北国の小さな家の大きな家族 "Happy Horse Inn"

競走馬、乗用馬のふるさと北海道の馬産地で、家族として暮らす二頭のサラブレッドの様子を中心に発信していました。

馬を愛するということは、まず恐れずに「知ること」。

2014年12月26日 | うまや便り

あたり一面の雪景色となりました静内より、こんにちは!

馬を管理していると、心配なことはいつもつきまとっていますよ。

たとえば、スピ君は、最近、飼葉を残します。朝飼いを食べる時に、すぐに外を見ようとして食べることに集中しません。昨年の今頃からずっと、目の前の道路の工事があり、秋ぐちの河川清掃工事まで、ひっきりなしに重機と大型トラックが通っていましたが、それらにとても関心を持っているようです。

朝はしっかり食べてもらわないと困るので、こんなふうにしています。

そう、重くてめんどうくさいのですが、外が見える馬房窓にぶらさげてあげています。これをするようになってから、ほとんど残さなくなりました。スピ君は、一秒でも早く、お外に出たい、と言う強い欲求を持っている馬です。


一方対照的なのが、こっちの爺さん。

パジャマを脱がせて、放牧馬着に着替えるまでのわずかな時間ですが、裸にして、体の異常を確認します。こちらは、いつでも飼葉は完食します。そして「足りないぞー、もっと持ってこい!」と怒ります。そのため、飼葉桶に、チモシーやルーサンの乾草をいれるのですが、足元の手入れをするために、こんなふうに馬房扉の前に飼葉桶を置いて立たせています。


良く食べるねぇー、プーちゃん。

「え?普通でしょっ?」

この後、二頭は放牧馬着を着て、お外に出ます。


おそろいの馬着で外ですが。。。

スピ君の馬着は、プーにかじられ、すぐにやぶけます。

プーの馬着は、新品同様。。。

 


 


馬を愛すると、たくさんの矛盾とつきあたります。昔、マリリンモンロー主演の「荒馬と女」という映画がありました。クラークゲーブルは、小銭稼ぎに、と野生馬の親子をトラックで追い詰め、ペットフードとして業者に売るのですが、モンローは泣きながら「残酷なことしないで!」と命乞いをします。


映画の中で「ペットの犬達は、何を食ってると思ってんだー?」というようなやりとりがあったと思います。日本では馬肉は高級肉ですので、めったにペットフードにはなりませんが、馬のアキレス腱などは販売されていますね。


必要な命として頂く、ことを否定する方はあまりいないと思います。(菜食主義者を除いて)しかし、必要以上に頂いているという現実を否めないのですよね。

 

アメリカ人は、「ジャップは馬を喰う野蛮人!」と非難します。ファーディナンドというアメリカで人気のあったアイドル馬が日本に種馬として来たものの、結果を出すことができず、処分にまわったことを非難するのですが、自分の国が何をしているか理解しているのか、腹立たしい思いにかられます。

 

たとえば、アメリカには「プレマリンホース」というこの世でもっとも残酷な馬達がいます。狭い枠場につながれた牝馬達が妊娠させられ、自動採尿機により、尿を集められます。妊娠中の尿の中だけに含まれる成分をを抽出したものが美容クリームになるからです。妊娠していますから、仔馬を産み落とします。牡馬はその場で処分され、牝馬は、2年後のプレマリンホースとして育てられます。


また、アメリカには、国内の馬処分場がありません。これは、「アメリカ人にとって、馬は友達、馬を処分しない」と表面上、きれいごとを並べた結果なのですが、実際には、競走馬だけでも年間3万頭以上が生産され、現実問題として年間10万頭程度が処分されています。どこで?。。。国境を超えた、カナダ、メキシコの処分場、あるいは国内の「違法処分場」でです。


カナダ、メキシコまで、死出の旅のトレーラーには、40頭ほどがぎゅうぎゅう詰めになり、処分施設に到着までに多くは死亡します。途中で水や餌を与えることを義務とするなど行政も指導はしているでしょうが、そもそもぎゅうぎゅう詰めの馬達に、安全に水、餌を与える方法などあるでしょうか。


そして今、アメリカ西部のliving legend~生きる伝説と言われる野生馬達が、無常にもヘリコプターにより集められ、死出の旅に出ます。日本などの国にもっとたくさんの牛肉を売るために、大地と貴重な水源を荒らす野生馬達は、「邪魔者」、、、なのです。


U2の美しい音楽に乗ってその厳しい現実を伝える動画があります。

http://vimeo.com/20048607


馬を愛し、見つめてゆくと、限りなく悲しい現実をたくさん見ることになります。耐えられなくて馬から離れてゆく人がいるのも事実です。しかし。。。

現実を知り、自分に何ができるかしら、と考える人が増えることが、初めの一歩と思っています。これは私の信念であり、ライフワークです。

「なぜゲストハウスなんかやるんだ?やるだけ赤字だから早く廃業しなさい。」と税理士さんにはいつも叱られます。自分が馬と楽しく暮らすだけで良いなら、もっと小さい家を建てるか借りるかすれば、その分浮いたお金で安定した老後を迎えることができたでしょう。

私の信念。「もっと多くの人に知って欲しい。馬達のすばらしさ。悲しいことも美しいこともすべてを。」

ゲストハウス「ハッピーホースイン」は、情報発信の基地でもありたいと願っています。お宿の窓からはリアルな馬達を間近で観察でき、世界の馬事情をたくさん知ることができます。その中から、自分にできることは何か、まずはこれから始めよう、、、ということを見つけて行動に移して下さる同志がたくさん巣立ってくれたら、、、、というのがライフワークです。


やればやるほど赤字なだけのゲストハウスから、まっすぐと未来を見つめ、馬達のために幸せにつながることを考え行動して下さる人を送りだすことが、日本の馬達、ひいては世界の馬達の何かに貢献できる、、、と妄想しています。


興味をもたれた方、、、いつかゆっくりお話しましょう!
 


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2 コメント

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Unknown (ken)
2021-09-01 19:13:38
ファーディナンドで検索してここに来たんですがプレマリンホース凄いですね…。どの面下げてファーディナンドの件を非難するのか?という疑問にかられました。
コメントありがとうございます (Happy Horse Inn)
2021-09-15 15:33:01
Ken様
返信が遅くなりました。
プレマリンホースはファイザーの金儲け主義の結果です。事業拡大、農場拡大です。

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