ぐるぐる・ぶらぶら

歌舞伎と映画と美術と読書の感想

気になる本 2016/05/30-05

2016-05-30 21:43:25 | 気になる本

2016/06/03

「女性にやさしい」その先へ “資生堂ショック”から新しい働き方を考える
  /AERA編集部/1,188円/朝日新聞出版
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=18122

2016/06/02

恐怖の表象 映画/文学における〈竜殺し〉の文化史/西山 智則/1,944円/彩流社
http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-7062-1.html

恐怖の文学 その社会的・心理的考察 1765年から1872年までの英米ゴシック文学の歴史 新刊
/デイヴィッド・パンター/4,320円/松柏社
http://www.shohakusha.com/

2016/06/01

いつかはみんな野生にもどる 環境の現象学/河野 哲也/3,240円/水声社

「おめでたい人」の思考は現実化する/和田秀樹/821円/小学館 小学館新書
http://www.shogakukan.co.jp/books/09825264

2016/05/31

理論で読むメディア文化 「今」を理解するためのリテラシー/松本 健太郎/3,024円/新曜社
http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/978-4-7885-1480-5.htm

客席から見染めたひと/関 容子/2,376円/講談社
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062199124

不自由な男たち その生きづらさは、どこから来るのか/小島慶子・田中俊之/886円/祥伝社新書
http://www.s-book.net/plsql/slib_detail?isbn=9784396114671

2016/05/30

世界の不思議な音 奇妙な音の謎を科学で解き明かす/トレヴァー・コックス/2,808円/白揚社
http://www.hakuyo-sha.co.jp/

クリエイティブな仕事はどこにある? 公園対談/是枝 裕和 樋口景一/1,620円/廣済堂出版
http://www.kosaido-pub.co.jp/book/post_2370.html


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【読書】ビッグバン・イノベーション

2016-05-29 14:51:43 | 読書記録

名だたる戦略論をバッサバッサと遠慮なく切り倒してるのが爽快。
いやいや、
真に面白く新しいのは、「ビッグバン・イノベーション」という
モデルの定義のほう。

市場へのリリースが超短期・超低コストになってきていて、
資金調達はクラウドファンディングでできちゃって、だから、
新しくて破壊的なイノベーションがいきなり出てきて市場をさらい、
既存企業には負けしかない。

と、ここまではよくあるイノベーション論の前置きと大差ない。

著者は「ビッグバン」後の空間の終焉までイメージに含めているのである。

 "新しく来た奴に駆逐されるだろうし、
  せいぜい時間延ばし作戦くらいしか対抗手段ないから、
  お前らもビッグバンイノベーション起こせや" >既存企業。

と言いながら、

 "おまえらバーンと爆発したのはいいけど、その威力は
  そんなに長いことないぜ" >ビッグバン企業

とも言う。

"うまく逃げる"の指南書なのであった。(極端に言うと)。

-----
ビッグバン・イノベーション
 一夜にして爆発的成長から衰退に転じる超破壊的変化から生き延びよ
ラリー・ダウンズ 著
ダイヤモンド社 2016/02
http://www.diamond.co.jp/book/9784478026625.html

(2016.5.19読了)


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【読書】出現する未来から導く(U理論)

2016-05-29 14:29:50 | 読書記録

序章に記されている"この本の旅":
 組織、社会、関係性、自己を変容させる新しい枠組みをたどっていく。

Wholeを捉えた感想は書けないので(至りません・・・)、
以下印象に残ったことやポイントを。

経済思想の4つの段階(経済1.0~4.0)エゴシステムからエコシステム志向へ。
世の中の変遷(社会1.0~4.0)。
4.0をそれ以前の思想で解くことはできないという。

そして技術の4つの段階。
技術3.0はシステム中心、技術4.0は人間・生命中心。
議論のきっかけとして示された4つの点のうち、実感として響いたのは
 「テクノロジーによる解決」の神話を暴く
 研究開発投資を切迫した社会のニーズにつなぎ直す
の2点。
ここがうまくできていないのが企業の(特に日本の従来から在る企業の)
苦しみの源泉のような気がするのだ。

ともあれ、経済4.0、社会4.0、技術4.0の各モデルは相互に関係しながら
でないと達成されないのだろう。

ヴァレラによる、意識に目覚める基本的なプロセスについて
「保留する、視座を転換する、手放す」という3つの敷居を越えることによる
意識の転換についての記載がとても印象深い。(P197~)
その後、そこから実践に向けての姿勢や事例が続く。

「未来から学ぶ」。
「経済構造の進化は人間の進化に従う」。

4.0は今と地続きだけれど、土を起こすような意識の変化が必要で、個人では
なく組織・集団=企業4.0が局所から変えていくことになるのかも知れない。

-----
出現する未来から導く U理論で自己と組織、社会のシステムを変革する
C・オットー・シャーマー、カトリン・カウファー 著
由佐美加子、中土井僚 訳
英治出版 2015/07
http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2178

シャーマーが「U理論を築き上げるうえで最も重要なインタビューを挙げると
すれば、私がヴァレラに行った何回かのインタビューはその中に入るだろう」
と述べているヴァレラは、フランシスコ・ヴァレラ。
「オートポイエーシス 生命システムとはなにか」の共著者。
ああ、地続きなのだ。

(2016.5.8読了)


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【読書】できない理由は、その頑張りと努力にあった

2016-05-29 14:17:36 | 読書記録

「人体六〇〇万年史」の記憶が新しい中、シンクロ感いっぱい。

もっとも、本書は武術稽古研究会を主宰する甲野氏が、武道研究という、
身体構造の実践的探求の中で見出した事実(の不思議)について話を
されているので、「人体六〇〇万年史」の身体と環境のギャップの視点
とはまったく異なる感嘆がある。

身体そのものの話を軸に、現在の教育や科学での捉えかたへの疑問、
演劇との近似など対話は幅広く及ぶ。

武道というと"精神性"のような単語が頭に浮かんだりするのだけれど、
思考するよりも前に身体の中にあることを、型として引き出すのだと
いう。思考は、時に邪魔をする。

-「身体の感覚が納得する動き」といううものの復権-
それが、人を何かから解放するかも知れない。

-----
できない理由は、その頑張りと努力にあった
甲野 善紀 /平尾 文 著
PHP研究所 2015/12
http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-82789-6

(2016.5.21読了)


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【読書】人体六〇〇万年史(上・下)

2016-05-29 13:14:07 | 読書記録

面白かった。
上下巻でボリュームが、と思ったけれど、引用・索引ページも多いので
予想よりもすいすいと読了できました。

600万年かけて形成されてきた現在のヒトの身体構造や組成。
自然選択の経緯、今のこの身体がどんな環境を前提として形成されてきたか。
そして結果として在る姿が、ここ数千年・特にここ数百年の急激な文化による
生活環境の変化とのギャップの結果として生じる数多の病。

免疫系の病気、腰痛、糖尿病や心臓病etc。
後半の病との関係については、ワタシ自身は別の書籍でも読んでいたので
割とおさらいな感じだったけれど、読んでいない人には新鮮かもしれない。

どちらかというと
自然選択の推定と、その結果形成された身体がどんな生活活動を前提として
いるのか、の辺りを特に興味く読んだ。

直立で速く走れるってすごいことなわけで。
でも速いといっても捕食動物より遅い。自然選択のバーター。ナルホド。

目からウロコ系は、
実は脳は小さくなってる(600万年俯瞰したら)とか、
農耕によって人工が爆発的に増加し(子供は労働力だった…)、文化が生まれる
余地もできたけれど、農耕によって却って日々の活動はキツくなったという話や、
夜に真っ暗・静寂の中で眠るのはずいぶんと最近になってからのスタイルである
といった話などなど。

-----
人体六〇〇万年史(上・下)
ダニエル・E・リーバーマン著
早川書房 ハヤカワ・ポピュラー・サイエンス
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000012831/
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000012832/

(上 2016.4.30 下 2016.5.14)


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【読書】ゆっくり、いそげ

2016-05-29 12:26:12 | 読書記録

西国分寺のカフェ「クルミドコーヒー」を経営する著者が、
実践内容を引きつつ、利益至上ではない経済について語る。

人間関係がビジネスの手段化されている現状。
利用し合う人間関係が習慣化しているという指摘。

産地と繋がるということ、地域通貨「ぶんじ」、イベント。

かかわる人を顧客や従業員としてだけでなく主体側に交えていくこと。

「掲げる理念が正しく立派であればあるほど、メンバーはそうした
状況に反論しにくく、なにかすっきりしないものを感じながらも現状を
変えられずに擦り切れていく」(本文より)
大きな企業の中で、よく起こっていることではないだろうか。
そうなるとメンバー(従業員)もテイクに対してテイクで対抗するように
なる、と著者は言う。

痛いなぁ。そうなのだ。
たぶん、それが続いたら、企業体の生命力が枯れていくのだ。
例えが悪いかもしれないけれど、ウィルスと宿主のように、
関係が不均衡な状態は、どちらかの死をもって関係が終了するだろう。

そうならない方がいいよね。

「人に仕事をつける」という発想や、支援学のコラム、対話(支援の話法)、
違いを乗り越える・他人とともに自由に生きる、など、組織の大小に関係なく
参考になる。実際的。

本書は成果や総括ではない。
著者は、今ありのままの姿を語ることに意識を傾けているように思う。
そこに楽観バイアスはない。悲観もない。
真の願いと、小さいけれど具体的な実の場があるとことそのものが素晴らしい。

-----
ゆっくり、いそげ カフェからはじめる人を手段化しない経済
影山 知明 著
大和書房 2015/03
http://www.daiwashobo.co.jp/book/b190582.html

(2016.4.16読了)


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【映画】マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

2016-05-29 01:43:07 | 映画

タイトルは編集構成を率直に伝えてはいる。
主にヨーロッパの各国を"侵略"するマイケル・ムーア監督。

各国へのインタビューでのストレートなツッコミや、引き合いに
出される過去やUSの実例映像には、ブラックユーモア健在。
ただし、まとめかたは少しお行儀が良い。

本質的には、優良な(文字通り)ドキュメンタリーだと思う。

世の中を良くする、人の幸せに寄与する社会的な方法論と成果が
畳み掛けるように示される。
携わり進めている人々のインタビューは、彼らの本気を観客の目前に
提示する。
実はマイケル・ムーアのピュアな祈りが映っているのではないかな。
茶化す演出は照れ隠しなのかも?

-----
公式サイト:http://sekai-shinryaku.jp/

(2016.5.28)


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【映画】ディストラクション・ベイビーズ

2016-05-29 01:12:06 | 映画

タイトルからつい連想するのは「コインロッカー・ベイビーズ」。
あの閉塞の懊悩と反逆と暴力の空気を受け継ぎつつ、当時から30年を
経て生み出された本作は、寓話味を排して今を映した人物造形が鮮明。

低音ロックチューン。
ぱっきんぱっきん鈍い殴打音が何度となく繰り返される画面の中、
柳楽優弥演じる主人公・泰良は冒頭からタガが外れている。
何かを確かめるかのような執拗さとjoy。目が。目が語る。空(くう)を。

泰良の弟・将太(村上虹郎)のピュアと一見沈んで見える中の熱。
北原(菅田将暉)の不安定な軽さと暴走。妙味。

泰良は当初から壊れたトーンが安定的に続いているようでいて、
ある時点で相対から超越者へ、立ってる場所が移った。色気が立つ。
北原が起爆したのか、時節が到来したのか。

世の中への敵意が一番強いのは、あんがい那奈かもしれない。
現実に存在したら一番近づきたくないのも那奈なんだけど。
でも、もっと怖いのは、メディアと"すなおな"大衆かもなぁ。

泰良は、どんな世界を行くのだろう。

-----
公式サイト:http://distraction-babies.com/

(2016.5.28)


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気になる本 2016/05/23-29

2016-05-27 00:04:13 | 気になる本

2016/05/28

忘れられた日本の村/筒井功/1,944円/河出書房新社
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309226682/ 05/26

フェティシズム全書/ジャン・ストレフ/4,800円+税/作品社 
http://www.sakuhinsha.com/history/23732.html

モビリティ革命 自動車ビジネスを変革するエンタープライズ・アーキテクチャ
  /セバスチャン・ヴェデニフスキー/5,184円/森北出版
https://www.morikita.co.jp/books/book/3021

2016/05/27

フィクションとは何か ごっこ遊びと芸術/ケンダル・ウォルトン/6,912円/名古屋大学出版会
http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-0837-2.html

アフリカ音楽の正体/塚田 健一/2,592円/音楽之友社
http://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?code=135700

電気革命 モールス、ファラデー、チューリング/デイヴィッド・ボダニス/767円/新潮文庫
http://www.shinchosha.co.jp/book/220036/

2016/05/26

基本の色彩語 普遍性と進化について/ブレント・バーリン/3,780円/法政大学出版局
http://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-01041-5.html

色の力 消費行動から性的欲求まで、人を動かす色の使い方/ジャン=ガブリエル・コース/1,728円/CCCメディアハウス
http://books.cccmh.co.jp/list/detail/1880/

背信の都 上/ジェイムズ・エルロイ/2,214円/文藝春秋
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163904658
背信の都 下/ジェイムズ・エルロイ/2,214円/文藝春秋
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163904641

心という難問 空間・身体・意味/野矢茂樹/2,592円/講談社
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062200783

現代思想 日本の物理学者たち(仮)/1,404円/青土社
http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791713233

錬金術の世界 新装版/ヨハンネス・ファブリキウス/5,184円/青土社
http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791769261

デジタル・ジャーナリズムは稼げるか メディアの未来戦略/ジェフ・ジャービス/2,376円/東洋経済新報社
http://store.toyokeizai.net/books/9784492762257/

未来のために何をなすべきか? 積極的社会建設宣言/ジャック・アタリ/1,512円/作品社
http://www.sakuhinsha.com/politics/25811.html

教養としてよむ世界の教典/中村圭志/2,592円/三省堂
https://www.sanseido-publ.co.jp/publ/gen/gen4lit_etc/kyoyowldkyotn/

深く、速く、考える。 「本質」を瞬時に見抜く思考の技術/稲垣 公夫/1,598円/クロスメディア・パブリッシング

2016/05/25

現代思想 微生物の世界/1,404円/青土社
http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791713226

人形つくり/サーバン/2,592円/国書刊行会
http://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336060587/

虚構の男/L.P.デイヴィス/2,376円/国書刊行会
http://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336060570/

世界の都市地図500年史/ジェレミー・ブラック/4,860円/河出書房新社
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309226569/

料理と帝国 食文化の世界史 紀元前2万年から現代まで/レイチェル・ローダン/7,344円/みすず書房
http://www.msz.co.jp/book/detail/07960.html

サイクス=ピコ協定百年の呪縛 中東大混迷を解く/池内恵/1,080円/新潮社 新潮選書
http://www.shinchosha.co.jp/book/603786/

2016/05/24

日本武術神妙記/中里介山/1,296円/角川ソフィア文庫
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=321601000709

2016/05/23

野生ミツバチとの遊び方/トーマス・シーリー/2,592円/築地書館
http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1515-3.html

なぜぼくが新国立競技場をつくるのか 建築家・隈研吾の覚悟/隈研吾/1,620円/日経BP社
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/P51520.html

香の本/荻須 昭大/3,240円/雄山閣
http://www.yuzankaku.co.jp/products/detail.php?product_id=8298

危ない電子工作の教科書 過激な知的好奇心を弄ぶ自作エンタテイメント
  /ラジオライフ電子工作研究会/2,500円/三才ブックス
http://www.sansaibooks.co.jp/mook/%E5%8D%B1%E3%81%AA%E3%81%84%E9%9B%BB%E5%AD%90%E5%B7%A5%E4%BD%9C%E3%81%AE%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8.html

国家はなぜ衰退するのか 上 権力・繁栄・貧困の起源
  /ダロン・アセモグル/1,080円/早川書房 ハヤカワ文庫NF
国家はなぜ衰退するのか 下 権力・繁栄・貧困の起源
  /ダロン・アセモグル/1,080円/早川書房 ハヤカワ文庫NF

死の迷路/フィリップ・K・ディック/1,015円/早川書房 ハヤカワ文庫SF


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【映画】海よりもまだ深く

2016-05-22 00:32:43 | 映画

ダメ男のどうしようもなさ。
その行動に共感はないはずなのだけれど、なぜこれほど切ないのだろう。

阿部寛の主人公・良多、滑稽だね、と簡単に突き放すことができない不思議。
その感じは、周辺人物(母・元妻・息子・部下)の感情から想起されたりもする。

良多に観客自身が映るのかもしれない。
「なりたかった大人になれるわけじゃない」。
誰かの好意や期待に返せない。真情と上滑り。

救いでもない。絶望でもない。この微妙な中庸の、ゆるりとした苦甘を
ことばではなく作品全体で発してくる是枝監督の技。

-----
主人公や母たちの暮らしの様子、日本で暮らしている人のいまの日常、
もしかしたら失われつつある日常の"ふつう"が、随所にあらわれる。

-----
公式サイト:http://gaga.ne.jp/umiyorimo/

(2016.5.21)


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気になる本 2016/05/16-22

2016-05-19 23:32:28 | 気になる本

2016/05/20

ポスト西洋世界はどこに向かうのか 「多様な近代」への大転換/チャールズ・カプチャン/2,700円/勁草書房
http://www.keisoshobo.co.jp/book/b222567.html

バイオアート バイオテクノロジーは未来を救うのか。/ウィリアム・マイヤーズ/3,672円/ビー・エヌ・エヌ新社
http://www.bnn.co.jp/books/8108/

みんなではじめるデザイン批評 目的達成のためのコラボレーション&コミュニケーション改善ガイド
  /アーロン・イリザリー/2,376円/ビー・エヌ・エヌ新社
http://www.bnn.co.jp/books/8119/

メディア・リテラシー教育と出会う 小学生がデジタルメディアとポップカルチャーに向き合うために
  /ルネ・ホッブス/2,160円/弘前大学出版会
http://www.hirosaki-u.ac.jp/hupress/2016/05/4157

ざんねんないきもの事典 おもしろい!進化のふしぎ/今泉忠明/972円/高橋書店
http://www.takahashishoten.co.jp/book/10364.html

2016/05/19

漂流の島 江戸時代の鳥島漂流民たちを追う/高橋 大輔/1,944円/草思社
http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_2202.html

混ぜる教育 80カ国の学生が学ぶ立命館アジア太平洋大学APUの秘密/崎谷実穂/1,620円/日経BP社
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/251480.html

うわさと俗信 民俗学の手帖から/常光徹/1,620円/河出書房新社
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309226668/

脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす/甘利俊一/972円/講談社 ブルーバックス
http://bluebacks.kodansha.co.jp/

2016/05/18

JUST IN SF/牧 眞司/1,836円/本の雑誌社
http://www.webdoku.jp/kanko/page/4860112857.html

おばあちゃん/谷川 俊太郎/1,404円/いそっぷ社
http://www.isopsha.com/index.html

2016/05/17

江戸の災害史 徳川日本の経験に学ぶ/倉地克直/929円/中央公論新社 中公新書
http://www.chuko.co.jp/shinsho/2016/05/102376.html

世襲格差社会 機会は不平等なのか/橘木俊詔/参鍋篤司/中央公論新社 中公新書
http://www.chuko.co.jp/shinsho/2016/05/102377.html

2016/05/16

逆説の世界史 2 一神教のタブーと民族差別/井沢元彦/1,782円/小学館
http://www.shogakukan.co.jp/books/09388467

サーチ・インサイド・ユアセルフ 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法
  /チャディー・メン・タン/2,052円/英治出版http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2227

ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正/大西康之/1,620円/新潮社
http://www.shinchosha.co.jp/book/350071/


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【映画】殿、利息でござる!

2016-05-15 20:29:34 | 映画

映画表現ってすごいな。
訓話に仕立てることもできるエピソードなんだけど。
意思の姿は、金銭欲や名誉欲、現実との折り合いとのバランスの中で、
ドラマの中に、ごく自然に溶け込んでいる。

脚本うまい。役者も揃ってる。
日本の里山の景色にも和む。
人間ドラマとして楽しむもよし。
コアなメッセージをかみ締めるもよし。

キャプションで補助を入れながら、組織構造や経済構造を分かりやすく
伝えているので、お勉強にもなります。

「少しでも澄んだものする」という台詞の秀逸なこと。

登場した瞬間に穀田屋十三郎その人であった。阿部サダヲ。
澄んだ気配を纏う浅野屋甚内を妻夫木聡。(あとで色々納得)。
アイデアマン菅原屋篤平治の瑛太が狂言回し的ポジションでトーンを軽やかに。
先代の浅野屋甚内十三郎を山崎努。重要な役柄なれどちょっとしか出ない。
しかし大変な存在感。

-----
公式サイト:http://tono-gozaru.jp/

(2016.5.15)


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【映画】HK アブノーマル・クライシス

2016-05-15 10:26:45 | 映画

「バッカーー(喜)」って指差して笑いっぱなしな感じの客席(実際には指はささないよ)。
劇場内の周りみんなそんなふう。
前作よりワルノリがパワーアップしてる気がする。

あれこれ言うの野暮だけど。

全編 楽しませテンション がずーーーっと続く。
絵がすごい。どこのシーンで切っても。
エンディングが終わるまで、画面の作り込みに隙なし。

ショボさチープさの匙加減がうまいなぁと思う。"情けなさ"加減。

登場人物みんな変、そしてまじめ。
役者さんたちは徹底入魂で演じてる感。拍手。

鈴木亮平の変態仮面時、珍妙なあの扮装で文字通り全身で表現するすごいポーズは
バレエ・体操的な難しさだろう。美しい。でも可笑しい。脚きれいすぎる…。
柳楽優弥のオクテ青剃り大学生←→上半身だけ見たら美しい高笑いキャラ。
ムロツヨシの大金(暫定ボディがぷぷぷ)との対面シーンでの台詞応酬なんか絶妙。

新井浩文のピザ屋店長。
再びの安田顕は前作とは別のキャスティング、今回も振り切れていた。

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HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス
公式サイト:http://hk-movie.jp/

(2016.5.14)


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【映画】マクベス

2016-05-14 20:03:42 | 映画

凝った美しい背景と達者な役者の表現で堪能する「よくわかるマクベス」。
かな。

スコットランドの景観、人物たちの衣裳・道具、領主の住まいと王の城。
肉弾戦的戦闘や、バーナムの森が"動く"こと。
舞台ならば観客の想像に任されるもの、視覚化の手腕は見応えあり。

マクベス(マイケル・ファスベンダー)が"越えた"瞬間の反転、疑心・狂気、
マクベス夫人(マリオン・コティヤール)の野心とその後の心の移り、
ダンカン王(デヴィッド・シューリス)の人物の大きさ、
いずれもみごとな表現。

でも、視覚化するということは、観客の認知が役者に収斂しないという
弊害も生むんだなぁ、と。

例えば、領民が出てこないなど、これは局所での物語。
でも映画としては領地やイングランドの地を視せるわけで。

映画であるが故に、個々の心揺さぶる要素が総体の中で薄まっている感じ。
制作時点から孕んでいる矛盾なのだろう。
ゆえにチャレンジであるし、それなりの成果を達しているとは思う。

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公式サイト:http://macbeth-movie.jp/

追記:描かれているマクベスとその夫人の心理、現代的かもしれない。

(2016.5.14)


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【映画】ヘイル、シーザー!

2016-05-14 01:59:37 | 映画

楽しかった!

そう思うのは、多少なりと映画に愛着を感じているからかもしれない。

これは「面白い」より「楽しい」だなぁ。

「映画」という媒体・表現手段がもたらす魅力の再認識。
アナログな手段で重厚なものを創る姿が、味わいを増幅させる。
50年代へのオマージュ。
再現はゴージャス。手間暇・金・気合。
劇中劇の創り手・演じ手のプロフェッショナルっぷりと二重人格的要素。
それを演じる(あるいはスクリーンの外で創っている)のを観るわけだから、
プロの二重構造である。

捻った小ネタ、些細なことを大仰に(ナレーション!)、シニカル、無邪気。
緩急強弱変幻自在。
入れ込んでるけどどこか自嘲的だけどプライド。

ホビーが魅力的(アルデン・エーレンライク)。
ジョー(ジョナ・ヒル)やローレンツ監督(レイフ・ファインズ)、
あのインテリたち、etc。
脇の人物像がいい。

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公式サイト:http://hailcaesar.jp/

エンドロール、音楽と一緒に流れる効果音でシーンを思い出したり。

(2016.5.13)


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