日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

チビ亀田

2009年03月12日 | お仕事な日々
亀田三兄弟のうちの、
誰に似ているかと聞かれると、
よくわからないけれど、
共通したあの細い目元がまず、
何よりも似ていた。

それに、
髪型の両サイドに、
雷模様のカットがなされている、
ナマイキさ加減からも、
『チビ亀田』とでも呼びたくなるような雰囲気が、
その幼稚園児にはあって。

まぁ多分、髪型は
本人が好き好んで、
雷模様の切り込みを入れたのではなく、
親のセンスなんだろうけど。

そして私は、亀田三兄弟を、
お父さんもひっくるめて、好ましく思っていない。

マスコミのフィルターを通して見ていることを、
考慮に入れても、
『オラオラ』的なあの感じは、どうしても好きになれない。

なので、そんなバイアスかかりまくりで、
チビ亀田を見つけると、
もうどうしようもなく、

『どうせお前も、オラオラなんだろう』

と、思わずにはいられなかった。

食パンの試食の仕事先で。

     ★

うろちょろしていたチビ亀田は、
試食品のパンをトースターで焼いてる最中にやってきた。

「何やってるの?」
「食パンを焼いてるの。まだあげれないよ」

思ったより、チビ亀田は、あっさり引き下がった。

チンっと、パンが焼けて、しばらくすると、
再びチビ亀田がやってきたので、
「食べてみる?」と聞いてみる。

「うん」と答えたので、
パンをあげると、
「これあげる」と、
今度はチビ亀田が、
ぎゅっと手に持っていたものを、
私が持っているトレーの上に置いた。

それは、なんの味なのか、緑色の飴ちゃんだった。

試食の仕事をしていて、交換に何かもらうなんてことは、
初めてだった。

思わず、

「え?これ、くれるの?」と聞き返さずにはいられない。

なんでもないかのように、

「うん」と答えるチビ亀田。
なんだ、いい奴じゃないか。

……ひょっとすると、あの亀田三兄弟も、案外いい奴なのかも。

幼稚園児で、亀田三兄弟を、
何故に推し量ろうとする(笑)

     ★

しばらくすると、
チビ亀田がまた現れた。

「もう1個ちょうだい」と言ってきた。

飴ちゃんをもらったことはもらったけど、それはそれとして。

「ごめんね。沢山の人に食べて欲しいから、1回だけにしてくれる?」

大きな大きなスーパーだと、
そんなモラルを守るより、クレーマーの方が怖いので、
何度でも食べさせろと、
最初のうちに釘を刺されるが、

基本私は、
状況にもよるけれど、
特に子供には、1回だけにしてもらっている。

チビ亀田は、その言葉を理解した。
しかし、簡単には立ち去ろうとはしない。

私の手元にある、
うっかり鞘(?)に収め忘れていた、
パンを切っていたフルーツナイフを、
興味津々で「これ何?」と触ろうとしたので、
慌てさせられた。

「きゃー!触ったらあかん!」……パンチを食らった気分。

さらに、
横の売り物の食パンをじーっと見た後、
急に、
サンドバックを殴るように、
ボコボコと、両手のこぶしで連打しはじめた。

「きゃー!やめて!!食パンが泣いちゃう!?」

……そんな言葉で注意する、私も私だが。

すっかりつまらなくなったチビ亀田は、
ようやく立ち去ってくれた。

その背を見ながら、

「確かに、マスコミのフィルターを通してでは、
見えてこない
飴ちゃんをくれるくらいの優しさが、
亀田三兄弟にもきっとあるんだろうけれど、
やっぱり、好きになれない要素の方が、
きっと上回って多いに違いない。きっときっと、間違いない」

そんな、
幼稚園児から、また改めて確信して。

     ★

もしも、
チビ亀田が大きくなって、
本物の亀田三兄弟に限りなく近くなって、
同じかたちで再会したら、
私はきっと、もう、「2個目のパン」をあげるしかないだろう。

そんな日が来る前に。

「さっさとなめてしまっておこーっと!」

帰り道、
緑色の飴ちゃんは、サイダーの味がして、
確かにおいしかったけど、
私の舌に
ジュワジュウワジュワっと、
早速、連打を打ってきた。

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