出演:チョ・インソン、コン・ヒョジン、ソン・ドンイル、イ・グァンス、ド・ギョンス
演出:キム・ギュテ 脚本:ノ・ヒギョン 制作:2014年
[5段階評価:★★★★☆]
正直に言うと、中盤まであまり面白いと思えませんでした。。リタイアしなかったのは、大好きド・ギョンスさんが出ていたから(苦笑)つっても出番はかなり少なくて、もっと出番が多かったら面白く見れてた可能性は高い(爆)
だったんですが、終盤の展開が想像以上に素晴らしくって、ラスト数話は前のめりで一気に視聴。最終的には「めっちゃいいドラマだった…(放心)」という感想になりました。
小説家のチャン・ジェヨルは、トーク番組で対談した精神科医のチ・ヘスに興味を持つ。一方ヘスは、過去のトラウマから恋愛恐怖症に陥っていて、プレイボーイのジェヨルに嫌悪感を抱いていた。そんなある日、チスの住むシェアハウスにジェヨルが引っ越してくる。そこには、精神科医のドンミンとトゥレット症候群のスグァンも住んでいた。
ドラマは精神科に通う人々と精神科医との交流や、心に傷を持つ精神科医ヘスと小説家ジェヨルの恋の行方、そしてシェアハウスの住人ドンミンとスグァンそれぞれの恋愛が軸になっていて、愛に臆病だったり問題を抱えている人々が、状況を少しずつ克服していく物語で、誰かが助けてくれるのではなく(背中は押してくれるけど)自らの足で踏み出して行く様子が描かれています。
精神科に通う人々は決して特別ではなく、自分となんにも変わらない。誰だって完璧ではないので、精神病に偏見を持たず理解(共感)してほしいというメッセージを強く感じました。
で、大好きド・ギョンスさんですが、作家チャン・ジェヨルの大ファンの高校生ガンウ役。3年前にジェヨルと知り合い、自分で書いた小説を読んでもらえるほど可愛がられていた。ある日、傷だらけでジェヨルに会いに行くと、ジェヨルから「父親に殴られたのか?逃げればいいだろ!母親を連れて!」と冷たく突き放される。
数日後、ガンウは再びジェヨルのもとを訪れ「父さんに反撃してやった!」と告白。ジェヨルは「暴力に立ち向かったんだな」とガンウを優しく抱きしめた。
終盤、ジェヨルとガンウは離ればなれになるんですが、そのシーンの考察で「ジェヨルはガンウを許す必要があった」とある人が書いていて、それがもう目からウロコでした。
※ここからちょっとネタバレです。
ジェヨルは子供の頃、義父から激しい暴力を受けていて、そんなジェヨルを情けなく思っていた兄のジェボムもまたジェヨルを殴っていた。
ジェヨルは、義父から同じように暴力を受ける母親を助けられなかったことや、兄に対する塊根の念から、幸せを感じるたびに自分を傷つけるようになっていて、ついには自分は死ぬべきだと考えるようになる。そんなジェヨルは、統合失調症と診断された。
医師たちは、統合失調症の原因であるガンウと引き離すため、ガンウが何者であるかをジェヨルに認識させようとする。でも、ジェヨルはガンウを手放すことがどうしてもできない。誰からも守ってもらえなかった自分の代わりに、同じ境遇のガンウを必死に守ることで、逆に精神を保っていた。決して見捨ててはいけない可哀想な子どもガンウ…。
私は精神病に関して全く見識がなくって(汗)最初はガンウの存在がジェヨルを苦しめていて、病気を克服するためにはガンウと別れなければいけないんだと考えていました。
でも違ってました。子供の頃の自分をどうしても許すことができなかったジェヨルが、自傷行為の果てに自死への道に進もうとしているのを引き止めていたのはガンウだった。それはジェヨルが無意識に自分を守ろうとしていた行為であり、無力で弱いガンウを許すことで、弱かった自分を初めて理解し、許すことができたワケです。
誰かに「君のせいじゃない」と言ってもらいたかったジェヨル。最終的には、ガンウを通して過去の自分に言ってあげられました。自分を許すことがジェヨルにとっては何よりも必要だった。この『許し』と『別れ』のシーンは、ドラマ史に残る名場面でしたね。
このドラマには素晴らしい俳優さんたちが大勢出てるんですけど、チョ・インソンさんは特に素晴らしかったなぁ。
ドラマ初挑戦だったド・ギョンスさんは、今と比べると演技は荒削りなんですが、ほっとけない可愛らしさと、ときおり見せる不気味さで回を追うごとに存在感が増していて、終盤にはチョ・インソンさんと同化してるようにも見えて、いや〜本当にすごかった。
あと、生意気な高校生ソニョを演じたイ・ソンギョンちゃんもとても魅力的でした!
それからヤン・イクチョンさん演じる白髪のお兄ちゃん!恨んでいるのに恨みきれないやるせなさ…バツグンでしたね。
そして、ファンが多いのも頷けるコン・ヒョジンさんのナチュラル演技!嫌な部分もたくさんあるヘスを自然に演じていて、上手いなぁ〜と思いました。
前半〜中盤はちょっとキツかったけど(苦笑)いいドラマでした。