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異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説 『ボケ茄子の花 その三十八』

2018年09月13日 03時22分59秒 | 小説『呆け茄子の花』

結局、尚樹はまた主治医に同じ事を言ったが、

部長は尚樹の主治医に小言を喰うだけには収まらず、

病院の会議という会議またミーティングに呼ばれることなく、

「干される」こととなり、議事録を会議後に渡される羽目になった。

部長は部屋を出る用事がなくなり、フラストレーションは高まるばかりで

その矛先は、逆恨みとなり尚樹に降りかかろうとしていた。

尚樹はいつもの通りに「Dr.部屋」で仕事をしていると

ノックする音に扉を見た・・・。

 

尚樹の主治医だったが、いつもはノックをしないDr.に違和感を感じながら、

「あっ、先生どうされました?」主治医はいつになく真剣な顔だったが、

その顔は尚樹に向けられたのではなく、なにか「闘いの余韻」を感じさせた。

 

 

その三十九につづく

 

 

 

 

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小説 『ボケ茄子の花 その三十七』

2018年08月06日 21時44分48秒 | 小説『呆け茄子の花』

尚樹は何度も回避する方法を考えた。

ある日、部長から呼び出しを受けた。

尚樹は轍を踏むまいと、考えがあった。

部長がまとわりつく様な口調で言った。

「尚樹さん、この前言ってたことどうですか?」と。

「この前というと?」尚樹はわざと知らぬ振りをした。

「ウチの部署の部屋で働くと言うことですよ。

人手が少なくてね、尚樹さんの見知っている人も多いでしょ。

働きやすいと思うんですよ」と、なんとしても言いくるめようと

いつもの調子で言った。

尚樹は、(これでは、前のままだ・・・。)と思いながら見を守る為に

さすがの部長も断れぬ言葉を放った。

「その話しは、先生と話しをしてから、お答えしても良いですか?」と。

部長はさらに懲りることなく、喰いつく様に言った。

「この話しは、私と尚樹さんで決めたいのですが。

先生は実務のことは解らないですからね・・・」言った。

尚樹は振り切る様に言った。

「今ここで決めることではないでしょ?次の診察の時に相談します。」

「・・・そうですか、なるべく早くお願いします。上とも話しをするので・・・」

「ええ、今週診察なので週末にはお返事します。」

部長と尚樹はまるで何もなかったかの様にその部屋を出た。

 

 

 

その三十八につつく

 

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小説 『ボケ茄子の花 その三十六』

2018年07月27日 16時09分26秒 | 小説『呆け茄子の花』

毎日、時間は健常者職員よりも短いものの過酷な日々が続いた。

尚樹はある障害者職員の事を思い出した。

今、尚樹の所属している部署と同じところで働いていた女性職員が

どんどん毎日の様に累積している仕事量を裁くために

別の部屋に行き、健常者職員の手を借りてまで仕事をこなし、

しかし、減らないところか毎日増えていく仕事に

もともと、統合失調症を持っていた女性職員の

病状が悪化し、入院。

その女性職員は3年経った今も入院し、

さらに病状が日に日に悪化している様に見えた。

尚樹は思わざるを得なかった。

「俺もその轍を踏むのか・・・」と。

 

その三十七につづく

 

 

 

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小説 『ボケ茄子の花 その三十五』

2018年06月21日 23時31分34秒 | 小説『呆け茄子の花』

「尚樹さん、この部屋でなくてウチの部署で仕事をしませんか?」と、

部長が言ったのは、冗談めかしに言ったものと尚樹は考えていた。

それから一週間が過ぎ、なんだか部署がざわつきだして、

しかし、尚樹は「他山の石」と考えていた。

心中を言うと、「『他山の石』であるべき」と考えていた。

部署がざわつきだしていたのは、「席替え」していたと聞かされた。

その「聞かされた」ときにはもう遅かった。

部署には「尚樹のデスク」が用意されていた。

それから日々尚樹のところには、“精神疾患者に似つかわしくない仕事量”が

課せられた。

尚樹は部長に訴えた、「以前の話と違うんじゃ無いですか?」と。

部長は平然と言い返した。

「これでもこちらで遠慮しているつもりですよ。」と。

尚樹は内心、拳を握りしめた。

 

その三十六につづく・・・

 

 

 

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小説 『ボケ茄子の花 その三十四』

2018年05月27日 18時31分52秒 | 小説『呆け茄子の花』

尚樹はあの一件いらいなにげない日々を送っていた。

この先は自分の障害と正対して治療をしていこうと。

思ったのだが、部長との何気ない会話が徐々に尚樹の頭をもたげて来ることになる。

給与が支給されるのは毎月25日。

その日に部長から給与明細をもらうのだが、

その時に否応がなく部長とは会話を交わす。

その会話の中の端々に「尚樹さんは、うちの部署の一員ですから!」と

時あるごとに言うのだが、元々の部署には尚樹を表示する

マグネット・回覧板等から消えていた。

そのことから考えると、部長の言葉は尚樹に白々しく感じた。

しかし、この言葉は日に日に増していき尚樹は内心、

「いつまでも何を言っているのか?」と疑心暗鬼になっていった。

ある日、尚樹は耳を疑う言葉を言った。

「尚樹さん、この部屋でなくてウチの部署で仕事をしませんか?」

尚樹は内心、「この男、何も解っていない。」と。

 

 

 

その三十五に続く

 

 

 

 

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