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日々一句

俳句と川柳
    浅見 まさし

2001年7月の句

2007年03月28日 | 俳句
犬かきに母の犬かき寄り添ひぬ
ばら館大正硝子永久にゆがむ

権瑞の魔のかたまりよ梅雨の闇

ロ短調たゆたふ梅雨の古館
洋館の多面多角の大西日

2000年4月の句

2007年03月26日 | 俳句
序破急の間に休止符花吹雪

抱合神の片頬が笑む花の雨
如来には三分の桜供へ雨
蝶の舞崩るる雨の幣辛夷
どちらかと云へば華やぎ花の雨

黄泉へ行く柩を満たせ山すみれ
顔黒が鼻押し合へり蝌蚪の国

2000年3月の句

2007年03月25日 | 俳句
蝶の羽化魂少し遅れ透く
地虫出て殺し屋の顔すでに持つ

春愁の楼門少し赤すぎる
絵馬重畳梅の香りを重たくす
杏壇の春陰濃きは神さびる
風吹かば千里馳す天神様の梅

風葬に梅漂へば寧からむ
沈丁を吸ひすぎ花粉症もどき

2000年1月の句

2007年03月23日 | 俳句
爼板のリズム正月来しリズム
染付が吸ひつく寒のふぐさしみ

的の矢を礼してはづす弓初め

三角波が沖暗くする寒すみれ

1999年12月の句

2007年03月22日 | 俳句
喉奥の暗さを覗き風邪といふ
干柿の一蓮托生翁顔
雪女郎厚底靴によろめきし

秩父太鼓が胸倉つかむ十二月
とんちんかんなところへぴょいと鳰

ひとつづつ漆塗りたて実さんざし
ざり蟹の冬支度とはもぐること

羽子板市のはなやぎ三社様森閑
羽子板の華やぎ老いの肩こりぬ
羽子板市の裏側にある寺の闇

白鳥の遠くと話す首たてて
白鳥のかたちに老いし白鳥守
白鳥のつぶら眼で争へり
白鳥の闘志はがねの脚けり合ふ

1999年11月の句

2007年03月21日 | 俳句
ピラカンサ啄むごとき眼で見つむ
蹼がロックのリズム対の鴨

取り出して冬帽子やはらかきいびつ

行く秋の象の体の皺だらけ
雁の掉折れ全天の青かしぐ

1999年10月の句

2007年03月20日 | 俳句
五臓六腑捨て去って澄む糸とんぼ

画用紙に爽籟を塗り込めてゐる
灘無月巨きな闇に隙間無し

水引草しごいて鬱を持て余す
新蕎麦をすするリズムの相似たり

1999年9月の句

2007年03月19日 | 俳句
新絹の白したたりぬ霧の蝶

青蛙飛びわが膕(ひかがみ)のばね疼く
光浮くとみしが流れて秋の蝶
手賀沼の源流の蚊に血盗まるる
ものの影までみな灼くる厄日かな
蝮出さうな小袋池の八重むぐら

落蝉の目許白光たゆたひぬ
地球儀自転北極に空蝉を乗せ

ががんぼの歩み矢がつき刀折れ

かなかなや地酒とろりと沁みわたる
とんぼうが来てとんぼうと繋がりぬ

1999年8月の句

2007年03月18日 | 俳句
向日葵に皆既食めく暗さあり
とんぼうのスリムを水に刺しこみぬ

掌の蓮の実黄泉の磁気走る
蓮手折り骨の髄までこそばゆき
この世からかの世へ傾ぐ蓮見舟
蛇ぬけに突っ込んでゆく蓮見舟

くらげ漂ふ華鬘の紐ぶら下げて
千枚田一閃千の稲光

海鞘の味こびりつきたる旅終る
百日紅町が静かに発狂す
桔梗を次々破裂させて病む

鬼灯の火袋揉んで燃えたたす
仮の世の鬼灯市のあかるさよ
鬼灯買ひますシャッター押してくれますか
鬼灯市売娘の声のつりあがる
鬼灯市ほどよき色を吊すなり

1999年7月の句

2007年03月17日 | 俳句
鬼灯市吊す一瞬ほむらなす
鍼打って梅雨の末期の底にゐる

さくらんぼぽつんと地球ぶら下ぐる
ト音記号でんでん虫が歩き出す

1999年6月の句

2007年03月16日 | 俳句
六月の沼憂し葦笛鳴らすべし
夏の沼コンパクト口びるだけ写す

梅雨入りせり黄泉へ行く足鍛へねば
菖蒲守大事大事と水労る

たんぽぽの絮を飛ばして放心す
ジュンブライド鷭の鼻筋透き徹る
鳩尾(みぞおち)に声のつまりし行々子

1999年5月の句

2007年03月15日 | 俳句
たんぽぽの銀環蝕の崩ほるる

叱られてゐる筍の莫迦力
でっかい椅子によき顔の猫風薫る

鉤鼻のあはあはけむる棕櫚の花
逆光の川鵜の首に紺の暈

1999年4月の句

2007年03月14日 | 俳句
褐色の鍼のつぼ図に蠅生る
落花ひとひら影おくれては追ひすがる

紫木蓮光が折れしとき散れり
尾てい骨の疼く明るさ花辛夷