週刊金曜日な日々

「週刊金曜日」、一読者のB級時評
題名に「週刊金曜日」と使用する事は、編集部の許可を得ています。

ローマ人の物語 ルビコン以降

2006-09-22 00:29:53 | Weblog
**********************
キケロの考える「祖国」は彼が理想としたのがポエニ戦役時代のローマであったころからも、本国に生まれたローマ人が、それもローマ人中のエリートである元老院階級が主導権をふるって当地する国家であった。そのキケロにしてみれば、北の理日コン川に南のメッシーナ海峡という本国と属州をへだてる国境は自明の理であり、その国境の内側だけが「祖国」であったのた。
一方カエサルの考えた「祖国」には防衛線はあっても国境はない。(中略)カエサルには、国家のためにつくし人ならば、ガリア人でもスペイン人でもギリシャ人でも、いっこうにかまわないのであった。但し、カエサルの「祖国」はローマ文明の傘の下に、多人種、多民族、多宗教、多文化がともに存在しともに栄える、帝国であったことは言うまでもない。
**********************
クレオパトラは早くも、アントニウスの性質と才能をよく理解りたにちがいない。そしてカエサルと比較したに違いないから、ひとかどの女ならば障害に一度は直面する問題に、彼女も直面したのかもしれない。つまり、優れた男は女の意のままにならず、意のままになるのはその次に位置する男でしかない。(中略)クレオパトラは後者を選んだ。これで彼女の次の行き方も決まった。
(第8章 431p)
******************
王宮内で一度、39歳の女王(クレオパトラ)と33歳の勝者(オクタビアヌス)は会ったといわれている。(中略)
猫はかわいがってくれる人間を鋭くも見抜くが、女も猫と同じである。なびきそうな男は視線を交わした瞬間に見抜く。
クレオパトラも整った美貌の33歳の冷たく醒めた視線を受けたとたんに、この種の戦術の無駄を悟ったのではないか。不可能とわかっていても試みるのは、一流と自負する勝負師のやることではない。
(第8章 479p)
**********************

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。