2000年4月の句 2007年03月26日 | 俳句 序破急の間に休止符花吹雪 抱合神の片頬が笑む花の雨 如来には三分の桜供へ雨 蝶の舞崩るる雨の幣辛夷 どちらかと云へば華やぎ花の雨 黄泉へ行く柩を満たせ山すみれ 顔黒が鼻押し合へり蝌蚪の国
2000年3月の句 2007年03月25日 | 俳句 蝶の羽化魂少し遅れ透く 地虫出て殺し屋の顔すでに持つ 春愁の楼門少し赤すぎる 絵馬重畳梅の香りを重たくす 杏壇の春陰濃きは神さびる 風吹かば千里馳す天神様の梅 風葬に梅漂へば寧からむ 沈丁を吸ひすぎ花粉症もどき
1999年12月の句 2007年03月22日 | 俳句 喉奥の暗さを覗き風邪といふ 干柿の一蓮托生翁顔 雪女郎厚底靴によろめきし 秩父太鼓が胸倉つかむ十二月 とんちんかんなところへぴょいと鳰 ひとつづつ漆塗りたて実さんざし ざり蟹の冬支度とはもぐること 羽子板市のはなやぎ三社様森閑 羽子板の華やぎ老いの肩こりぬ 羽子板市の裏側にある寺の闇 白鳥の遠くと話す首たてて 白鳥のかたちに老いし白鳥守 白鳥のつぶら眼で争へり 白鳥の闘志はがねの脚けり合ふ
1999年10月の句 2007年03月20日 | 俳句 五臓六腑捨て去って澄む糸とんぼ 画用紙に爽籟を塗り込めてゐる 灘無月巨きな闇に隙間無し 水引草しごいて鬱を持て余す 新蕎麦をすするリズムの相似たり
1999年9月の句 2007年03月19日 | 俳句 新絹の白したたりぬ霧の蝶 青蛙飛びわが膕(ひかがみ)のばね疼く 光浮くとみしが流れて秋の蝶 手賀沼の源流の蚊に血盗まるる ものの影までみな灼くる厄日かな 蝮出さうな小袋池の八重むぐら 落蝉の目許白光たゆたひぬ 地球儀自転北極に空蝉を乗せ ががんぼの歩み矢がつき刀折れ かなかなや地酒とろりと沁みわたる とんぼうが来てとんぼうと繋がりぬ
1999年8月の句 2007年03月18日 | 俳句 向日葵に皆既食めく暗さあり とんぼうのスリムを水に刺しこみぬ 掌の蓮の実黄泉の磁気走る 蓮手折り骨の髄までこそばゆき この世からかの世へ傾ぐ蓮見舟 蛇ぬけに突っ込んでゆく蓮見舟 くらげ漂ふ華鬘の紐ぶら下げて 千枚田一閃千の稲光 海鞘の味こびりつきたる旅終る 百日紅町が静かに発狂す 桔梗を次々破裂させて病む 鬼灯の火袋揉んで燃えたたす 仮の世の鬼灯市のあかるさよ 鬼灯買ひますシャッター押してくれますか 鬼灯市売娘の声のつりあがる 鬼灯市ほどよき色を吊すなり
1999年6月の句 2007年03月16日 | 俳句 六月の沼憂し葦笛鳴らすべし 夏の沼コンパクト口びるだけ写す 梅雨入りせり黄泉へ行く足鍛へねば 菖蒲守大事大事と水労る たんぽぽの絮を飛ばして放心す ジュンブライド鷭の鼻筋透き徹る 鳩尾(みぞおち)に声のつまりし行々子