過去の世界チャンピオンと比べても井上尚弥は出色のボクサーだ、と思っている。
8日夜行われたWBO世界スーパーフライ級戦。
井上の相手は世界1位ダビド・カルモナ(24)。
初防衛戦も世界1位だった。
防衛を重ねるために1位の選手は避けたい。
世界王者は防衛を重ねるたびにファイトマネーと興行権が積算される。
「えっ?こんな選手が世界ランカー?」
これまでもそんな疑惑の挑戦者がいた。
強力なマッチメーカーはあるレベルの選手を「世界ランク」に潜りこませることはそう、難しくない。
だが、世界1位となるとそうは簡単ではない。
黄金のバンタムといわれたエデル・ジョフレの時代。
最強の1位といわれたのがジョー・メデル。
ロープ際の魔術師といわれ、必殺のカウンターを武器にしたメキシカンだった。
ファイティング原田も一発で仕留められた。
強いが故に王者が逃げる。
挑戦の機会がないまま世界1位に長く君臨するボクサーはいた。
井上の凄さは「そんな最強の挑戦者とやりたい」という飽くなき精神力だ。
ダブル世界戦と銘打たれたもう一人IBF世界フライ級・八重樫東の挑戦者は世界11位。
せめて、世界6位ぐらいまでの選手と世界戦をしてもらいたい。
2人とも同じジム。
だからジム側は、両方とも王座陥落の危険性を避けたい。
興行、経営に関わってくるから仕方ない、ともいえる。
これはファン目線ではない。
あくまでもボクシングの世界の視点だ。
さて、東京・有明コロシアムで行われた井上尚弥2度目の防衛戦。
4ラウンドぐらいまで、KOは時間の問題だな、と見ていた。
それぐらい井上が圧倒していた。
中盤から11ラウンドまで?おかしい、となった。
急に打ち下ろす右のパンチが出なくなった。
解説者も指摘していた。
「右こぶし痛めていなければいいですね」
確かに極端に右のフィニッシュブローが減った。
時折出す右はボデーだけだった。
案の上、試合後、2ラウンドに右こぶしを痛めていたことを公表した。
そんな状態で12ラウンドの猛攻撃。
1度ダウンを奪い、KO寸前に試合終了のゴング。
23歳の井上をアッパレというしかない。
▼井上尚弥「期待を見事に裏切ってしまって申し訳ないです。母の日にみっともないです。カルモナ選手はタフでディフェンスもしっかりしていて、崩し切ることができませんでした。いろんなことをしたかったのですが…。これからも勝ち進んで、防衛を重ねていけるよう精進したいです。これから海外に出ていろいろな経験をしたい」
▼ダビド・カルモナ「最終回は顔面にパンチをまとめられたので回復のためにダウンした。だけど、もうその時、彼が私をKOできないと分かっていた。今夜の私ほど井上選手を苦しめた選手はいない。満足している。グレートなチャンピオン。1~4回は本当に慎重に戦った。それ以降は勝つつもりで戦った。再戦できるのならもちろんしたい。スーパーフライ級最強の王者に勝ちたいのは当然だ。7回以降は痛くて試合に影響した。せっかく新しいシューズを買ったのに、高い買い物だ…。これ(シューズの影響)がなくても、ナオヤ選手の勝利は明確だよ」
具志堅の記録に挑戦して欲しい
八重垣は打たれ過ぎ、次回アウトだな・・・