変な『クイズ・ドレミファドン』（←知ってる？）

お風呂から上がって、
ふふふん♪と頭を拭いてたら、
夫が、
「風呂長いっちゅーに！！」と、
バトンタッチ的に、
洗面所にずかずかと入ってきた。

「さて問題です」と、脱ぎながら言う夫。

「♪あ、た、まぁをくぅも～の　上にぃ～のせ～♪
さて、これは、なんという歌でしょう」

「『背比べ』」と即答する私。

「ブッブー。正解は『富士山』でした」

「違うよ。それは、『背比べ』」

食い下がる私に、
ブーイングしている、そこのあなた！
違うんですよ、これは、『背比べ』なんですよ！

「だって、『背比べ』のメロディーで、『富士山』の歌詞を
歌ってるんだもん。
富士山は、
♪あーたまーをくぅもおの　うーえにのぉせー♪
だもんねー。
嘘だと思うんだったら、
自分の『富士山』だと思うメロディーで、
続きを歌ってみ」

夫は歌う。

「♪あ、た、まぁをくぅも～の　上にぃ～のせ～♪
♪ごぉがぁつ　いつかぁの　せいくぅ～らべ～♪」

負けを認めないまま、夫はそのまま
風呂場へ入り、戸を閉めた。

（よろしかったら、つぶやいてみて。
『背比べ』の節回しで、『富士山』の歌詞を。
出だしだけなら、確かにおかしくありませんから。
……と、何故か夫をフォローする・笑）

　　　　　★

洗面所で、
化粧水をパシャパシャしたり、
ドライヤーで髪を乾かしていたりしていたら、
風呂場の中から、夫の鼻歌が聞こえてきた。

１曲目は、
『もしもピアノが弾けたなら』（西田敏行）
２曲目は、
『恋に落ちて～Fall in　Love～』（誰だったっけ？）

ほどなく、
カラスの行水の夫が、
湯気を立てて、風呂場の戸を開けてきた。

「さて問題です」私が言った。

「あなたが鼻歌で歌ったのは、
１曲目は『もしもピアノが弾けたなら』
２曲目は『恋に落ちて』でした。
あなたは一体、
なぜこの２曲をセレクトして、鼻歌を歌ったのでしょう？」

ちちちちちち……。

あまりにも、無意識的なところをついた問題だったらしく、
夫の目は、テンになっていた。

「ぶっぶー。時間切れ。
正解は、出だしが『もしも』から始まった歌を、
無意識にセレクトしたからでしたー！」

夫、否定しない。

あまりにも無意識だったのと、
ドンピシャだったのが重なって、
ナチュラルな笑みを浮べるばかり。

ふっふっふ……久しぶりに勝ったな、と、
心の中で、ガッツポーズ。

頭も濡らしたまんま、
テキトーに拭き終わった夫は、

「♪もしも♪し　かめよ～　かめさんよ～♪」

と、
今度は意識して（ウケを狙って）、
『もしもシリーズ（？）』の締めくくりを歌いながら、
洗面所を、後にした。