女の一生(128)
Guy de Maupassant
Une vie
———————【128】———————————
Un petit cri d'oiseau s'éveilla quelque
part. Des gazouillements, timides d'abord
sortirent des feuilles ; puis ils s'enhar-
dirent, divinrent vibrants, joyeux, gagnant
de branche en branche, d'arbre en arbre.
—————————(訳)—————————————
鳥の小さな鳴き声がどこかで目覚めた.さ
えずる声はまず、おそるおそる葉から流れ出
て、次には大胆に、生き生きと、そして楽し
そうに、枝から枝へと、木から木へと広がっ
ていった.
————————⦅語句⦆—————————————
cri:(m) ❶叫び、大声、物売りの声;
❷泣き声、 (鳥、獣、虫の) 鳴き声.
cri du nouveau-né / 赤ん坊の泣き声
oiseau:(m) 鳥
s'éveilla:(直単過/3単) < s'éveiller
s'éveiller:(pr) 目を覚ます
quelque part:どこかで
gazouillement:(m) (小鳥の)さえずり
timide:(形) 内気な、おとなしい、
おずおずとした
d'abord:まず、
sortirent:(直単過/3複) < sortir
sortir:(自) 外へでる、外出する、去る、
離れる、抜け出す.流れ出る、発する
feuille:(f) 葉
s'enhardirent:(直単過/3複) < s'enhardir
s'enhardir:(pr) 大胆になる
devinrent:(直単過/3複) < devenir
devenir:(自) ~になる
vibrant, e:(形) (弦などが)震える、
(声が)響きわたる
joyeux, se:(形) 陽気な、ゆかいな、うれしい
gagnant:(p.pré) < gagner
gagner:(自・他) (病気などが)広がる
————————≪語法≫——————————————
de branche en branche:枝から枝へと
d'arbre en arbre:木から木へと
一般に de...en... は【移行】
「~から~へと」
(名詞は通例無冠詞)
aller de vilole en ville /
町から町へと渡り歩く
.
————————≪解釈≫—————————————
Un petit cri d'oiseau s'éveilla quelque part.
AIにかけるときっと本文訳通りになると思
うが、文法を無視して、常識に従って訳すと:
「どこかで鳥が目覚めて小さな鳴き声がした」
ただし仏検で和訳の設題が出されたときは、
文法に従ったほうが安全です.
ちなみに諸先生方の訳も文法を遵守されて
いるようです.
❶新潮文庫:どこかで小鳥のちちという鳴
き声が目をさました.(新庄訳)
❷集英社 :小さな鳥の鳴き声がどこかで
目覚める.(斎藤訳)
[単純過去を現在で訳しているがこれは
よくあること.ここはたたみかける手法]
❸河出書房:小鳥のみじかい鳴き声がどこ
かで目覚めた.(杉訳)
もちろん「女の一生」を訳された先生方は他
にもたくさん、いらっしゃるでしょうから、
さがせば、あなたの気にいる訳文に出会える
ことでしょう.実はぼくもこう思っています.
「鳴き声が目を覚ますのではない.目を覚ま
すのは鳥だぞ」.
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