近くの湿地に群生していたカキツバタを携帯電話の写真で。2枚目はピンボケになっているが。
ローマ法王ヨハネ・パウロ2世が聖人に列せられるに当たり必要な生前おこした奇蹟が数週間のうちにローマ法王庁から発表される予定である。法王庁はどのような奇蹟なのか、それがいつどこで起きたのかの詳細は公表していないが、コスタリカの女性が、家族がパウロ2世の冥福を祈るや脳の重大な損傷が治癒されたことに関するものという事である。ヨハネ・パウロ2世は2011年にすでに福者に列せられているが、聖人には、今年10月20日あるいは24日に、今年3月に選出されたフランシス現法王の主催により列せらることになる。
なお、ヨハネパウロ2世の起こした最初の奇蹟は、フランスの僧尼マリー・シモン・ペレがパーキンソン病から恢復したことに関するものであり、この恢復は医学的には説明できないものとされている。
1980年代、仕事でたびたびポーランドに出張する機会を得たのでこの国にはとりわけ親近感がある。当時、連帯のワレサがグダンスクでストライキを打っていた時、古都クラコウの大司教からローマ法王になってまだ日の浅かったヨハネ・パウロ2世はその精神的な支えとなっていたのだろう。親日国として知られるポーランドの生んだ偉大なローマ法王はついに聖人の仲間入りすることになる。
英インデペンデント紙が特集として報じている最新のシリア情勢。これによれば、イランは新大統領の選挙前に、シリアに義勇軍4000人を派遣することを決め、アサド政権を支援するという。それでなくとも敗退を続ける反政府勢力は壊滅寸前であり、化学兵器使用と言う、ブッシュのイラクでの大量破壊兵器確認と同じくらい信用性に乏しい理由で米国が介入したのは、反政府側、すなわちスンニ派諸国(実際、シリア、イラク、イラン以外はスンニ派が多数)からの派遣要請を断りきれなくなったためである。しかし、反政府側に対する新型兵器が、壊滅寸前の反政府軍のから過激派の手に渡るには何の苦労もない。それが、今後の自爆テロはもちろんのこと、2001年の同時多発テロの再現に使用される可能性はいくらでもある。
7世紀のムハンマドの後継者争いに端を発するシーア派とスンニ派の抗争に米国が巻き込まれたら大変な泥沼に入り込みかねない。イラクでは不名誉な撤退、アフガニスタンからもやっと手を引く米国にとって、ここまで深い宗教抗争に関わることは大変な負担であり、チェチンゲリラに悩まされてきたプーチンの言う事にもそれなりの理由がある。さらに、スンニ派の超過激テロ集団ハマスがシリアから追い出されたことも、それ最も警戒するイスラエルが実はアサド転覆を望んではいないということにもつながってくる。
中東とはまさに歴史の皮肉の集大成だ。
次期英国首相候補にも擬せられているボリス・ジョンソンロンドン市長がキャメロン首相がオバマ大統領に追随してシリア反政府軍に対して武器を供与しようとしていることに公然と正面から強く反対している。ジョンソンの意見は、全面的な停戦と交渉以外にはこの問題は解決せず、武器供与は結局はアル・カイーダに対する武器の供与となって、テロの脅威が増す。さらには、武器供与は一層の英国のこの問題への介入を意味する、というもの。シリア内戦にこれ以上海外から武器が供与されれば戦闘のエスカレート以外あり得ない、と言うのは説得力のある意見だ。
シリア反政府軍による政府軍兵士の虐殺や、内部分裂、更には化学兵器の使用まで、反政府軍の乱脈さは宗教界はじめ英国の各界から非難の声が上がっている。どう贔屓目に見ても、反政府軍が善玉とは言いにくい。また、アサド政権を単純に悪玉、として片づけることもできない。米国が武器供与の理由になったアサドによる化学兵器の使用もどこまでが確かなのか、イラク開戦時の経験からも米国政府の言う事を盲信するほど国際社会は幼稚ではないし、また、事態は単純ではない。
G8で日本はシリア反政府勢力に人道支援を行うことを表明するという事だが、膝元の英国で反政府勢力に対するこれだけの不信が溜まっていることから、人道などというきれいごとだけで済むものではなさそうだ。
米国の武器供与を正面から反対しているロシアプーチン、孤立しかかってきた英国キャメロン、消極的ながら泥沼に足を入れ始めた米国オバマとの間で、安倍がどのような立ち振る舞いをするか、ここは日本安倍の外交能力が問われている。