政治とは距離を置いてきたものの、やむを得ぬ事情から係りを持った札幌市長選。支援した秋元氏が当選して一安心。提供した助言がこの結果に何か役に立ったとは思わないが、袖振り合うも他生の縁、というようなところか。市民の負託に応え、健康に留意して所期の目的を達成して欲しい。
「粛々と」という表現は「上から目線」ということになるらしい。そもそも、流行語あるいは俗語に過ぎない「上から目線」を、国と県との公式な会談で使用されるようになるとは、世も末ではないか。情緒的ともいえない今回の言いがかりに対して、官房長官が今後はこの言葉を使用しないと言っている。沖縄知事の挑発が不発に終わったのは当然としても、これからも似たようなことが続くと思うと気が重い。
岩波文庫「「絶対」の探求」を読んだ。物語の最後半、錬金術に憑りつかれたクラース老人が長女のスペイン旅行中に家財道具をすべて(長女の部屋のものを除いて)売り払ってしまう場面があるのだが、その際、彼の先祖の肖像画はイギリスのスペンサー卿に売られたというくだりがある。このスペンサー卿というのは第二代スペンサー伯爵のことであり、その子孫に1997年にパリで交通事故死したダイアナ元英国皇太子妃(ウイリアム王子の母親、ジョージ王子の祖母)がいる。この本が出版されたのは1834年だから、その時、スペンサー伯爵の子孫が皇太子妃になるとは想像もできなかっただろうし、その劇的は死はバルザックの小説以上だ。パリで事故死というのも偶然。