アラビア語に興味があります。

 イランはペルシア語の国です。トルコはトルコ語で、現代トルコ語はローマ字で表記されます。

大川周明『文語訳 古蘭(コーラン)』上下両巻

2010年02月21日 03時50分37秒 | イスラーム

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 大川周明の『古蘭』が、昨年末に再版されていたことを、アラビア語科の後輩から教えてもらったので、さっそく購入。上下2巻。これまでは、現行のコーラン(アル=クルアーン)の邦訳は、岩波文庫の井筒訳、中公クラシックスの藤本他訳、日本ムスリム協会の『日亜対訳聖クルアーン』の3種を押さえていれば良かったが、そこにいきなり大川周明 訳・註釈『文語訳 古蘭(コーラン)』(書肆心水)参戦。

 しかし、いかんせん文語訳である。さっそく開いてみたが、私の日本語力では読めないかもしれない。(日本語だけはネイティブ並みのレベルに達しているつもりだったが、最近、その自信が崩れる事件が続いている。)ともかく、「第一 開経章」を見てみる。

大悲者・大慈者アラーの名によりて
ラーを讃へよ、そは三界の王…


「三界の王」、رب العالمين (直訳:複数の世界の主)である。確かに3つ以上は複数形になるので、「三界」と解釈することもできる。大川氏の註釈によれば、
 「三界の原語は『諸世界 cÁlamín』なるが、此処にては天使・幽鬼・人間を総称せるものとせらるるが故に三界と訳したり。」

 「三界」を、現世と、来世の天国と地獄と思った私は馬鹿だろうか。しかし、天使は天国にいそうだし、幽鬼はシャイターン(サタン)だとすれば地獄にいる、人間は目下、現世で暮らしているかお墓に入っているので、あながち、的外れな解釈ではないような気がするのだが…しかし、自信なし。

 大川氏は、精神異常で、東京裁判で裁判から除外され、精神病院送りとなり、入院中にこの訳・註釈を仕上げたという。このあたりを含めた、日本におけるコーラン(アル=クルアーン)の邦訳の歴史については、大川玲子著『聖典「クルアーン」の思想――イスラームの世界観』に1章が割かれている。なかなか興味深い論考なので、おすすめ。

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