派遣会社の人が声をかけた人は、
以前、忙しい店のパンの品出し作業で、
一緒にお仕事をしたことがある人だった。
私は軽く会釈する。
派遣会社の人が、宅配牛乳の勧誘のイベントの仕事の依頼をする。
「え……、えぇ……」実に嫌そうな反応。そうだろ。そうだろ。
やりとりを横で聞いていると、
やはりその女性も、仕事がないので、困ってはいた。
が、この宅配牛乳の仕事をしたことがあるのは、
もう半年も前だし……と逃げ腰。
説得していた派遣会社の社員さん宛てに、電話が入り、
場所を離れたのを機に、私はいろいろお話を聞いた。
「研修は、確かに受けたけど、
もう大分前の話しだし、やり方なんて覚えてないし……。
半年前にした時だって、前日に
『あぁ、あの仕事をするんだ……』と思うと、
もう憂鬱になって、眠れなくなったりしてねぇ」
あぁ、わかるわかる。
「研修した人で、ここに残っている人(つまり、今でもマネキンをやっている人)
ってどのくらいいるんですか?」
聞いてみると、
「いやわかんないけど……。もう2、3人じゃないかな。
○○さんと△△さんとMさんと……」
「あ、私、Mさんとは3回ぐらい一緒に仕事したんです」
Mさんとは、4月から何度か一緒に仕事した、ベテランさんのこと。
「その時に、状況的に、機械操作を覚えざるを得なくて、
出来るようには、なったんですけど……。
ただ、なんとなく、骨の強度がね、低めの数値が出ちゃうんですよ。
すごくそれが不安で……。
Mさんは、気にしなくていいっていうけど、
あの機械自体古いし、なんていうかその……」
「ひきずっちゃいません?変な数値が出た人のこと」
「そうですそうです」
「Mさんはね、出来てるのよ。人間が。
聞いたこともあるんだけど、引きずらないんだって。
割り切れるんだって。
そういう人は、全然平気な仕事なんだろうけど」
「なかなかそういう人はいませんよね」「……ねぇ」
Mさんのことも、いつか書けたらいいけど。
……今はちょっと予定できないな。
★
派遣会社の人が、電話を終えて戻ってきて、
再び、その人を説得し始めたけど、
「今ここで返事しなくてもいいですよね。また連絡します」
で、押し切って、逃げるように帰ろうとした。
私もそれにひっついていく……というか、同じ方向だったので、
流れで、一緒に帰ることに。
その人が研修を受けて、
その宅配牛乳の勧誘を始めた頃は、
もうひとつの別の派遣会社(メーカー専属の派遣?)から来た人と組んで
この仕事をしていたという。
そのもうひとつの別の派遣の人は、
ノルマを持たされていたらしく、
もろに給料に響くので、
ものすごくお客さんに積極的にアタックをして、
契約をとっていたという。
それは初耳だった。
「……その積極さに、ドンビキしたのよね、私は」と、
ため息交じりにその人は言った。
「契約とって、その場はいいんだけどね。
でも、後になって、
宅配所に『やっぱりやめときます』っていう、
お断りの電話も結構あったんだって。
時にはその強引さで、クレームになったこともあるとかで……」
強引さ……ふと、奈良で一緒にした、宅配所の人の顔がよぎった。
あんな感じなのかな。
「(私らの)派遣会社も、
もう一回研修でもして、人を募ればいいんですよね。
それで、なんか、特別手当とかつければ、
嫌でも、続ける人はいるんじゃないのかなぁ……」
これは、指名を断るときに、
派遣会社に提案していること。
まぁ、私はあっても受けないと思うけど、研修。
「最初はね、手当もついてたの。でも、
なんだったかなぁ~、なんかのきっかけで、つけなくなったのよ」
なんだ、すでにやってたのか。
で、立ち消えかよ。
……なんで私がするときだけでも、思い出してくれなかったんだ、
その特別手当(笑)
いずれにせよ、返事を延ばしたこの人も、
きっと断るだろうなぁと、電車の中で話をしながら、
私は確信し、
「自分主体でいろいろ選択できることだけが、
この仕事のいいところなのにねぇ」
という意見の一致まで見て、乗り換えるため私は電車を降り、
その人と別れた。
Mさんは、別のイベント専門の派遣会社にも登録していて、
土日や、連休は大概、どこかの結婚式場で、
うさぎさんや、ゆるキャラの着ぐるみを着て、働いている。
(ちなみに、Mさんは、女性です。
で、そっちのほうが本業という意識で、仕事をしているんだそうです)
多分、私の穴埋めが出来るほど、暇な人ではないだろう。
あぁ、誰でもいいと思いつつも、
いざ、人を見ると、嫌がる気持ちがわかって強く言えない。
でも誰か。私が逃げた日程の日に、骨の強度を測ってあげて。
★
奈良の宅配所の人のことは、
シルバーウィーク後に。
でも、「印象が変わった!勘違いしてた!素晴らしい人だった!」
みたいな内容で、書けたらいいのになぁと、願っています。
以前、忙しい店のパンの品出し作業で、
一緒にお仕事をしたことがある人だった。
私は軽く会釈する。
派遣会社の人が、宅配牛乳の勧誘のイベントの仕事の依頼をする。
「え……、えぇ……」実に嫌そうな反応。そうだろ。そうだろ。
やりとりを横で聞いていると、
やはりその女性も、仕事がないので、困ってはいた。
が、この宅配牛乳の仕事をしたことがあるのは、
もう半年も前だし……と逃げ腰。
説得していた派遣会社の社員さん宛てに、電話が入り、
場所を離れたのを機に、私はいろいろお話を聞いた。
「研修は、確かに受けたけど、
もう大分前の話しだし、やり方なんて覚えてないし……。
半年前にした時だって、前日に
『あぁ、あの仕事をするんだ……』と思うと、
もう憂鬱になって、眠れなくなったりしてねぇ」
あぁ、わかるわかる。
「研修した人で、ここに残っている人(つまり、今でもマネキンをやっている人)
ってどのくらいいるんですか?」
聞いてみると、
「いやわかんないけど……。もう2、3人じゃないかな。
○○さんと△△さんとMさんと……」
「あ、私、Mさんとは3回ぐらい一緒に仕事したんです」
Mさんとは、4月から何度か一緒に仕事した、ベテランさんのこと。
「その時に、状況的に、機械操作を覚えざるを得なくて、
出来るようには、なったんですけど……。
ただ、なんとなく、骨の強度がね、低めの数値が出ちゃうんですよ。
すごくそれが不安で……。
Mさんは、気にしなくていいっていうけど、
あの機械自体古いし、なんていうかその……」
「ひきずっちゃいません?変な数値が出た人のこと」
「そうですそうです」
「Mさんはね、出来てるのよ。人間が。
聞いたこともあるんだけど、引きずらないんだって。
割り切れるんだって。
そういう人は、全然平気な仕事なんだろうけど」
「なかなかそういう人はいませんよね」「……ねぇ」
Mさんのことも、いつか書けたらいいけど。
……今はちょっと予定できないな。
★
派遣会社の人が、電話を終えて戻ってきて、
再び、その人を説得し始めたけど、
「今ここで返事しなくてもいいですよね。また連絡します」
で、押し切って、逃げるように帰ろうとした。
私もそれにひっついていく……というか、同じ方向だったので、
流れで、一緒に帰ることに。
その人が研修を受けて、
その宅配牛乳の勧誘を始めた頃は、
もうひとつの別の派遣会社(メーカー専属の派遣?)から来た人と組んで
この仕事をしていたという。
そのもうひとつの別の派遣の人は、
ノルマを持たされていたらしく、
もろに給料に響くので、
ものすごくお客さんに積極的にアタックをして、
契約をとっていたという。
それは初耳だった。
「……その積極さに、ドンビキしたのよね、私は」と、
ため息交じりにその人は言った。
「契約とって、その場はいいんだけどね。
でも、後になって、
宅配所に『やっぱりやめときます』っていう、
お断りの電話も結構あったんだって。
時にはその強引さで、クレームになったこともあるとかで……」
強引さ……ふと、奈良で一緒にした、宅配所の人の顔がよぎった。
あんな感じなのかな。
「(私らの)派遣会社も、
もう一回研修でもして、人を募ればいいんですよね。
それで、なんか、特別手当とかつければ、
嫌でも、続ける人はいるんじゃないのかなぁ……」
これは、指名を断るときに、
派遣会社に提案していること。
まぁ、私はあっても受けないと思うけど、研修。
「最初はね、手当もついてたの。でも、
なんだったかなぁ~、なんかのきっかけで、つけなくなったのよ」
なんだ、すでにやってたのか。
で、立ち消えかよ。
……なんで私がするときだけでも、思い出してくれなかったんだ、
その特別手当(笑)
いずれにせよ、返事を延ばしたこの人も、
きっと断るだろうなぁと、電車の中で話をしながら、
私は確信し、
「自分主体でいろいろ選択できることだけが、
この仕事のいいところなのにねぇ」
という意見の一致まで見て、乗り換えるため私は電車を降り、
その人と別れた。
Mさんは、別のイベント専門の派遣会社にも登録していて、
土日や、連休は大概、どこかの結婚式場で、
うさぎさんや、ゆるキャラの着ぐるみを着て、働いている。
(ちなみに、Mさんは、女性です。
で、そっちのほうが本業という意識で、仕事をしているんだそうです)
多分、私の穴埋めが出来るほど、暇な人ではないだろう。
あぁ、誰でもいいと思いつつも、
いざ、人を見ると、嫌がる気持ちがわかって強く言えない。
でも誰か。私が逃げた日程の日に、骨の強度を測ってあげて。
★
奈良の宅配所の人のことは、
シルバーウィーク後に。
でも、「印象が変わった!勘違いしてた!素晴らしい人だった!」
みたいな内容で、書けたらいいのになぁと、願っています。