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日々一句

俳句と川柳
    浅見 まさし

2001年6月の句

2007年04月12日 | 俳句
走り梅雨どすんと友を失ひし

越後から人借りてくる芒種かな
くんずほぐれつ入梅の糸みみず

三角椅子に丸い尻餅梅雨を聴く
鳥けもの低きに噤(つぐ)む走り梅雨

夏帽のあみだはみ出す白まゆげ
古戦闘機火の匂ひ無き梅雨晴間
石の芯吸ひとってゐる蜥蜴かな
氷水匙まで舐めて喉癒す

2001年4月の句

2007年04月10日 | 俳句
葉桜を抜けゆく一輪車の両手
混み合ってゐて静かなる花吹雪
満天星の無音の千の鈴振れり

葉桜トンネル魚の如くにすり抜ける
花かりんの影荒壁に立ち上る
八重桜散りぬ丹田に力入れ

全身の色くねらせる春の鯉
三多摩をころがり抜ける春の雷
盛装のさくら吹雪と思ひけり
賽銭の音のむこうの花満開

かどわかされさうな子がゐる花吹雪
花びらの吹溜りても舞う仕草
花吹雪むかし桜は色濃かり

2001年3月の句

2007年04月09日 | 俳句
児を寝かすやうに種薯植ゑてゆく
春の鳰潜りたる眼の生乾き

芝桜影生みすぐに流さるる

金縷梅や仏に香りなき真昼
蕾つけ菊桃今は武骨の木
文庫がやつ春のとんびが糞落とす
沈丁にくしゃみ堪へし阿の仏

みちのくの土の香包む種袋
舌頭に千転の艶揚雲雀
春一番だんだん沈む遺跡掘

2001年2月の句

2007年04月08日 | 俳句
春の葱絹のひと皮剥くに音
春筍の刺身いのちを明るくす

豆撒きの第一声のこそばゆし
沼ポプラかかあ天下のやうな春
立春の両手ひろげて沼ポプラ
みづら太子の顔の明るき寒卵
箸置きの小さき影浮く雛の宴

春泥に妙法の文字流れ出す
少女よぎり梅の香りがよこぎれり

薬喰神酒をすごしてしまひけり
豚汁がいいな雪見のおかずなら
つらら折れ楔形文字の滴れり

みみづくの低重音の恋の闇

2001年1月の句

2007年04月07日 | 俳句
初駅伝走者静かな鞴息

正面の山に日の差す弓初め
老いらくの露ほどの屠蘇頂戴す
寒むや脳死とり放題に臓器奪り

2000年11月の句

2007年04月05日 | 俳句
おかめ顔俯くが好しまゆみの実
木漏れ日を微塵がのぼる石蕗の花

木の実雨狐うどんが眉濡らす
陽当りて鉄の香放つピラカンサ

朝あけの空塗りたてのななかまど
紅の影ひき鮭のさかのぼる
口づけす砂金まぶしの実玫瑰

2000年10月の句

2007年04月04日 | 俳句
水平に吹っ飛んでゆく朴落葉
木枯疲れして畑仕事終りとす

瑠璃揚羽止まりて秋の宙たたむ
尾の枯れて集団ねむし猫じゃらし
歴史館灯して秋を暗くしぬ
蝉穴が蝉のみだれし語尾吸ひ込む

2000年9月の句

2007年04月03日 | 俳句
夜叉となりたる一本の葉鶏頭

紫蘇色の声でかなかな鳴き終る
新藁の中に卵を拝みとり

赤とんぼの先へ先へと子の歩巾
二学期へすっ飛んで行く日焼けかな
青粉呆けの沼に一喝はたた神

2000年8月の句

2007年04月02日 | 俳句
きりぎしに百合の象嵌滴れり

皆既月食縹渺と烏瓜の花
絹引くやうに莢豌豆の筋引きぬ
蝉生れ暁の光りをほぐしだす

2000年7月の句

2007年04月01日 | 俳句
寺町の百日乾く百日紅
兜虫飛ぶ全重量をぶら下げて

舟に乗るとき華ぎぬ梅雨どきも

なめらかな音の滴り桃を剥く

2001年9月の句

2007年03月30日 | 俳句
前衛の一行詩咲く曼珠沙華
歯応へのとうもろこしの風の味

塗りたての角突き合へり兜虫
みぞおちに石榴のほてる沼の照り

塩田の乾きて夏の終るなり

2001年8月の句

2007年03月29日 | 俳句
落蝉の前足犇と山河抱く
みんみんに合はすリズムよ至福の歩

三途の川抜き手鮮かすぎて覚む
牛蛙重低音を棚引かす