資料 バイデン・岸田日米首脳共同声明 「自由で開かれた国際秩序の強化」 20220526
外務省のホームページに掲載されているバイデン・岸田日米首脳共同声明 「自由で開かれた国際秩序の強化」(2022年5月23日)を、学習・研究のために全文掲載します。
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( 編集部 )
日米首脳共同声明「自由で開かれた国際秩序の強化」 2022年5月23日
今日、日米両国は、その歴史上かつてないほど強固で深いパートナーシップ
を確認している。共通の価値に導かれ、民主主義と法の支配に対する共通のコ
ミットメントに支えられ、両国の経済の革新と技術的ダイナミズムに刺激され、
そして両国間の人と人との深いつながりに根ざした日米関係は、自由で開かれ
たインド太平洋地域の礎となるものである。
この精神に基づき、岸田文雄内閣総理大臣は、ジョセフ・バイデン大統領の、
大統領としての初めての訪日を歓迎した。バイデン大統領は、日米豪印(クア
ッド)首脳会合を含む岸田総理のグローバルなリーダーシップを称賛した。
グローバル・パートナーとして、日米両国は、ルールに基づく国際秩序は不
可分であり、いかなる場所における国際法及び自由で公正な経済秩序に対する
脅威も、あらゆる場所において我々の価値と利益に対する挑戦となることを確
認する。岸田総理及びバイデン大統領は、この秩序に対する当面の最大の脅威
は、ロシアによるウクライナに対する残虐でいわれのない不当な侵略であると
の見解で一致した。両首脳は、ロシアの行動を非難し、ロシアがその残虐行為
の責任を負うことを求めた。両首脳は、ウクライナの主権及び領土一体性に対
する支持を改めて確認した。岸田総理及びバイデン大統領は、国際社会の結束
の重要性を強調し、ロシアに長期的な経済的コストを課すために志を同じくす
る国々と共にとる、金融制裁、輸出管理及びその他の措置を含む制裁を通じて、
ロシアの侵略に対処する中でウクライナの人々との連帯を表明した。
両首脳は、国連が、人権の尊重を含む、国連憲章に規定された共通の原則と
普遍的価値に立脚した、ルールに基づく国際秩序の基盤であるとの認識を共有
した。両首脳は、ロシアによるウクライナへの侵略を非難し、国連人権理事会
の資格を停止するという前例のない世界的な結束を国連加盟国が示したこと
を称賛した。両首脳は、国連安全保障理事会が加盟国を代表して国際の平和と
安全の維持に主要な責任を有することを認識し、ロシアによる常任理事国とし
ての無責任な行動と拒否権の濫用、特に他の加盟国に対する侵略についての説
明責任から逃れようとする試みに深い憂慮を表明した。両首脳は、国連を強化
し、全ての加盟国に対し、国連憲章に謳われたビジョンと価値に改めてコミッ
トするよう慫慂するとの決意を表明した。両首脳は、21 世紀の課題に多国間シ
ステムがより良く対応できるよう、これを強化し、現代化させる必要性を表明
した。
バイデン大統領は、改革された国連安全保障理事会において日本が常任理事
国となること、また、多国間協力の重要な擁護者であり常任理事国を目指すそ
の他の国に対し、改めて支持を表明した。両首脳はまた、彼らが直面する課題
に効果的に対処するため、民主主義国家及び志を同じくするパートナー間の連
携を強化することの重要性を強調した。
「自由で開かれたインド太平洋」の推進
欧州で進行中の危機のいかんにかかわらず、両首脳は、インド太平洋がグロ
ーバルな平和、安全及び繁栄にとって極めて重要な地域であり、ルールに基づ
く国際秩序に対する高まる戦略的挑戦に直面していることを改めて確認した。
この観点から、岸田総理及びバイデン大統領は、自由で開かれたインド太平洋
地域という共通のビジョンを推進するために行動することにコミットした。岸
田総理は、米国の「インド太平洋戦略」を歓迎した。バイデン大統領は、この
地域に対する米国の揺るぎないコミットメントを強調し、また、同戦略が資源
配分と着実な実施により裏付けられることを強調した。両首脳は、我々の共通
のビジョンを支える、ますます活気に満ち、多層的で相互に結び付いた、この
地域におけるアーキテクチャーを歓迎した。両首脳は、ASEAN 一体性及び中心
性の重要性を確認し、クアッド、AUKUS 及びその他の多国間フォーラムの重要
な取組を強調した。両首脳はまた、欧州やカナダ等、その他の地域の志を同じ
くするパートナーとの協力の重要性を強調した。
地域情勢:厳しさを増す地域の安全保障環境への対応
岸田総理及びバイデン大統領は、中国に対し、国際社会と共に、ウクライナ
におけるロシアの行動を明確に非難するよう求めた。両首脳は、経済的なもの
及び他の方法による威圧を含む、ルールに基づく国際秩序と整合しない中国に
よる継続的な行動について議論した。両首脳は、中国による核能力の増強に留
意し、中国に対し、核リスクを低減し、透明性を高め、核軍縮を進展させるア
レンジメントに貢献するよう要請した。両首脳はまた、地域の平和及び安定を
維持するための抑止力を強化するため協力することで一致した。両首脳は、東
シナ海におけるあらゆる一方的な現状変更の試みに強く反対し、南シナ海にお
ける、中国の不法な海洋権益に関する主張、埋立地の軍事化及び威圧的な活動
への強い反対を改めて強調するとともに、国連海洋法条約(UNCLOS)に整合し
た形での、航行及び上空飛行の自由を含む法の支配に対する確固たるコミット
メントを強調した。岸田総理及びバイデン大統領は、台湾に関する両国の基本
的な立場に変更はないことを述べ、国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素であ
る台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて強調した。両首脳は、両岸問題の平
和的解決を促した。両首脳は、地域の懸念の声に応じることなく、不透明な形
で締結された最近の中国とソロモン諸島との間の安全保障協定に懸念を表明
した。岸田総理及びバイデン大統領はまた、香港における動向と新疆ウイグル
自治区における人権問題について深刻かつ継続する懸念を共有した。両首脳は、
首脳レベルを含む、中国との率直な意思疎通の重要性を強調し、共通の利益を
有する分野において可能な場合に中国と協力する意思を表明した。
岸田総理及びバイデン大統領は、韓国の新政権発足を歓迎し、安全保障関係
を含む、日本、米国及び韓国の間の緊密な関係及び協力の決定的な重要性を強
調した。両首脳は、最近の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を含む、北朝鮮の
進展している核及びミサイル開発活動を非難した。両首脳は、国連安保理決議
に従った朝鮮半島の完全な非核化へのコミットメントを改めて確認し、北朝鮮
に対し、これらの決議の下での義務に従うことを求めた。両首脳は、拉致問題
の即時解決への米国のコミットメントを改めて確認した。両首脳は、北朝鮮に
対する調整のとれた外交的アプローチへの支持を表明し、真剣かつ持続的な対
話への北朝鮮の関与を求めた。
岸田総理及びバイデン大統領は、ミャンマーにおけるクーデターとミャンマ
ー軍による市民への残虐な攻撃を非難し、暴力の即時停止、不当に拘束されて
いる全ての人々の解放、阻害されない国全体への人道アクセス、そして民主主
義への早期回復を強く求める行動を取り続けることにコミットした。
両首脳は、日本周辺におけるロシア軍の活動の活発化に懸念を表明するとと
もに、軍事面における中露間の協力に引き続き注意を払っていくことにコミッ
トした。
日米同盟:抑止力及び対処力の強化
両首脳は、同盟の抑止力及び対処力を強化することへのコミットメントを新
たにした。岸田総理は、ミサイルの脅威に対抗する能力を含め、国家の防衛に
必要なあらゆる選択肢を検討する決意を表明した。岸田総理は、日本の防衛力
を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意を表
明し、バイデン大統領は、これを強く支持した。
バイデン大統領は、核を含むあらゆる種類の能力によって裏付けられた、日
米安全保障条約の下での日本の防衛に対する米国のコミットメントを改めて
表明し、両首脳は、情勢が進展する際のあらゆる段階を通じて、同盟調整メカ
ニズム(ACM)を通じた二国間の十分な調整を確保する意思を改めて確認した。
両首脳は、米国の拡大抑止が信頼でき、強靱なものであり続けることを確保す
ることの決定的な重要性を確認した。両首脳は、安全保障協議委員会(SCC)や
拡大抑止協議を通じたものを含め、拡大抑止に関する日米間の協議を強化する
ことの意義を改めて確認した。バイデン大統領は、日米安全保障条約第5条が
尖閣諸島に適用されることを改めて確認し、両首脳は、尖閣諸島に対する日本
の長きにわたる施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対するこ
とを改めて表明した。両首脳は、サイバー及び宇宙領域並びに新興技術の分野
における協力を加速させることを決定した。両首脳は、サイバーセキュリティ
及び情報保全が緊密な同盟協力の基盤を形成しており、今後も我々の協力の焦
点であり続けるとの認識を共有した。両首脳は、日米で共に戦略を整合させ、
目標を優先付けることなどにより、同盟を絶えず現代化させ、二国間の役割及
び任務を進化させ、共同の能力を強化させていく決意を表明した。
岸田総理及びバイデン大統領は、日米の海上保安当局間の協力によるものを
含め、共同訓練及び第三国の能力構築に関する協力を深化させる意思を確認し、
海上保安庁と沿岸警備隊との間の協力に関する覚書の附属文書への署名を歓
迎した。
両首脳は、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であ
る辺野古における普天間飛行場代替施設の建設、馬毛島における空母艦載機着
陸訓練施設の整備、米海兵隊部隊の沖縄からグアムへの移転を含む、在日米軍
再編を着実に実施することを確認した。
より強靭で持続可能かつ包摂的な経済成長の実現
両首脳は、共通の繁栄を更に確保する機会について議論した。両首脳は、岸
田総理の「新しい資本主義」及びバイデン大統領のボトムアップ及びミドルア
ウトから作り上げるという計画を含め、技術の進歩を促進する大胆な経済政策
の重要性について意見交換を行うとともに、そのような進展の利益が全てのコ
ミュニティの人々にもたらされ、不平等を解消し、両国において中間層の人々
を強化するようなものでなければならないことを認識した。両首脳はまた、新
たな技術の出現であれ、気候変動の影響であれ、又は、感染症等の国境をまた
ぐ脅威であれ、国際社会にとって最も顕著な課題に対処する上で、日米両国が
積極的な役割を果たすという決意を表明した。
両首脳は、日米両国が、輸出管理の活用を通じたものを含め、重要技術を保
護し、及び育成し、それぞれの競争優位を支援し、並びにサプライチェーンの
強靱性を確保するために協力していくことを確認した。両首脳は、日米商務・
産業パートナーシップ(JUCIP)において採択された「半導体協力基本原則」に
基づき、次世代半導体の開発を検討するための共同タスクフォースを設立する
ことで一致した。バイデン大統領は、サプライチェーンの強靱性、基幹インフ
ラの防護、技術の開発及び特許出願の保護に焦点を置いた、「経済施策を一体
的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」案が日本の国会で
成立したことに留意した。両首脳は、経済安全保障を強化するための更なる協
力を追求していくことで一致した。
両首脳は、昨年発表された「日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップ」
の下での現在までの作業を賞賛し(ファクトシート別添)、また、閣僚級の日米
経済政策協議委員会(経済版「2+2」)を 2022 年7月に開催する意思を表明
した。
岸田総理は、バイデン大統領のインド太平洋経済枠組み(IPEF)に対する支
持を表明し、両首脳は、将来の交渉に向けた IPEF パートナー間の議論の立上
げを歓迎した。
両首脳は、自由で公正な経済ルールに基づく多角的貿易体制の重要性を認識
し、また、G7、G20、WTO や OECD といった国際的な枠組みを通じ、多角的貿易
体制と相容れない、非市場的政策及び慣行並びに経済的威圧に対処するため、
共に緊密に取り組んでいくことを確認した。両首脳はまた、二国間及び多国間
の通商問題に関する最近の進展、及びデジタル貿易や強制労働との戦いといっ
た分野における緊密な協力を進めることに関する最近の進展を歓迎した。両首
脳は、強制労働の利用を無くすことの道徳的及び経済的な必要性を再確認し、
サプライチェーンにおける人権を尊重する企業にとっての予見可能性を高め、
また、取り組みやすい環境を促進することの重要性を認識しつつ、共に取り組
んでいくことで一致した。
岸田総理及びバイデン大統領は、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」
を実施することの重要性を再確認し、G7 及び地域のパートナーと協力しつつ、
世界のインフラ需要を満たすための取組をより一層推進していくことを確認
した。両首脳は、G20 の「共通枠組み」の下で、債務の持続可能性及び透明性
を促進することの重要性を改めて表明した。両首脳はまた、公正で開かれた貸
付慣行の重要性を強調した。両首脳は、主要な債権国に対する国際的に認知さ
れたルール及びスタンダードの重要性を改めて表明した。
両首脳は、ロシアによるウクライナへの侵略の影響により脅威にさらされ
ているエネルギー及び食料の安定的な供給を確保するための国際社会による
最近の取組を歓迎した。岸田総理は、グローバルな供給制約の緩和において米
国の液化天然ガス(LNG)が果たしている重要な役割を強調し、石油及び天然ガ
スを増産するための米国産業界による投資を歓迎した。両首脳はまた、エネル
ギー安全保障及び温室効果ガス排出実質ゼロの両方を達成するための「日米ク
リーンエネルギー・エネルギーセキュリティ・イニシアティブ」(CEESI)の設立を歓迎し
た。両首脳は、エネルギー及び食料安全保障について二国間及び多数国間で取
り組み、また、特に開発途上国において、クリーン・エネルギーを促進し、エ
ネルギー供給の混乱による影響を緩和するため、国際エネルギー機関といった
国際機関と協力するとの両国のコミットメントを確認した。両首脳は、ロシア
のエネルギーへの依存を低減するとの G7 各国のコミットメントを基に、アジ
アのパートナーに、エネルギー安全保障を強化するための支援を提供する取組
を探求することで一致した。
岸田総理及びバイデン大統領は、輸入石油への依存を低減するため、持続可
能な航空燃料(SAF)や道路用燃料用のものを含め、日本のバイオエタノールの
需要を 2030 年までに倍増させるため、あらゆる可能な手段を取るという日本
のコミットメントを歓迎した。
両首脳はまた、重要鉱物についての強靱で多様化されたサプライチェーンを
強化し、重要鉱物部門における環境、社会及びガバナンスに関するスタンダー
ドを高める必要性を共有した。
両首脳は、日米間の宇宙協力の深い伝統を称賛した。両首脳は、ゲートウェ
イに並びに有人及びロボットによる月面探査に、日本人宇宙飛行士を含めると
いう共通の意思を改めて確認することを含め、アルテミス計画における協力の
進展を表明した。両首脳は、枠組協定及びゲートウェイに関する協力のための
実施取決めの交渉を 2022 年に完了させることにコミットした。
地球規模課題:新たな時代の人間の安全保障の実現
岸田総理及びバイデン大統領は、新型コロナウイルス感染症による危機を克
服し、将来のパンデミックへの予防、備え及び対応のための健康安全保障を強
化するため、クアッド、新型コロナウイルス感染症に関する「グローバル行動
計画」及び G20 財務・保健合同会議といった枠組みを通じたものを含め、引き
続き協力していくことを確認した。両首脳は、ワクチンへの公平なアクセスを
向上させるため、COVAX を通じた支援及び「ラスト・ワンマイル支援」計画の
ための支援を行うとともに、治療、診断及び保健システムの強化に共に取り組
むことを確認した。両首脳はまた、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成
のため、WHO の改革、世界銀行における新たなパンデミックへの備え及び世界
健康安全保障のための基金の設立、財政当局と保健当局との間の連携体制の強
化によるものを含め、グローバルヘルス・アーキテクチャーを強化する必要性
を確認した。
両首脳は、がんの治療法に関する日米共同研究の更なる進展を歓迎し、この
ような協力を可能にする覚書の更新を歓迎した。バイデン大統領は、2017 年以
来、がんムーンショットプログラムの下で国際協力を推進している日本の国立
がん研究センターの役割を強調し、そのイニシアティブを拡大する米国のコミ
ットメントを強調した。
岸田総理及びバイデン大統領は、気候危機による存亡に係る脅威を認識し、
2020 年代を気候行動のための決定的な 10 年とすることにコミットした。両首
脳は、パリ協定の下での野心的な 2030 年の国が決定する貢献(NDC)と 2050 年
実質ゼロ排出目標の実施によって、長期的なエネルギー安全保障に取り組みつ
つ、今日のエネルギー需要を満たす意思を確認した。これらの目標のため、両
首脳は、日米気候パートナーシップの下での協力を強化する意思を確認した
(ファクトシート別添)。
両首脳は、二酸化炭素を排出しない電力及び産業用の熱の重要かつ信頼性の
高い供給源としての原子力の重要性を認識した。このため、両首脳は、原子力
協力を拡大し、輸出促進及びキャパシティ・ビルディングの手段を共同で用い
ることにより、革新原子炉及び小型モジュール炉(SMR)の開発及び世界展開を
加速させることにコミットした。両首脳はまた、既存及び新規の原子炉の双方
に対する、ウラン燃料を含むより強靭な原子力サプライチェーンを構築するた
めに協力することで一致した。
岸田総理及びバイデン大統領は、「核兵器のない世界」に向けて協働する意
思を改めて確認した。特に、両首脳は、国際的な核不拡散・軍縮体制の礎石と
して核兵器不拡散条約(NPT)を強化することへのコミットメントを確認した。
岸田総理は、安全保障上の課題に対処しつつ核軍縮に関する現実的な取組を進
める重要性に言及し、バイデン大統領は同意した。両首脳は、世界規模で高濃
縮ウラン(HEU)保有量を最小化するという共通の目標を促進させる、東京大学
研究炉「弥生」及びその他の国内研究炉の全ての高濃縮ウラン燃料の米国への
返還を含む核セキュリティに関する協力における最近の進展を歓迎した。
岸田総理及びバイデン大統領は、パンデミックがジェンダー公正の促進をか
つてなく重要なものとしたことを認識しつつ、ジェンダーについてのアイデン
ティティにかかわらず、全ての人が完全な潜在力を達成することができるよう
にすることは、道徳的かつ戦略的に不可欠であり、社会及び経済のあらゆる側
面にとって極めて重要であることについて一致した。両首脳はまた、紛争関連
の性的暴力を含め、ジェンダーに基づく暴力の予防と対応の重要性を強調した。
人的交流:「自由で開かれたインド太平洋」を支える多様かつ包摂的なネット
ワークの創出
両首脳は、「自由で開かれたインド太平洋」を推進する次世代のリーダーを
育成するため、相互の交流及び協力の重要性を強調した。両首脳は、各種留学
プログラム、JET プログラム、カケハシ・プロジェクト及びトモダチ・イニシ
アティブ、マンスフィールド研修計画並びに国際交流基金等が実施するものを
含む研究者及び実務家が参加するフェローシップ及び協働事業等、様々な交流
を再開・拡充することで一致した。岸田総理は、先端技術、気候変動及び災害
対策等の分野における専門家及び実務家の交流を拡充し、また沖縄、広島及び
長崎に重点を置いてカケハシ・プロジェクトを実施していく意思を表明した。
両首脳はまた、日系米国人の歴史、貢献、文化的伝統に敬意を表し、将来の日
米協力に次世代の日系米国人リーダーを参画させていくことで一致した。両首
脳はまた、人的交流における日米文化教育交流会議(カルコン)の役割を再確
認した。
未来志向の日米関係の構築に向けて
民主主義的な二大経済大国として、日米両国は、民主的な価値、規範及び原
則を支持し、平和、繁栄及び自由が確保される未来へのビジョンを推進すると
いう独自の義務を負っている。岸田総理及びバイデン大統領は、共にこの責任
を引き受けた。両首脳は、2023 年に日本が G7 の議長国を務め、米国が APEC を
主催することに留意しつつ、この共通のビジョンを推進するために、志を同じ
くするパートナーとの連合を構築することの重要性を確認した。