日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

仕事道具を保管してくれていたおかげで。

2008年06月19日 | お仕事な日々
これ、去年9月に仕事で行ったスーパーに
忘れてきた、
仕事道具一式を入れていた袋。

テーブルクロス、ウェットティッシュ、トレイなどなど一式。

家に帰ってから、
忘れていたことに気がついた。

あっさり諦めて、新しく買い揃えて。

何故なら、
もう二度とこのスーパーへは行かないだろうと
思っていたから。

     ★

その9月の仕事の時は、
シリアルの仕事だった。

シリアルの試食販売って、
ややこしいって、知りあるぅ~?(笑え!笑え!)

基本は、
カップにシリアル入れて、
牛乳かけて、ってことなんだけど
(応用はこれにフルーツが入っていたりする)、

例えば、
牛乳は、冷えていなくっちゃいけないから、
プラスチック容器に氷を入れて、
冷たさを持続させていなくちゃいけないし、
氷はいずれ解けるから、入れ替えなくっちゃいけないし、
それに、そういう冷やし方をすると、
牛乳パックの底は水に濡れているから、
あちこち水滴だらけになるんで、
いちいち布巾で拭かなきゃいけないし。

この他にもいろいろ、
やってみなくちゃわからないめんどくささが
多々あるのだ。

しかも、この日のメーカーさんは、
ありがたくも、
一時間近く付き添ってくれて、
トレイの持ち方から何から何まで、
細かく注意され、
これがまた、なんとも、うっとおしく。

とどめは、販売場所が、レジ前ってことで、
誰も買っちゃくれない。
(精算に気持ち切り替わってたら、買わないし、試食もしないっす!)

それでも、
唯一意欲の原動力となってくれたのが、
明るいパートさんたちや、
社員さんたちだったのだが。

それすら、最後の最後で。

     ★

仕事が終わったとき、
市川海老蔵をキツネ目にしたような、
若いイケメンの担当者さんに、
販売数を調べてもらった。

調べ終えると、
海老蔵さんは、
なんとも怪訝そうな顔をして、

「これ、ゼロって、どういうこと?」

と聞いてきた。

シリアルは数種類売っていたが、
そのうちのひとつが、全く売れていなかったのだ。

それは、チョコレート系のシリアルで、
私が途中まで気づかなかった存在のシリアルだった。

1種類と思っていたチョコレート系は
実は2種類あって、
簡単にいうと、オトナ向きのチョコレート系と、
子ども向きのキャラクターが描いてあるチョコレート系で、
外枠がどちらも茶色。

で、私は、
オトナ向きのチョコレート系のシリアルの存在は、
確認してて、
それは、試食なんかにも使ったりして、
売っていたのだが、
子ども向きのは、POPが邪魔をしていたりして、
外枠しか確認できず、
「同じものが少し離れたところでも陳列されている」、
ぐらいにしか認識していなかったので、
終わり間際ぐらいまで、全く存在に気づかなかったのだ。

私が気づかないぐらいだから、
お客さんが気づくわけがない。
なので、売り上げゼロ。

海老蔵さんは、
豹変気味に恐かった。

それまではとても気さくでいい人だったのに。

まるで、
『女には優しいが、芸に厳しい市川海老蔵』に、
睨まれた弟子の心境になって。
(ごめんね、海老蔵さん。
本当のところはよく知らないのに例えに使っちゃって)。

で、苦し紛れに、

「○○○(メーカー名)の営業さんの陳列が悪くて、
お客さんも、私も、そのシリアルには気づかなかったんです」

と、営業さんのせいにして、答えてしまったのだ。

可能性はあるけど、確信はない。

その言った言葉の後味の悪さといったら。
人のせいにするなんて……。

「なんや、それ」と海老蔵さんに言われながらも、
サインをもらって、逃げるように、従業員出口から出た。

で、このまま、
すぐに立ち去ればいいのに、
妙なつぐない心理(?)が働いて、
少し自宅からは遠いスーパーにも関わらず、
晩御飯の買い物を、
大量にそこのスーパーでして、
大荷物になって、
仕事道具を一式、忘れて、
帰ってしまったわけなのだが。

海老蔵さんに会うくらいなら、
道具一式を諦めても安いものだったのだ。
その時の私には。

それ以来、
ここのスーパーの求人カードは、
見てみぬ振りをしてきたし、
派遣元から電話で求められても、
何度も断り続けていたのだが。

今回は、派遣元の「お願い!!」にとうとう折れたのと、
それなりに時間が経って、
気持ちが薄らいだので、引き受けたのだが。

まさか、あの時の仕事道具一式が、
そのまま保管されていたとは。

     ★

このシワシワの汚れた袋を
事務所の片隅で見つけて、
海老蔵さんやパートさん達に、
お礼を言ったとき、

私が過去に一度、
このスーパーで仕事をしたことを、
誰も覚えていなかった。

いや、いいんですよ。

そういうもんですし、
場所によっては、「私のことは忘れてください!」って、
私自身が思ってますもの。

今回、何がいいって、
誰でもない海老蔵さんが、私を忘れてくれていたことだ(笑)

あぁ~よかった!ってなもんです。

これからは、フツーに依頼があれば、
ここのスーパーにもフツーに仕事に来ようと思った。あぁ晴れ晴れ。

私は何か、勝手にお礼がしたくて、
あるパートさんが、めんどくさそうに、
「あたり」「はずれ」と書いてある紙を、
三角形に折っていたのを、
休憩中にちょっとだけ手伝った。

世界のナベアツ風に、
「三枚目の紙を折る時だけアホになります。
1枚……2枚……3枚『はぢゅれぇ~』」
とか、なんとか言って。

パートさんとの、
話の中に入ってはいなかったが、
同室にいた海老蔵さんが、
思わずニヤっと笑ったのに気づけたのも、
重ね重ね、よかったです。

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