我的雑感

読んだ本の備忘録。
正確には書名&著者名の個人的データーベース。
視聴したテレビ番組等や、日常の雑感も備忘的に投稿。

『指紋のない男』 出口臥龍著 幻冬舎メディアコンサルティング刊

2019年11月10日 09時08分27秒 | 読書
『指紋のない男』 出口臥龍著 幻冬舎メディアコンサルティング刊、読了。

中国、台湾、沖縄、東北を股にかけ、国家に翻弄された諜報員の苦悩と悲哀を・・・みたいな前フリに、ワクワクして読み始めたが、超絶な駄作。
いや、最近の西村京太郎シリーズにも匹敵するような、真面目なお約束で笑わせに来ているファンタジー作品と思えば、超良作。(笑)
細かく挙げるときりがないんだけど、個人的には、以下の通り。(事実誤認があった場合は、修正します)

・東日本大震災発災の3日後、3月14日に暴力団組長が仙台と東京を往復。しかも片道5時間程度。
 ⇒ あの当時、東北自動車道は3月11~12日にかけて一応の通行はできる程度には復旧していたが、緊急交通路に指定され、あくまでも緊急車両が最優先。一般人(含む反社の人?)の通行は制限されていたはず。各所で路肩の崩壊等による一車線規制や修復工事に伴う片側交互通行も実施されていて、物凄い渋滞を引き起こしていた。東京~仙台を5時間で行ける訳がない。
   因みに、全面復旧が宣言されて、一般車両にも普通走行が開放されたのは、3月下旬だったはず。自分が北東北から関東に戻るに戻れず難儀したから、良~く覚えてる。

・帰路、阿武隈SAでの仮眠、大型トラックが2台しか停まっていないとの描写。
 ⇒ そんな訳ない・・・というか、阿武隈SAのある白河IC~本宮IC間(53.4キロ)は、震源から離れているが、非常に路面の状態が悪く、補修にも苦労していた区間。前述のように一車線規制や片側交互通行が実施され、工事関係者その他が24時間体制で張り付いていたはずなので、SAで休憩を考える人が大型トラック2台だけ、なんて状況がある訳ない。

以上に関しては、NEXCO東日本の「東北地方太平洋沖地震による高速道路の被害と復旧状況について」というプレスリリースも、参考にされたい。(これとて、ある程度落ち着いてからの情報なので、読むと整然としている印象を受けるが、発災当時は、こんなもんじゃなかった。朝令暮改で情報が差し替わっていた)
https://www.e-nexco.co.jp/pressroom/press_release/head_office/h23/0318b/

・で、阿武隈SAで、メルセデスに乗る暴力団組長を、ボンネットの前に立って、散弾銃で射殺。
 ⇒ いやいや、散弾銃って。しかも描写的には一発しか撃ってないよ、撃ってないよ。(笑)
   まず、暴力団組長ともあろう人が、防弾ガラスにしてない事も驚いた。いや、反社ということで、ディーラー()が、作業してくれなかったのかもしれないけどさぁ、それでも最低限、ガラスの飛散防止のシートか何か、内側に貼るとかしない?

 ⇒ ・・・というツッコミさえ、実はヤボ。このメルセデスには、子分含め3人乗っていたって書かれている。普通の常識で考えれば、運転&助手席が子分で、親分は後席運転手側だよね。
   という事は、何ですか。主人公側の散弾銃は、一撃で大き目の跳ね石とかでも普通は飛散しないフロントガラスをブチ破り、散弾が横方向2mくらいに拡散して運転手と助手席の子分を突き抜けて、座席の背もたれを無視して通過し、後部座席の親分を絶息せしめた訳ですか。
   (言っている意味、分かるかな?親分を狙ったんだとしたら、運転席の子分はともかく、助手席の子分は負傷するかもしれないけど、一撃で絶息とか絶対に有り得ない。そもそも、ガラス→運転手→座席背もたれ→親分の肉体を貫通する散弾(要は、パチンコより小さい、丸い玉)なんて有り得ない。スラッグ弾という散らばらない散弾もあるが、この弾を使ったとの描写はないし、仮に使っていたなら、弾丸が散らばらない以上、前述したように助手席の子分は致命傷を負わずに済む筈なので、全員を絶息させるには連射、最低二射していないとおかしいが、そういう描写は全く無い、ということ)
   スゲー!一体全体、どこの散弾銃なんだろう!どんな弾丸なんだろう!ケネディ暗殺も真っ青だ!(笑)

参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=SnMfdlzEPPU
参考サイト:https://ncode.syosetu.com/n7280en/18/
参考サイト:https://repmart.jp/blog/column/shotgun/
参考サイト:https://kurashi-no.jp/I0015971
Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%A3%E5%BC%BE%E9%8A%83

・・・と、読み始めてからここまでで、驚愕のたった19ページ目だったりします。(笑)
冒頭に書かれた前フリに辿り着く前の、プロローグ段階でコレですから、すっかり気分は萎え萎え。

国家の陰謀に翻弄されたという大業な世界観()の割には、設定が余りにお粗末。散弾銃にしても、特別な改造がしてあって、銃弾も特殊な・・・とかさぁ、嘘でも良いから読み手が「そうなのかー」と思えるような、最低限のリアリティが・・・。
いや、西村京太郎シリーズなら良いんですよ、アレは警察の管轄がどうだとか、そういう事を楽しむ小説&ドラマじゃないんだから。でも、この作品は、そういう系統の作品とは違うでしょう?としか言いようがない。

・・・という感じで、支那大陸や台湾についての描写やら、支那人のくせにメンタルが日本人以上に日本人すぎる主人公とか、あと、コレを言ったらおしまいの「声」の問題とか、まだまだ色々と突っ込みたいけど、全402ページに及ぶ超大作の、19ページ目で、既にこの状況という事で、お察し下さい。(礼)

あ、後半のクライマックスでは、真冬の青森、白神山地の麓・西目屋村に、ろくな防寒装備も持たずに入り込みます。村の雑貨屋で、特製の「かんじき」を買って、ね。幾つものかんじきが、ホイホイ出てくる西目屋村は、私が震災前後に訪問していた西目屋村ではなく、昭和初期の風景が残る、別の村なんだろう、多分、そうなんだろう。(笑)
冬の平均気温がマイナス3度で、雪深い土地なんですが、チョモランマで軍のサバイバル訓練を受けていたから、平気だそうです!
凄いなぁ、人民解放軍!流石は先行者だ!西村京太郎シリーズの湯けむり殺人物で、なぜか裸の女の人が殺されてしまう、サービスショットみたいだ!(笑)


しかし!しかぁし!
書籍冒頭に記された、この一文を見落としてはいけません。

またこの物語で取り上げた国家、組織、団体、人物、事件などは、いずれも作者の想像による産物で、実在のものとはいっさい関係のないことをお断りします。

なるほどぉぉぉぉ!
作者の想像した時間軸では、震災3日目には東北自動車道は震災前と同じ様に使う事が出来たし、散弾銃もライフル並みか、それ以上の威力を持つ、オーパーツ()な世界軸なのですね!

この光り輝く奇跡の一文に感動を覚えるほどの、 も の す ご く よ い さ く ひ ん で し た 。
おしまい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする