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回顧と展望

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ハマースミス橋

2020年08月14日 13時06分58秒 | 日記

ロンドンの西部、テムズ川にかかるハマースミス橋は、ロンドンで最古のつり橋(Suspension Bridge)で、現在一日平均16,000人が利用している、緑色が美しいロンドンのランドマーク。この橋が最近ロンドンを襲った熱波のためにこれまでにあった破損個所の状態が悪化し、8月13日ついに全面交通止めになったという。1827年に開通したこの橋は安全性が確認できるまで歩行者や自転車も含め全面的に閉鎖された。併せてこの橋の下を船で通過することも禁止された。

この橋は、去年行われた検査で判明した危険個所の工事のためにロンドン市当局から、修復費として2,500万ポンド(35億円)が支払われたが、今回見つかった個所をふくめ、全面的に修復するためには最大で1億4千万ポンド(196億円)が必要だと言われている。この費用について、今政府とロンドン市とが負担について論争しているところだが、地元からは、そんな議論をしている場合ではない、この橋がテムズ川に崩れ落ちてしまう前に緊急工事として修理するべきだ、そして、この費用を負担する能力のあるのは政府だ、として政府に資金提供の要求がでている。

ハマースミス橋はこれまでにも安全性への懸念から何度か大規模な修理が行なわれそのたびに通行止めになっているから、このような事態は今回が初めてではない。しかし、毎日多くのひとが利用している橋である。コロナ禍で多くの企業が在宅勤務に移行しているとはいえ、この橋の全面閉鎖は近隣住民に大きな不便をもたらしているはずだ。

この橋自体が一つの観光名所になっているがこの近辺にはウイリアム・モリスの博物館があるほか、チャールズ・ディケンズの「大いなる遺産(Great Expectations)」の主人公ピップが寄宿したポケット家のある場所としても登場する。この小説が書かれた1861年にはすでにこの橋は建設されていたことになる。さらに最近では、BBC のTVドラマシリーズ「New Tricks(退職デカの事件簿)」の最初のメンバーが利用するパブとしてロケが行われたのはこの橋のたもとにあるRutland Armsと Blue Anchor 。

今年ヨーロッパを襲っている熱波によって至ることろで被害が出ているが、ロンドンの老朽化したインフラの中には、この橋のようにかねてから修理の必要性が叫ばれているところが少なくない。大きな事故が起きる前に閉鎖になったのは良かったというべきか、多分近隣の住民ももはやあきらめの境地に達しているはずだ。

前回ロンドンに行って、モリスの博物館に寄った時にこの橋のたもとをしばらく散策した。上空にはヒースロー空港に着陸する寸前の旅客機が空に文字通り列をなしていて轟音を響かせながら雲の中に消えていった。渡航制限が続く中、今では飛行機の影もなく、静かな空が広がっていることだろう。

 

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