花日和 Hana-biyori

箱の中

木原音瀬 /講談社文庫
「美しいこと」が面白かったのと、図書館にあったので借りてみました。解説で三浦しをんも言ってましたが、作風がいわゆる「うっとりする BL」ではないですね。ごりごりした読み心地で、シリアスな展開に引き込まれます。


あらすじ> 痴漢の冤罪で逮捕、投獄された堂野崇文は、愛を知らずに育った獣のような喜多川圭と情交を交わす。堂野より遅れて出所した喜多川は、探偵に堂野の行方を探してくれるよう依頼を続けるが。
文庫化にあたり、出所後の二人を描く「檻の外」も収録。

相手に対する深い深い執着を、本人じゃなくて第三者の探偵の視点から描いている部分が新鮮でした。その探偵自身にも背景があって、それぞれの思惑がもつれていくのがまた面白い。

堂野崇文の菩薩のような優しさも、ちょっともどかしいなー大丈夫かこの人。と思いつつしみじみ。小説ぐらい、このくらい良い人が出てきてもいいよ!みたいな。

最終的にはある大きな事件をきっかけにひとつのさやに収まるわけですが、これをハッピーエンドとは言えないわな…という感じです。

読んだ直後は納得満足したのですが、後から考えたらちょっともやっとする部分もありました。子どもがあんなことになったのにちょっと幸せそうなふたりが、見ていて複雑な気持ちになったのでした。
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