大工さんの秘密（常用と手間請け）

大工のお給料の秘密を教えちゃいますね。

常用は一日いくら。まぁ普通の給料みたいなもんですよ。
手間請けってのは、家一軒を造るにあたって一軒いくら、坪いくらって形で仕事をする事なんですね。

金物（釘など）持ちとか材料持ちとか手間だけとか色々ありますが、この手間請けってのは言い面も悪い面もあるんですね。

例えば計算しやすいように家一軒300万で請けたとしましょう（あくまで仮ですよ）。3ヶ月で終われば、一月100万円。
5ヶ月で60万。10ヶ月で30万。それから金物代を引き、交通費を引き、年金、保険料、通常会社が引いてくれたり、増やしてくれるのを引いていって残るのが実際の収入です。
道具も、替刃も、作業着もそこから。失業保険も場合によっては労災も自分でです。

作業日数が増えれば一日の手間が減るし、早く終われば手間が増える。急げば急ぐほど「稼ぐ」という意味では良いんですねー。
でも、家にとっては(施主様にとっては）良くないんですよ。

手が早い人、遅い人はいますが、例えば全く同じやり方、仕上げ方でやるとしたらそんなに日数は変わらないっすよ。（クヲリティですよ）
じゃあ何故早くなるか。
簡単ですよ、80点が合格ラインなら81点とっときゃいいのですよ。

ハウスメーカーの様にアフター専門の部署があってそこが行ってくれるなら作った本人は良いかも知れません。
でも、うちらのような小さな工務店はソックリそのまま自分に帰ってきます(笑)
自分の悪い仕事を自分で直す。だからちゃんとやる。100点を目指す。
すると日数がかかる。
手間は増えない…(笑)。でもまぁそれで良いと思うんですよね。

一人一人が次に入る職人がやりやすい様に造る。すると、次の人は綺麗に仕上げようと努力する。
これが結果良い家に繋るんですねー。

もし金儲けに走りたいなら悪徳リフォームすれば良いんだし、楽しく建てたいなら金は二の次三の次になっちゃうのです。仕方ない！100点がいいもん(笑)

早いハウスメーカーは工期30日とかありますからね。
無理だって、まともに100点目指したら。
見える所だけ何となくやっつけて、ドロン！でしか無理ですって。
そんな所で建てないように。あまりに工期が短いメーカーは要注意ですよ。
皆さん急ぎたいのは分ります。でもあと30年は住むでしょう？
そのうちの1月2月伸びたって良いじゃない！

俺は飯が食えれば良いから、あんまり急がせないで～！
79点になっちゃうよ！

（若かりし頃の過ちから一部語弊のある表現があったので、書き換えました。2012/09/05）