![]() | りんごのおじさん 作:竹下 文子 / 絵:鈴木 まもる出版社:ハッピーオウル社 ![]() |
石川拓治氏のノンフィクションを読んだ身としては、内容的に物足りなくはありますが、子どもに伝わるような絵本にするために、何を抽出し演出するべきか相当考えただろうなと感じます。
おじさんの粘り強さ、自然に対する謙虚さ、農薬の怖さ、人と違った事をするときの周囲からの批判…なにより、おじさんの"優しさ"が一番伝わってくるお話でした。
文章には出てきませんが、「近所の捨て猫をみんな飼ってしまう」という木村さん宅の猫だらけの様子がちゃんと書き込まれていて思わず、あ、となる。そして木村さんの笑顔がすごく似ています。
息子は、描かれている女の子が「孫かな。孫にしか見えない」とか私の「酢」の発音を直したりだとか、分かっているのかいないのか、でしたが。
読み終わってから「この話はほんとにあったことで、そんなに昔の話じゃない。この人は今も生きてるよ」と言ったら「すげー!」とびっくりしていました。実話だからどうっていうのも野暮ではあるのですが。
ただ、絵本では時間の感覚があまり感じられず、挫折しそうな場面はあるものの、意外と簡単に出来て、リンゴが出来たらすべて順調にいったという印象ですが、そういうわけでもないのです。
その意味で、この絵本で興味を持ったら、ノンフィクションのほうも子供に読んでもらいたいなと思います。
明日、高学年に読もうかなと思っているのですが、さてどうですかねえ。