日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

金銭授受ではなくなって。

2008年05月24日 | お仕事な日々
先週の(月)のお話なのだが、
パンの店頭販売の仕事をしてきた。

店頭販売……販売……う~ん……。

     ★

今まで、
ここのお店では、
店頭でパンを売るとき、
金銭授受をマネキンがしていた。

それはそれは何年も。

だからお客さんは、
スーパー内での買い物(レジ精算)をし終わってから、
出入り口のところでやっている、
パンの店頭販売を物色しに来るという流れを、
からだに染込ませていた。

私自身も、
最初はお金を自分が取り扱うことに、
少し怖さを持っていたのだが、
慣れてくると、
お客さんとのコミュニケーションが楽しく
(下町の雰囲気のある地域なんで)、
例えば、一万円をもらったのに、
間違えて、千円の感覚でおつりを渡してしまっても、

「ねーちゃん、これお釣り違うでぇ。一万円渡したやんか」
「うわ、めっちゃごめんなぁ。めったに見ぃひんお札やったから、
わかれへんかったわ」

なんて感じで、
笑い合って終わって、
そんなに大事には至らないという雰囲気があったから、
いつの間にか抵抗感もなくなってて、
むしろ普通の試食販売よりも、
このスタイルの方が楽しいな、とすら思っていたりした。

ところが先月、なんかあったらしい。

少なくとも、うちの派遣元のマネキンさんのせいでは、
ないようだが(でなければ、私が働きに来れていないでしょうからねぇ)。

残念ながら、その理由は聞けずじまいだったが、
よっぽどのことだったようだ。

今後、店頭での金銭授受での販売は、
一切しないということに、なったぐらいの。

で、
私が仕事に入った日が、
そのトラブル後、初めての
金銭授受を取り扱わないシステムでの、
販売の日となったようで。

品出しと陳列のみの仕事になって、
残念でならなかった私以上に、
お客さんの方が、気の毒だった。

『レジ精算でお願いします』という張り紙を、
沢山張ったり、
「レジ精算になっていまーす!お買い求めはお早めにー!!」
と声を出して言ってても、
なかなか気づいてもらえずに、
買い物を全部終えてから、
パンの物色をし始めて、
財布を取り出す
おじいちゃんや、おばあちゃんに、

「ごめんねぇ。今回から変わって、
レジで精算してもらわなくっちゃいけないの」

と、何度も謝るのは、本当に心苦しかった。

もちろん、人情的なところだけでなく、
販売の面でも。

「えぇ~!またレジにならばなあかんの!?
それやったら、もう、買うのやめとくわ」

と、客足も逃げていく訳で。

あまりにもそれが、残念で、
お昼時に見に来た店長さんに、

「なんか、大きなPOP作ってもらえませんか?」

と、お願いし、お手間をかけてもらったほど。

本当に残念でならない。

     ★

何年も積み重ねられて、
築き上げられたシステムが、
たったひとつのトラブルで、
変更を余儀なくされる。

人の歴史を紐解けば、よくある風景なのかもしれない。

だけど、人は、
どのくらいそういうのに、
耐えられる力を持っているんだろう。

壊すのは、本当に簡単。

だけど、そこから、
新芽をだし、花を咲かせ、
実になるまでには、また多くの時間がかかる。

悪習っていうのもあるから、
「壊す」「壊れる」ということが、
全部が全部悲しむべきものではないというのは、
よくわかっているんだけど、
柔軟さというか、対応力っていうのは、
年を重ねるほど、弱くなっていくような気がする。

おそらく、来月の店頭販売でも、
例えどんなに大きなPOPを作ったって、
おじいちゃん、おばあちゃんたちは、
いくつかの菓子パンや和菓子を、
マネキンに差し出しながら、
財布をあけようとするだろう。

いいことでも、悪いことでも、
何かが壊れるとき、
一番大波をかぶるのは、
一番弱いところ。

だから、身勝手なこと、無意味なこと、
理由の無いことで壊さないでほしいと
願わずにはいられない。

本当に、残念でならないです。

(次回は、
ここで一緒に働いた、もうひとりのマネキンさんのお話を)

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