業績改善期待に需給要因が加わって連騰してきたファーストリテイリングの株価が一服する兆しが出てきた。日経平均株価のウエート首位銘柄が10連休明けの株式相場のかく乱要因になりかねない。
Fリテイリ株は5日から19日まで11連騰し、この間の上昇は1万110円(19%)だった。11日に2019年8月期第2四半期決算を発表して以降、上げに拍車がかかり、投資家の短期的な採算コストである25日移動平均線からの上方かい離は19日に約16%と、過熱感が強まった。株価は22日に小反落し、23日の下げは一時3%を超えた。
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同社株の日経平均ウエートは10.4%で、2位のソフトバンクグループ(5.7%)を大きく上回る巨人的存在とあって、日経平均を大きく押し上げた。Fリテイリの連騰期間中、東証1部全体の値動きを示すTOPIXが0.2%安だった一方、日経平均は475円61銭(2.2%)上昇。日経平均の上げ幅のうち、Fリテイリ1銘柄で371円と78%を占めた。日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は19日時点で13.7倍と、1992年以来の高水準となり、日経平均の割高感を演出した。
NT倍率の推移
Fリテイリの信用取引では、12日時点で買い残が8万4800株なのに対し、売り残は56万3000株に膨らんでいる。日本証券金融によると、23日時点で1株当たり1.2円の品貸料が発生している。信用の売り方が10連休期間中の品貸料を避ける売買をするには23日が最終日となることから、足元での買い戻しの思惑につながりやすかった。最低売買単位の100株で11日間の品貸料は、現時点で1320円の追加コストがかかる計算。
証券ジャパン調査情報部の野坂晃一上席次長は「指数全体を押し上げたいとの一部思惑に加え、売り方が逆日歩までついて締め上げられていることがFリテイリ株高につながっていた」とした上で、「小型株でないこの銘柄の規模で15%の上方かい離は見たことがない。過熱感が多少解消に向かう可能性がある」と指摘。そうなると「NT倍率も縮小していくだろう」と予想している。