花日和 Hana-biyori

サラバ!上巻の後半

「サラバ!」上巻の後半を読み終わりました。話の語り手「僕」こと圷歩(あくつあゆむ)の、小学校低学年からのエジプトでの生活と、高学年で日本に帰国してから高校2年生までが語られます。

タイトルである「サラバ!」が、歩の友人との間で親密な合言葉のようにも愛情の交感としても使われることが分かる章があります。そのあたりの描写がじんとした読み応えがありました。ここでは、「子どもは自分の運命を選べない」という圧倒的な無力感とやるせなさが描かれています。

そして、上巻前半であんなにも姉のややこしさの描写があったのは、こういう環境下でこういう精神構造の僕ができあがったという説得だったのだなあと。

エジプトで、現地の子どもとの格差に羞恥心を覚え、日本では妙にこじらせた恋愛観、素晴らしすぎる父親への感謝とともに複雑な心境など、いいとか悪いとかではなく感じ方の影響が家庭環境にあることをまざまざと納得させられます。もちろん遺伝とか生来のものってのもあるとは思いますが。

余談ですが、日本帰ってきた家族が清潔でサービス過剰な日本のインフラ等々に対して「なんやこの国!」とか「日本人は考えることなく生きてしまう」みたいなことを言っていたのも妙に納得しました。

それと、私はあまり語り手や主人公がイケメンとか人気者であるという話を読んで来なかったのか、そういう人の悩みや考え方に触れた感じが新鮮でしたね。
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