていたり。ってか、あんたここのところ毎々「007は二度見る」じゃない。と、戯言はおしまいにしようか。