人生は切り干し大根

エッセイコラムダイアリー

シェー! これでいいのか?

2011-05-17 23:01:19 | Weblog
『これでいいのだ!!映画★赤塚不二夫』を観た。

赤塚ファンとしてどう言えばいいか………………………………………………申し訳ないけど………………………………笑えない、泣けない、序盤で『こりゃあ~駄作かもしれない』という言葉が頭をよぎる始末。
何とな~く面白いんだけど、どこをどう面白く捉えればいいかが難しい。

何をどうやりたいかは、ものすご~く伝わってくるだけに、全編にはびこる中途半端感が何ともやるせなく、観ている自分が恥ずかしく感じてしまった。

結局は武居記者(原作者)の視点でしかないので、赤塚不二夫の生涯や全貌が描かれている訳ではないし、特に後半は赤塚漫画の最高峰といわれる『レッツラゴン』のプロモーション映画になってしまった感がある。
アジャパー!

意味不明のハチャメチャ感、不条理さを映像にするのは難しいのか、この原作で描かれている赤塚不二夫の言動や行動は彼の漫画そのものだ。
脚本が悪いのか監督が力不足なのかは定かではない。それ故に、漫画みたいな現実を映像で表現したものを観ることの虚しさ。
言葉は悪いが、テレビの赤塚特集での再現シーンの方が面白かったりする。
テレビは史実を忠実に再現するが、この映画はタモリの言う『密室芸』みたいなものを再現しようとした。
それを一部分切り取るだけならまだしも、延々と見せられてもなぁ~


しかししかし、ボクがこれまで見聞きした『フジオ・プロ』の様子や漫画の制作過程など、完璧にイメージ通りだった!
この部分はなかなか凄い!
漫画家の先生がほとんどを描いてアシスタントが仕上げをやるのが普通の漫画制作ならば、フジオ・プロは文字通り会社組織として機能していたというのが描かれている。
編集者が会議に参加してストーリーを一緒に練る、キャラクター作りにも口を挟む。
おもちゃの鉄砲の撃ち合いで仕事場がしっちゃかめっちゃか。(このような遊びも『バカになって初めて見えるものがある』という、制作に必要な大切なプロセスらしい)
赤塚不二夫が一切描かなくても、原稿が仕上がる。
つまり制作のどこかに関わっているというスタンスで進行していたというのがよく描かれていて、この部分は『さすが武居記者!』という感じだ。

K談社の『イガラシ記者』が原作だったらどうなるんだろう? という興味が残るが、最終的には、赤塚不二夫がマザコンのお子ちゃまで堀北真希が死ぬほど可愛いくて浅野忠信は喋らない方がいいというのがよ~く分かった(^_^;


『バカになりなさい』。そしてハチャメチャやった挙句に『タリラリラ~ン』『これでいいのだ』。
赤塚ワールドは素晴らしいけど、やっぱり映画としては駄作だと思うな。
これでいい訳ないのだ!



© Fujio Akatsuka