エリートの明確な定義はないのだけれど、
主に明治期以降に現れた指導者層と、もうひとつ「知的エリート」
について過去の経緯から状況を紐解いている。
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世の中に、暗黙の待望論があるような気がして、日本の中では
どうなっているんだろうと思って手に取った。
本書を読んでいると、エリートには、
リーダーシップを取るポジションに至るもっと前に自覚がある、
というのが、エリートでないリーダーとの違いのように思われる。
その自覚は、学歴や出自に伴って生じている印象が強い(歴史上は)。
これだけ多様化してフラット化して、将来予測が難しい時代に、
エリートは生きにくいかもしれない。
自覚的に育ってきたしても思ったようには進まないから。
変化対応力を教育され習得して育ってきたなら話は別だけど。
→コイズミさんちの三男さんとかイメージですかね。
エリート不在は、リーダー不在とイコールではない。
"エリート"タグに関係なく、リーダーはそこここに生まれ出でているし、
本書が気にかける「知的エリート」(ホンモノの)はそういう層と
けっこう交流していると思う。
ただ、国家を動かすレベルになると、どうなんだろうなぁ。
その疑問は結局解けなかった。
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日本のエリート リーダー不在の淵源を探る
橘木俊詔 著
朝日新聞出版 朝日新書 2015/04
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=16959
(2015.8.23)