goo blog サービス終了のお知らせ 

日々一句

俳句と川柳
    浅見 まさし

2002年12月の句

2007年04月27日 | 俳句
初雪を掌にうけ火傷する
枯蓮の甲骨文ん字折り曲ぐる

雁(かりがね)の朝立ち騒(そう)方一里
高踏詩人なりし柿盗人でもありし
欅迷惑クリスマスの灯吊りに吊り

三四郎池あっけらかんと冬がゐる
赤門を盾とし銀杏黄葉炎ゆ
銀杏黄葉赤門の朱と交らず
霜柱東大に無し霜焼けも

2002年11月の句

2007年04月26日 | 俳句
絶対に嘘をつかないとんぼの眼
銀杏の仄と床屋の匂ひせり

枯れ始む別の光の木となって
榠樝の実いびつに天を抛り出す
男郎花はさかり女郎花枯れつくす
冬の花噛んで一人の歩みかな

2002年7月の句

2007年04月22日 | 俳句
蛍とまり脳の端つこ透き通る
ファスナーが背中を割つて梅雨あがる

甚平着て背中の芯のこそばゆし
七夕の星目指してたるかやの馬
紫陽花のいきいき雨の音いきいき

2002年6月の句

2007年04月21日 | 俳句
くらやみに匂ひひろごる供花の菊
洞窟(ほら)が生みし揚羽は慈悲の瞳を持て
洞出でて目に付き棘さる金糸梅

酒庫の闇梅雨の喪心重たくす
見えぬども空の凹凸(でこぼこ)栗の花

なんにでもなれといふならまくなぎに

2002年5月の句

2007年04月20日 | 俳句
呼吸止めて補聴器の聞く春の蕾
新緑の寺の底まできよらなり
なんとなく愛しき蟇の面魂

新緑の一トン動く風立ちて
たんぽぽの絮にくるまりたき眠気
藤の花池に写して届かざる
新緑の裏漉雨の椎大樹

2002年4月の句

2007年04月19日 | 俳句
普段着にのこんのすみれ匂ふかな
花筏組んずほぐれつ堰の乱

葉桜の千差万別空の穴
葉桜となりて明るさ鎮もれり

2002年3月の句

2007年04月18日 | 俳句
袋舞ひして春風の袖袂

浜の子のみな縮っ毛幣辛夷
八景の一景かすむ風見鶏
下萌に子供ころがす海の風

梅の香を大事に臍へしまひ込む
三月の帽子屋鏡ずば抜けて

三月の平らになりし沼の色

2002年2月の句

2007年04月17日 | 俳句
雛の家ほつほつ星もひらがな語

児の拳ほどに身を透き寒牡丹
探しあてたる蕗の薹はんなりと

なんとなくやすけし雨が雪となる
裏漉の昼の月あげ一の午

2002年1月の句

2007年04月16日 | 俳句
海風を猫背でくぐる初茅の輪

神将仏剣尖にぶき小六月
初みくじあたため臍に力満つ
光くぼませ地蔵仏と日向ぼこ
地が火種育ててゐたり落椿

溶鉱炉出でゆく初日拝しけり

2001年12月の句

2007年04月15日 | 俳句
流星を得て数へ日を一つ消す

迦陵頻伽(かりょうびんが)とみしは師走の堂の煤
寺の寂水仙の寂日矢折れる

アメ横の師走一店づつ坩堝

饅頭のやうな女と日向ぼこ
三の酉流星一つ得て終る

2001年10月の句

2007年04月13日 | 俳句
月天心ひらりと猫の咥へしもの

遍照のナンテン桐の実昼の憂し

眩むほど針の胴透く糸とんぼ
生れ立ての光と見しは竜の玉